数世紀も前… まだ世に知られていない世界が多かった時代……
それは《暗黒時代》という名で呼ばれていた…
至る所に独自の種族と文化を持ち、文明の開けた土地が存在していた。
地の果てにあるカクハバードという暗黒の土地も、そんな場所の一つだった。
カクハバードを手中に収めようと、幾多の征服者が試みてきたが、
そんな野望は虚しく潰え去るばかりだった。
そして時は流れ…
ザンズム連峰の奥にある文明の開けた国々から追放された邪悪な生き物、
ならず者、無法者たちが次第に潜り込んでいった。
やがてカクハバードは地の果ての吹き溜まりとして知られるようになった。
フェンフリーの改革王であるシャランナが《王たちの冠》を発見して以来、
カクハバード以外の土地には文明と秩序が行き渡り始めた。
シャランナは《冠》の力によって、東の世界では最大の帝国の皇帝となった。
この魔法の《冠》には所有者に優れた統率力と判断力を与えるという、
不思議な力が秘められていたのだ。
だが、シャランナ王は世界征服などに野心を燃やすような人ではなかった。
彼が望んだのは、フェンフリーとの友好関係を保てる民族国家を作ることだった。
賢明なる王は隣り合った王国の王たちに、この伝説の《冠》を貸し出した。
それらの国々は《冠》の魔力によって、いずれもが平和国家として栄えていった。
そして約束事が定められた。
・各国の王は四年を期限として《王たちの冠》を所有する。
・その四年の間に自身の王国を秩序のある国にする。
・広がりつつあるフェンフリー同盟に加わる。
という内容である。
ラドルストーン、レンドルランド、ギャランタリア、そしてブライスの諸国は、
約束事に沿って《冠》を順に授かった。
その恩恵は目に見えて現れ、それらの国々では戦いや争い事が起こらなくなった。
アナランドの王も荘厳な儀式の後、滞りなく《王たちの冠》を授かり、
その日からアナランドの繁栄は約束された。
これほどまでに国中を高揚させる魔力を《王たちの冠》が有している理由は…?
それを知る者はいない。神通力と言う者がいれば、一重に精神力と言う者もいる。
ただ、一つだけ確かなのは、その効果が疑う余地すら無いということだった。
アナランドでは全てが順調だった。ブラック・ムーンの夜までは…
《冠》が無くなっていることに最初に気付いたのは王だった。
星一つ見えない前夜、ザメンから来たバードマン共に盗まれてしまったのだ。
《冠》を奪ったバードマンたちは今、カクハバードの無法地帯を渡り、
マンパン砦へ向かっていた。
バクランドからの報告では、《冠》を手に入れようと画策しているのは、
マンパンの大魔王であるらしい。
大魔王はカクハバードを支配すべく、野心を燃やしているのだ。
確かにカクハバードは周辺の国々にとって危険な場所だが、
今の時点では大した脅威ではない。
軍隊は無く、いつ終わるかもわからない内乱が続いているという状態なのだ。
ところが、もし《王たちの冠》の力を借りて統一されることにでもなれば、
フェンフリー同盟の諸国にとって厄介な敵となるだろう。
《冠》を盗まれたアナランドでは、この二年間に授かった恩恵が消え去るという、
不名誉な事態が生じた。
法、秩序、モラルが崩れ始め、臣民は国王に不信感を抱いている。
国境付近では、隣国の動きも怪しくなってきた。侵略の噂も流れ始めた。
この危機を救うのに、たった一つの希望が残されていた。
大掛かりな軍隊などでは、マンパン砦までの道中を生き延びられないだろう。
だが、誰かが一人で旅をするなら砦まで行くことができるかもしれない。
何とか生き延びてマンパンの大魔王から《王たちの冠》を奪い返す…
それこそが呪われたアナランドを救う道なのだ。
この過酷な旅に出ることを一人の勇士が志願した。その使命は明らかだ。
カクハバードを通り抜けて、マンパンの砦を目指すのだ。
そして《王たちの冠》を見つけるのだ!
それは《暗黒時代》という名で呼ばれていた…
至る所に独自の種族と文化を持ち、文明の開けた土地が存在していた。
地の果てにあるカクハバードという暗黒の土地も、そんな場所の一つだった。
カクハバードを手中に収めようと、幾多の征服者が試みてきたが、
そんな野望は虚しく潰え去るばかりだった。
そして時は流れ…
ザンズム連峰の奥にある文明の開けた国々から追放された邪悪な生き物、
ならず者、無法者たちが次第に潜り込んでいった。
やがてカクハバードは地の果ての吹き溜まりとして知られるようになった。
フェンフリーの改革王であるシャランナが《王たちの冠》を発見して以来、
カクハバード以外の土地には文明と秩序が行き渡り始めた。
シャランナは《冠》の力によって、東の世界では最大の帝国の皇帝となった。
この魔法の《冠》には所有者に優れた統率力と判断力を与えるという、
不思議な力が秘められていたのだ。
だが、シャランナ王は世界征服などに野心を燃やすような人ではなかった。
彼が望んだのは、フェンフリーとの友好関係を保てる民族国家を作ることだった。
賢明なる王は隣り合った王国の王たちに、この伝説の《冠》を貸し出した。
それらの国々は《冠》の魔力によって、いずれもが平和国家として栄えていった。
そして約束事が定められた。
・各国の王は四年を期限として《王たちの冠》を所有する。
・その四年の間に自身の王国を秩序のある国にする。
・広がりつつあるフェンフリー同盟に加わる。
という内容である。
ラドルストーン、レンドルランド、ギャランタリア、そしてブライスの諸国は、
約束事に沿って《冠》を順に授かった。
その恩恵は目に見えて現れ、それらの国々では戦いや争い事が起こらなくなった。
アナランドの王も荘厳な儀式の後、滞りなく《王たちの冠》を授かり、
その日からアナランドの繁栄は約束された。
これほどまでに国中を高揚させる魔力を《王たちの冠》が有している理由は…?
それを知る者はいない。神通力と言う者がいれば、一重に精神力と言う者もいる。
ただ、一つだけ確かなのは、その効果が疑う余地すら無いということだった。
アナランドでは全てが順調だった。ブラック・ムーンの夜までは…
《冠》が無くなっていることに最初に気付いたのは王だった。
星一つ見えない前夜、ザメンから来たバードマン共に盗まれてしまったのだ。
《冠》を奪ったバードマンたちは今、カクハバードの無法地帯を渡り、
マンパン砦へ向かっていた。
バクランドからの報告では、《冠》を手に入れようと画策しているのは、
マンパンの大魔王であるらしい。
大魔王はカクハバードを支配すべく、野心を燃やしているのだ。
確かにカクハバードは周辺の国々にとって危険な場所だが、
今の時点では大した脅威ではない。
軍隊は無く、いつ終わるかもわからない内乱が続いているという状態なのだ。
ところが、もし《王たちの冠》の力を借りて統一されることにでもなれば、
フェンフリー同盟の諸国にとって厄介な敵となるだろう。
《冠》を盗まれたアナランドでは、この二年間に授かった恩恵が消え去るという、
不名誉な事態が生じた。
法、秩序、モラルが崩れ始め、臣民は国王に不信感を抱いている。
国境付近では、隣国の動きも怪しくなってきた。侵略の噂も流れ始めた。
この危機を救うのに、たった一つの希望が残されていた。
大掛かりな軍隊などでは、マンパン砦までの道中を生き延びられないだろう。
だが、誰かが一人で旅をするなら砦まで行くことができるかもしれない。
何とか生き延びてマンパンの大魔王から《王たちの冠》を奪い返す…
それこそが呪われたアナランドを救う道なのだ。
この過酷な旅に出ることを一人の勇士が志願した。その使命は明らかだ。
カクハバードを通り抜けて、マンパンの砦を目指すのだ。
そして《王たちの冠》を見つけるのだ!