「蟹工船」日本丸から、21世紀の小林多喜二への手紙。

小林多喜二を通じて、現代の反貧困と反戦の表象を考えるブログ。命日の2月20日前後には、秋田、小樽、中野、大阪などで集う。

『マンガ100年 見て聞いて』

2020-05-12 23:30:49 | 一場の春夢――伊藤ふ...

 森熊猛著『マンガ100年 見て聞いて』(A4判 120頁 定価2,500円)は、白樺文学館・多喜二ライブラリーが、2004年8月に主催した「生誕100年記念小林多喜二国際シンポジウム」に併設された「森熊猛作品展」に出品した作品を中心に、新聞各紙に掲載してきた新聞マンガなどを網羅した著者渾身の書き下ろしで、日本マンガ100年の歩みを回顧する内容になっている。

表紙は、ふじ子観音のほほえみ。

 また、1932年春の中国への侵略戦争拡大の中で、特高に追われた小林多喜二の地下活動を支えた森熊ふじ子(旧姓伊藤ふじ子・森熊猛の妻)の俳句集『寒椿』も抄録され、多喜二亡き後のふじ子の生活を辿れる内容になっている。

 著者の森熊猛氏は、今年9月17日に95歳の生涯を閉じたが、同書の巻頭で、作家澤地久枝さんの「眠りより安らかにー会えなかったふじ子さんへー」が収録されている。

ふじ子の嫁入りの仕度の中にあった多喜二の遺品、いつもふじ子のかたわらにある仏壇にまつられた小さな分骨の包みへの森熊さんの思い。

そして、妻亡きあと、おのれ一人の決心で、多喜二の分骨を妻の遺骨にまぜ埋葬した思いー。尋常に来ることではない。


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