新たなヴィジョンを拓く労働問題総合誌『POSSE vol.2』(08年12月21日)発売の目次を紹介します。
今回の2大特集は、ずばり『蟹工船』と「名ばかり管理職」。
●雑誌『POSSE vol.2』目次
・「金融危機と派遣切り ―派遣政策の抜本的転換を」今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
・「内定切りで泣かない方法」川村遼平(大学生/NPO法人POSSE理事)
◇特集1 『蟹工船』ブームの先へ
・対談「ナショナリズムが答えなのか ―承認と暴力のポリティクス―」
高橋哲哉(東京大学教授)×萱野稔人(津田塾大学准教授)
・「プロレタリア文学の「手紙」が世界に舞う」
楜沢健(文芸批評家)
・座談会「「現代の蟹工船」から脱出するために」
雨宮処凛(作家)×土屋トカチ(映画監督)
・インタビュー「国会議員に聞く! 『蟹工船』ブームの真実」
小池晃(日本共産党参議院議員)/亀井亜紀子(国民新党参議院議員)
・座談会「若者と『蟹工船』のリアリティ ~ブームを普遍性にするには~」
『POSSE』編集部
◇特集2 名ばかり管理職/労働組合
・インタビュー「偽装管理者問題の周辺 ―正社員を追いつめる構造と労働側の戦略―」
熊沢誠(甲南大学名誉教授)
・インタビュー「「名ばかり管理職」の法律的問題」
棗一郎(弁護士)
・「過労死つくる「名ばかり管理職」「名ばかり労組」」
須田光照(NPO法人労働相談センター)
・ルポ「「名ばかり管理職」と非正規労働者 ―マクドナルドとSHOP99の現場から―」
梁英聖(ライター)
・「記録をつけて、職場を変える ~日本マクドナルドユニオンと『しごとダイアリー』~」
『POSSE』編集部
・「08年度POSSE「若者の仕事アンケート調査」結果 ~やりがいと違法状態の狭間で~」
今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
・「POSSE調査の意義と課題」
本田由紀(東京大学准教授)
・「労働と思想② グローバル資本主義と不自由賃労働 ―マリア・ミースに寄せて」
足立眞理子(お茶の水女子大学准教授)
●『蟹工船』×「名ばかり管理職」…特集の趣旨
特集テーマは、揃って流行語トップ10位内に選ばれたように、いずれも08年を代表するトピックになりました。しかし、これらが着目された背景やそこにある問題性は、08年になって初めて現れたわけでもなければ、08年だけで忘れられていいものでもありません。『蟹工船』も「名ばかり管理職」への注目も、単に「悲惨な労働の現実」を象徴する言葉としてのブームに終わらせるのではなく、今後の課題としていくために、『POSSE』ならではの問題提起や政策議論をしています。
◇「特集1 『蟹工船』ブームの先へ」
08年、メディアを席巻した『蟹工船』ブーム。この現象を紹介する議論のほとんどは、 「貧困や労働に苦しむ若者に読まれている」という表面的な解説に終わっていました。
しかし、私たちには、この80年前のプロレタリア文学の再評価を喜ぶだけでなく、『蟹工船』ブームをブームに終わらせないような、普遍的な労働運動の議論こそが必要なのではないでしょうか。そのために、私たちはまずこのブームについて検証することにしました。本当に若者は『蟹工船』に共感しているのか? 私たち若者は『蟹工船』をどう読んだら良いのか? 貧困、労働、「生きづらさ」、ナショナリズム、イデオロギー、そしてユニオニズム…。『蟹工船』には、現在の労働運動に普遍性や長期的なヴィジョンを編み出していくための論点がひしめいています。そんな『蟹工船』に即しながら、一時的なブームを超えていくような議論を目指しています。
中でも最大の目玉は、『蟹工船』に即しながら、格差社会におけるナショナリズムの可能性と限界について、高橋哲哉さん、萱野稔人さんというナショナリズムを専門とされる論客が、白熱した議論を繰り広げた「ナショナリズムが答えなのか ―承認と暴力のポリティクス―」です。
他にも『蟹工船』特集では、プロレタリア文学を専門とされている文芸批評家の楜沢健さんの論文や、『蟹工船』ブームを牽引されてきた雨宮処凛さんと、「21世紀のリアル『蟹工船』」と評されたドキュメンタリー映画『フツーの仕事がしたい』の監督・土屋トカチさんの対談も見所です。
さらには、日本共産党と国民新党の国会議員に対して『蟹工船』ブームについてインタビューした企画もあります。『蟹工船』という作品をどう評価するか、ブームをどう見るか、若者の「生きづらさ」とナショナリズム、そして今後の運動の方向性についてどう考えるかなど、忌憚のない回答をいただくことができました。格差問題に取り組む両党における、『蟹工船』ブームに対するあまりに対照的な意見は、非常に興味深い内容になっています。
特集の最後には、『POSSE』編集部による座談会が収められています。本当に『蟹工船』に共感できるのか、そんな若者の率直な感想と同時に、『蟹工船』ブームが問題提起した労働運動における課題について議論しています。
◇「特集2 名ばかり管理職/労働組合」
日本の労働者は戦後を通じてきわめて長い労働時間を強いられ、サービス残業や過労死も蔓延していました。しかし、現在注目を集めている「名ばかり管理職」問題は、こうした日本の実情の延長線上にありながら、これまでとはまったく異質なレベルの社会的反響を呼んでいます。「名ばかり管理職」を生み出した日本の労働社会の構造とは何か、現在の世論の盛り上がりの背景にはどのような労働環境の新しい変化があったのか、そして今求められる政策論はどのようなものなのか。本特集では労働組合の役割に着目しながらこの問題に迫っていきたいと思います。
一番の見所は、長年日本の労働社会を研究してこられた熊沢誠さんによる、19ページにわたるロングインタビューです。他にも、弁護士として管理監督者問題に取り組んでこられた棗一郎さんに法律的観点からの解説を、労働組合運動で「名ばかり管理職」問題に取り組んでいる須田光照さんには、「名ばかり管理職」問題に取り組んでこなかった「名ばかり労働組合」を批判するルポを寄稿していただきました。他にも、「名ばかり店長」の下で働くアルバイトの働かせ方について取材したルポもあります。
168ページ。850円(送料別)。
今回の2大特集は、ずばり『蟹工船』と「名ばかり管理職」。
●雑誌『POSSE vol.2』目次
・「金融危機と派遣切り ―派遣政策の抜本的転換を」今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
・「内定切りで泣かない方法」川村遼平(大学生/NPO法人POSSE理事)
◇特集1 『蟹工船』ブームの先へ
・対談「ナショナリズムが答えなのか ―承認と暴力のポリティクス―」
高橋哲哉(東京大学教授)×萱野稔人(津田塾大学准教授)
・「プロレタリア文学の「手紙」が世界に舞う」
楜沢健(文芸批評家)
・座談会「「現代の蟹工船」から脱出するために」
雨宮処凛(作家)×土屋トカチ(映画監督)
・インタビュー「国会議員に聞く! 『蟹工船』ブームの真実」
小池晃(日本共産党参議院議員)/亀井亜紀子(国民新党参議院議員)
・座談会「若者と『蟹工船』のリアリティ ~ブームを普遍性にするには~」
『POSSE』編集部
◇特集2 名ばかり管理職/労働組合
・インタビュー「偽装管理者問題の周辺 ―正社員を追いつめる構造と労働側の戦略―」
熊沢誠(甲南大学名誉教授)
・インタビュー「「名ばかり管理職」の法律的問題」
棗一郎(弁護士)
・「過労死つくる「名ばかり管理職」「名ばかり労組」」
須田光照(NPO法人労働相談センター)
・ルポ「「名ばかり管理職」と非正規労働者 ―マクドナルドとSHOP99の現場から―」
梁英聖(ライター)
・「記録をつけて、職場を変える ~日本マクドナルドユニオンと『しごとダイアリー』~」
『POSSE』編集部
・「08年度POSSE「若者の仕事アンケート調査」結果 ~やりがいと違法状態の狭間で~」
今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
・「POSSE調査の意義と課題」
本田由紀(東京大学准教授)
・「労働と思想② グローバル資本主義と不自由賃労働 ―マリア・ミースに寄せて」
足立眞理子(お茶の水女子大学准教授)
●『蟹工船』×「名ばかり管理職」…特集の趣旨
特集テーマは、揃って流行語トップ10位内に選ばれたように、いずれも08年を代表するトピックになりました。しかし、これらが着目された背景やそこにある問題性は、08年になって初めて現れたわけでもなければ、08年だけで忘れられていいものでもありません。『蟹工船』も「名ばかり管理職」への注目も、単に「悲惨な労働の現実」を象徴する言葉としてのブームに終わらせるのではなく、今後の課題としていくために、『POSSE』ならではの問題提起や政策議論をしています。
◇「特集1 『蟹工船』ブームの先へ」
08年、メディアを席巻した『蟹工船』ブーム。この現象を紹介する議論のほとんどは、 「貧困や労働に苦しむ若者に読まれている」という表面的な解説に終わっていました。
しかし、私たちには、この80年前のプロレタリア文学の再評価を喜ぶだけでなく、『蟹工船』ブームをブームに終わらせないような、普遍的な労働運動の議論こそが必要なのではないでしょうか。そのために、私たちはまずこのブームについて検証することにしました。本当に若者は『蟹工船』に共感しているのか? 私たち若者は『蟹工船』をどう読んだら良いのか? 貧困、労働、「生きづらさ」、ナショナリズム、イデオロギー、そしてユニオニズム…。『蟹工船』には、現在の労働運動に普遍性や長期的なヴィジョンを編み出していくための論点がひしめいています。そんな『蟹工船』に即しながら、一時的なブームを超えていくような議論を目指しています。
中でも最大の目玉は、『蟹工船』に即しながら、格差社会におけるナショナリズムの可能性と限界について、高橋哲哉さん、萱野稔人さんというナショナリズムを専門とされる論客が、白熱した議論を繰り広げた「ナショナリズムが答えなのか ―承認と暴力のポリティクス―」です。
他にも『蟹工船』特集では、プロレタリア文学を専門とされている文芸批評家の楜沢健さんの論文や、『蟹工船』ブームを牽引されてきた雨宮処凛さんと、「21世紀のリアル『蟹工船』」と評されたドキュメンタリー映画『フツーの仕事がしたい』の監督・土屋トカチさんの対談も見所です。
さらには、日本共産党と国民新党の国会議員に対して『蟹工船』ブームについてインタビューした企画もあります。『蟹工船』という作品をどう評価するか、ブームをどう見るか、若者の「生きづらさ」とナショナリズム、そして今後の運動の方向性についてどう考えるかなど、忌憚のない回答をいただくことができました。格差問題に取り組む両党における、『蟹工船』ブームに対するあまりに対照的な意見は、非常に興味深い内容になっています。
特集の最後には、『POSSE』編集部による座談会が収められています。本当に『蟹工船』に共感できるのか、そんな若者の率直な感想と同時に、『蟹工船』ブームが問題提起した労働運動における課題について議論しています。
◇「特集2 名ばかり管理職/労働組合」
日本の労働者は戦後を通じてきわめて長い労働時間を強いられ、サービス残業や過労死も蔓延していました。しかし、現在注目を集めている「名ばかり管理職」問題は、こうした日本の実情の延長線上にありながら、これまでとはまったく異質なレベルの社会的反響を呼んでいます。「名ばかり管理職」を生み出した日本の労働社会の構造とは何か、現在の世論の盛り上がりの背景にはどのような労働環境の新しい変化があったのか、そして今求められる政策論はどのようなものなのか。本特集では労働組合の役割に着目しながらこの問題に迫っていきたいと思います。
一番の見所は、長年日本の労働社会を研究してこられた熊沢誠さんによる、19ページにわたるロングインタビューです。他にも、弁護士として管理監督者問題に取り組んでこられた棗一郎さんに法律的観点からの解説を、労働組合運動で「名ばかり管理職」問題に取り組んでいる須田光照さんには、「名ばかり管理職」問題に取り組んでこなかった「名ばかり労働組合」を批判するルポを寄稿していただきました。他にも、「名ばかり店長」の下で働くアルバイトの働かせ方について取材したルポもあります。
168ページ。850円(送料別)。
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