人工光合成が二酸化炭素を有益な物資に変える
光合成とは、光エネルギーを利用し、水を分解して酸素を発生させる「明反応」と、明反応によって作られた還元力を使い、CO2から栄養素(有機化合物)を作り出す「暗反応」の総称である。人工光合成とは、その2つの反応の仕組みを活用して、水素や別の物質を生成する技術
「その仕組みは、まず太陽光による光エネルギーでCO2から水素の元となるギ酸(蟻酸、HCOOH)を生成し、貯蔵します。そして貯蔵したギ酸から生成した水素を使って発電を行うというものです」
「これまでの人工光合成の装置は、光エネルギーを使って水を酸素と水素に分解する明反応の仕組みを模した溶液内での研究に限られていました。ですが、私たちは酸化アルミの基板上に、光に反応して電子を渡す色素や、別の物質を生成するために必要な酵素を貼り付けることで、人工光合成の仕組みを再現することに成功したのです」
その後、半導体光触媒で使用される酸化チタンを基板に用いてみたところ、ギ酸の生成効率が約6倍に向上。それに付随して、これまでギ酸を生成するための触媒である酵素が不要であるという発見もしている。
「人工光合成の研究において全く注目されていなかったビオローゲンと呼ばれる人工補酵素についても調べました。これまでビオローゲンは、触媒に電子を受け渡すだけのものとして扱われていましたが、アミノ基やカルボキシ基を付けると、ギ酸生成の増減を制御できることが分かっています」
人工光合成技術によるエタノール生成の研究も進めている。
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