火曜日のブログに載せた、昔書いたショートショートの中で
「姉の話では」と出て来るが、この話の元は中支(中国の中部)
で戦死した母親の長兄の伯父がいた部隊の上官だった人が、
戦後すぐの頃、母親の実家を訪ねてきて伯父の最後の様子などを
祖父母に話したのを、母親が祖父母に又聞きしたものである。
もう何年か前に、中支から生還した兵士だった人の手記を
いくつかネットで見つけて読んでみたが、母親から聞いた話と
そっくりそのままの描写があるのを見つけて、ちょっと身震い
がした。
この上官が訪ねてくる前のことだと思うが、中支から
伯父の遺骨を入れてあるらしい骨壺が実家に帰って来た時、
祖母が泣き叫んで骨壺を開ける、と言うのを祖父は押し
とどめて、絶対に開けさせなかったらしい。
後で祖父がひとりの時に、そっと見てみたら中には紙切れが1枚
入っているだけだった、と祖父から聞いた母親がそう言っていた。
伯父は出征前は、酒造会社というか酒蔵で蔵人の仕事をして
いたらしい。母親の記憶では、蔵人のころ自転車の横にくっつけた
リヤカーに酒粕の入った樽をいっぱい積んで、実家に帰って来た姿が
とても印象的だったそうで、忘れられないと言っていた。