冬が来れば、アランシアの北部は極寒の地と変わる。
雪が深く降り積もり、氷のように冷たい風が吹きつけてくる。
マーテル(骨まで凍えちゃいそう…)
私はビッグ=ジム=サンという商人に雇われ、隊商の護衛をしている。
前哨基地を目指して出発してから数週間が過ぎていた。
いつになったら、目的の場所に着くの…?
荷馬車には高価な生地、裁縫道具、武器、塩漬けの肉、
香辛料や茶などが積み込まれている。
これらは毛皮や象牙の彫刻などと交換する品物らしいの。
ビッグ=ジムは北へ向かう道中のことは全く心配していない。
野盗が襲ってくるのは決まって帰りのときなのよ。
彼らは北部の産物を積んだ荷馬車だけを狙ってくる。
私は六台の荷馬車の先頭に立ち、凍った湖の上を歩いていた。
遠くの方には高い山が見える。
マ(あれが氷脂山脈…)
低く垂れ込めた雲の間から山の頂が空へ向かって突き出ている。
あの山の麓に北部の人々が集まって商売をするわけね。
マ(目的地は近いわ)
雪は降り続いているけれど、そんなに激しくはない。
★カツンッ☆ ☆カツンッ★
私は剣で氷を軽く突いてみる。
マ「うん、これなら…」
荷馬車が通っても割れる心配は無さそう。そう思ったとき…
★ピイイィィーッ☆
突然、角笛の鋭い音が静寂を破った。
私は慌てて立ち上がると、ビッグ=ジムの乗っている荷馬車に駆け寄る。
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ビッグ=ジムは二台目の荷馬車の御者の隣に腰を下ろし、
エリカの根で作られた長いパイプを吹かしている。
この大男が偉大な人物だということは、誰の目にも明らかだった。
ビッグ=ジム「……」
大柄な商人は青い目を光らせて地平線を見つめる。そして太い声で言う。
ビ「さっきの角笛の音は前哨基地から聞こえてきたようだ。
おば…じゃなくて、お前さん、ちょっと様子を見てきてくれ」
マ「うげ~! あんな遠くまで…?(*:`°○°*)」
ビ「ひょっとすると、面倒なことになるかもしれん」
マ「仕方ないわね…」
雇われの身なので、申し出を断るわけにはいかないわ。
ビ「もし危険だと思ったら、すぐ引き返すんだぞ」
マ「わかっているわよ」
私は急いで前哨基地へ向かう。
・
・
・
二時間後、やっとのことで氷指山脈の麓にある砦に着いた。
マ「な、何があったの…!?」
雪は血で赤く染まり、木の小屋は全て叩き潰され、倒壊している。
小屋の前には六人の男の死体があった。
傍らの雪の中に彼らの武器と思われる斧が転がっている。
マ(六人共、体を真っ二つに引き裂かれている…)
足跡の大きさから見て、巨大な生き物の仕業に違いないわ。
マ(ビッグ=ジムたちに知らせなくちゃ…!)
私は急いで引き返した。
・
・
・
一時間後、私は隊商に戻ると、前哨基地で見たことをビッグ=ジムに話す。
・
・
・
マ「…というわけなの」
ビ「ふむ… 今夜は無理をして進まないほうが良さそうじゃな」
ビッグ=ジムは安全のために、荷馬車で円陣を組むように命じる。
円陣の中央に大きな火が焚かれ、私とビッグ=ジムは腰を下ろして暖を取る。
マ「みんなが神経質になっているわね…」
ビ「心配無用じゃ。ちゃんと見張りは立てているよ。
だが、そんな怪物がいるのなら、この辺りで商売をするのは無理かもしれん」
マ「……」
私は前哨基地で見た巨大な足跡のことを思い出していた。
ビ「おば…じゃなくて、おねえさん、あんたはアナランドの勇士じゃったよな?」
マ「ええ、あのマンパン砦から《王たちの冠》を取り返したことがあるわ。
何度も死にそうな目に遭ったけど…」
ビ「その腕を見込んで頼もう。前哨基地を襲った怪物を仕留めてくれんか?」
マ「いいわよ」
ビ「おおっ、本当か?」
マ「報酬は金貨50枚!(*^.^*)」
ビ「何じゃと~!?(;゜△゜)」
私の返事を聞いて、ビッグ=ジムは驚きの声を上げた。
マ「それだけのお金で私の腕を借りれるなら、安い買い物だと思うわ」
ビ「しかし、金貨50枚とは… ちょっと高すぎると思うんじゃが…」
マ「ゆっくり考えてちょうだい。私に頼むか、他の人を当たるか…(*。-∀-*)」
ビ「うむむ…(´・ω・`; )」
・
・
・
結局、ビッグ=ジムは折れた。
ビ「いいだろう。但し、後払いじゃぞ?」
マ「決まりね。それじゃ、今夜は早く寝ることにしようっと♪」
私は床に就くことにする。その頃になって、やっと雪が収まってきた。
・
・
・
マ(眠れない…)
明日から始まる冒険のことを思うと、目が冴えちゃって…
マ(こういうときは…)
羊が一匹… 羊が二匹…
マ「……」
羊を数えているうちに、私は眠りに落ちていく…
・
・
・
マ「あら? もう朝…」
夜明けと共に私は目を覚ました。
マ「あー、寝不足…٩(*๑´O`๑*)۶」
昨夜、円陣の中央に起こした火は消えていた。
細長い煙が空へ舞い上がっていく。
ビ「ぐう… ぐう…( ̄q ̄)zzz」
私は気持ち良さそうに寝ているビッグ=ジムに歩み寄ると、彼の肩を叩く。
マ「ビッグ=ジム、起きてよ」
ビ「う、う~ん…? はっ!」
マ「これから出かけるわ。早く片付けば、夕方には戻ってこれると思うの」
ビ「そうか。相手は前哨基地の男たちを全滅させた怪物じゃ。
気を付けて行くんじゃぞ」
マ「このマーテルに任せなさい♪」
私は見張りの男たちに手を振ると、前哨基地の方へ向かって歩き始める。
あら? また雪が降り出したみたいね。
雪が深く降り積もり、氷のように冷たい風が吹きつけてくる。
マーテル(骨まで凍えちゃいそう…)
私はビッグ=ジム=サンという商人に雇われ、隊商の護衛をしている。
前哨基地を目指して出発してから数週間が過ぎていた。
いつになったら、目的の場所に着くの…?
荷馬車には高価な生地、裁縫道具、武器、塩漬けの肉、
香辛料や茶などが積み込まれている。
これらは毛皮や象牙の彫刻などと交換する品物らしいの。
ビッグ=ジムは北へ向かう道中のことは全く心配していない。
野盗が襲ってくるのは決まって帰りのときなのよ。
彼らは北部の産物を積んだ荷馬車だけを狙ってくる。
私は六台の荷馬車の先頭に立ち、凍った湖の上を歩いていた。
遠くの方には高い山が見える。
マ(あれが氷脂山脈…)
低く垂れ込めた雲の間から山の頂が空へ向かって突き出ている。
あの山の麓に北部の人々が集まって商売をするわけね。
マ(目的地は近いわ)
雪は降り続いているけれど、そんなに激しくはない。
★カツンッ☆ ☆カツンッ★
私は剣で氷を軽く突いてみる。
マ「うん、これなら…」
荷馬車が通っても割れる心配は無さそう。そう思ったとき…
★ピイイィィーッ☆
突然、角笛の鋭い音が静寂を破った。
私は慌てて立ち上がると、ビッグ=ジムの乗っている荷馬車に駆け寄る。
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ビッグ=ジムは二台目の荷馬車の御者の隣に腰を下ろし、
エリカの根で作られた長いパイプを吹かしている。
この大男が偉大な人物だということは、誰の目にも明らかだった。
ビッグ=ジム「……」
大柄な商人は青い目を光らせて地平線を見つめる。そして太い声で言う。
ビ「さっきの角笛の音は前哨基地から聞こえてきたようだ。
おば…じゃなくて、お前さん、ちょっと様子を見てきてくれ」
マ「うげ~! あんな遠くまで…?(*:`°○°*)」
ビ「ひょっとすると、面倒なことになるかもしれん」
マ「仕方ないわね…」
雇われの身なので、申し出を断るわけにはいかないわ。
ビ「もし危険だと思ったら、すぐ引き返すんだぞ」
マ「わかっているわよ」
私は急いで前哨基地へ向かう。
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二時間後、やっとのことで氷指山脈の麓にある砦に着いた。
マ「な、何があったの…!?」
雪は血で赤く染まり、木の小屋は全て叩き潰され、倒壊している。
小屋の前には六人の男の死体があった。
傍らの雪の中に彼らの武器と思われる斧が転がっている。
マ(六人共、体を真っ二つに引き裂かれている…)
足跡の大きさから見て、巨大な生き物の仕業に違いないわ。
マ(ビッグ=ジムたちに知らせなくちゃ…!)
私は急いで引き返した。
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一時間後、私は隊商に戻ると、前哨基地で見たことをビッグ=ジムに話す。
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マ「…というわけなの」
ビ「ふむ… 今夜は無理をして進まないほうが良さそうじゃな」
ビッグ=ジムは安全のために、荷馬車で円陣を組むように命じる。
円陣の中央に大きな火が焚かれ、私とビッグ=ジムは腰を下ろして暖を取る。
マ「みんなが神経質になっているわね…」
ビ「心配無用じゃ。ちゃんと見張りは立てているよ。
だが、そんな怪物がいるのなら、この辺りで商売をするのは無理かもしれん」
マ「……」
私は前哨基地で見た巨大な足跡のことを思い出していた。
ビ「おば…じゃなくて、おねえさん、あんたはアナランドの勇士じゃったよな?」
マ「ええ、あのマンパン砦から《王たちの冠》を取り返したことがあるわ。
何度も死にそうな目に遭ったけど…」
ビ「その腕を見込んで頼もう。前哨基地を襲った怪物を仕留めてくれんか?」
マ「いいわよ」
ビ「おおっ、本当か?」
マ「報酬は金貨50枚!(*^.^*)」
ビ「何じゃと~!?(;゜△゜)」
私の返事を聞いて、ビッグ=ジムは驚きの声を上げた。
マ「それだけのお金で私の腕を借りれるなら、安い買い物だと思うわ」
ビ「しかし、金貨50枚とは… ちょっと高すぎると思うんじゃが…」
マ「ゆっくり考えてちょうだい。私に頼むか、他の人を当たるか…(*。-∀-*)」
ビ「うむむ…(´・ω・`; )」
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結局、ビッグ=ジムは折れた。
ビ「いいだろう。但し、後払いじゃぞ?」
マ「決まりね。それじゃ、今夜は早く寝ることにしようっと♪」
私は床に就くことにする。その頃になって、やっと雪が収まってきた。
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マ(眠れない…)
明日から始まる冒険のことを思うと、目が冴えちゃって…
マ(こういうときは…)
羊が一匹… 羊が二匹…
マ「……」
羊を数えているうちに、私は眠りに落ちていく…
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マ「あら? もう朝…」
夜明けと共に私は目を覚ました。
マ「あー、寝不足…٩(*๑´O`๑*)۶」
昨夜、円陣の中央に起こした火は消えていた。
細長い煙が空へ舞い上がっていく。
ビ「ぐう… ぐう…( ̄q ̄)zzz」
私は気持ち良さそうに寝ているビッグ=ジムに歩み寄ると、彼の肩を叩く。
マ「ビッグ=ジム、起きてよ」
ビ「う、う~ん…? はっ!」
マ「これから出かけるわ。早く片付けば、夕方には戻ってこれると思うの」
ビ「そうか。相手は前哨基地の男たちを全滅させた怪物じゃ。
気を付けて行くんじゃぞ」
マ「このマーテルに任せなさい♪」
私は見張りの男たちに手を振ると、前哨基地の方へ向かって歩き始める。
あら? また雪が降り出したみたいね。