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「ブラック・ジャックによろしく」という医療洗脳マンガについて

2016-12-27 08:54:44 | 医療
ブラック・ジャック 漫画文庫 全17巻完結(文庫版) [マーケットプレイス コミックセット]
手塚治虫
秋田書店


 手塚治虫は1970年代に入って、いわゆる「裏手塚」と呼称される社会派作品を連作した。1972年に連載が始まったブラック・ジャックもその範疇に入ると言える。元々は怪奇マンガとしてSF色の強い企画だったが、手塚は自らの医学博士としての経験を活かし、リアリスティックな医学表現や現実社会の問題を織り交ぜながら、ブラック・ジャックをピカレスクヒーローに仕立て上げた。
 ブラックジャックは医師として、治癒したら大金を頂く、但し治癒しなかった場合は1円も貰わないというモグリの医者だが、ある意味正当な商取引と言える。
 現代医療はどうだろうか、あの手この手で治療をするが、かなりの確率で死んでいる。癌患者の死者の8割は治療で死んでいると言われている。

 歌手菅井えりさんが膵臓がんで死去されたとされるが、抗癌剤を投与されていたとのことで、直接的な死因の引き金は膵臓癌そのものではなく、抗癌剤の毒性によるものと推定される。抗癌剤は細胞毒であり、癌細胞だけでなく、体全体の細胞に悪影響を及ぼす。免疫力が低下して、感染症などで死んでいく。

 以前「ブラック・ジャックによろしく」というマンガが出てきて、少しカチンと来た。微妙に商標法違反ではないかと感じた。無料公開されたので、中を読んでみると絶望した。案の定、医学ムラ支配のお先棒を担いでいる。確かに救急救命や助産に関する医療技術は生命を繋ぎ止める貴重な役割を果たしてきた。しかし、膵臓癌に対する抗癌剤治療や精神病患者に対する向精神薬治療など、現代殺戮医療行為を基本的に一通りなぞる構成となっている。作者によると、物語のすべては編集部から提供されたものだったようだ。続編については作者自身が取材を行って執筆したとのことだ。
 作者に罪はない、とは言い切れないが、絵が上手いので医学ムラが出版社を通じて担ぎ出したのだろう。作者はかなりの高額収入を得たようだ。
 「ブラック・ジャックによろしく」に限らない、病理医「フライジャル」というのが、これもまた無料だったので読んでみた。厳密な病理アプローチを行っているという話だが、近藤誠医師によると、外科が病理医「癌モドキも全部癌と診断」するようように頼んで、全部癌判定にしてしまっている所もあるという。本当の癌は3割で、7割は「癌モドキ」である。
 作品が編集部の方から出ているのか、漫画家の方で創作したのか分からないが、医学ムラ宣撫工作マンガやドラマが山ほど量産されている。
 ブラック・ジャックは医局の絶対支配に対する疑念を都度行っている。なぜ、ブラックジャックがモグリなのか、なぜ、手塚治虫は医者にならないで、漫画家になったのか。そして、手塚がマンガを通じて何を伝えたかったか、よく考えるべきだ。

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