東海フォレストツアーとして乗鞍高原スノーシューハイキングの案内があった。友人夫妻と共に我々夫婦も申し込んだが‥‥。妻が帯状疱疹に罹り取り止めて、我が家は私だけの参加となる。ロッジ「ふもと」到着後は、早い時間から飲みながら談笑。上等な宿とは言えないが酔ってしまえば、なんていうことはない。
2日目、観光センターが起点。スノーシューを借り衣装を整えた。私は積雪期登山や高遠少年自然の家での経験から難なく支度できたが、中にはスノーシューは初めてと言う人もいて手間取った。目が届き易いようにA,B2班に分けられた。ガイドの後に続いて参加者が、えっちらおっちら歩を進める。スノーシューは大きくて足にまとわりつく。多少の上り下りでも、それなりのテクニックが要る。間もなく牛留池に到着。氷結した上に真っさらな雪、Yonさんの計らいで向う岸までのかけっこ、よーいドン。こけつまろびつ各人好きなところをドタバタ、ドタバタ。「ここで後ろを振り向きましょう」の合図に振り返ると‥‥、わーお、林の上に乗鞍岳が、素晴らしい!要所々々でガイドがあり楽しい。おっ、熊の食事処(熊棚)だ。楢の木の梢に枯れた枝が広がっている。あんなに高い細枝の所まで上れるのだ。熊に遭遇して木の上に逃げたとしても追いつかれてしまう。もっとも、この姿では木に上れそうにもない。小さなコブを上がったり下がったり進み一ノ瀬遊園地に到着。ここは、更に開けていて絶景の場所だ。弁当を食べながら良い時間を過ごした。この後急降下して善五郎の滝へ。氷瀑を登っているところを初めて見た。14時スタート地点に戻り道具を返却。乗鞍岳には不気味な雲が現れていた。天気が崩れる予兆とか、天気に恵まれスノーハイクを充分楽しむことができた。
乗鞍岳は姿が良い。一ノ瀬遊園地からの眺めを彫ることにした。先生から中景に樹林を置くようにアドバイスを受けた。美しい峰を、それなりに表現できたと思っている。
2018/7SHC夏山合宿で乗鞍岳に登った。乗鞍高原が眼下にあった。
追記
このツアーに一緒に参加したT夫妻とは長きに亘り旅行を共にした。7月乗鞍高原泊、シャトルバスで畳平へ、富士見岳下のコマクサ群を見てもらいたいと宿の予約をしたのに‥‥。奥様が病に罹り予約をキャンセル、10月亡くなられた。版画の師に続いて大切な友人を失い、とても悲しい。今になって乗鞍岳は様々な想いが重なる山となっている。
(2025年1月・IK記)
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この画の素材となった乗鞍高原は、IK氏の個人的なツアー参加ゆえに、それがいつのことか、また元になった写真など全く分からないのだが、2012年3月、会の合宿山行で乗鞍岳西麓の乗鞍青少年交流の家に泊まった。丸黒山を目指してのスノーシューハイキングは、時間と天候の関係もあって3分の1ほどの行程で終わったが、フカフカの積雪の中のどこを歩いてもOKという自由な感覚は、初心者を混じえて楽しいものだった。
昨年の高見山に続いて今回の冬期合宿にも大勢の方が参加され、企画した者として嬉しく思います。今回のテーマは、「スノーシューを使って雪の上に自分達のトレールを刻む」ということでした。交流の家備品のスノーシューはあまり上物ではなく、装着に手間取ったり、最初は足の運びに戸惑ったりしましたが、時間が経つにつれ、皆さん人の踏んでいない所をどんどんと進んで行きました。雪の上を自由に歩き回る愉しさを覚えたことが、皆さんの感想から伝わってきました。力にあった場所を選び、充分な用意をし、そして少しだけ大胆な気持を持って臨めば、雪の野山ほど心が解放される所はないと思います。
帰りの時間や下り坂の天候のこともあり、目的地の半分くらいの地点で引き返しましたが、なだらかで静かなこの尾根は気持ち良く、冬のこんな遊びには最適のフィールドと感じました。ぜひとも機会を作ってあの続きを歩きたいものです。(『やまびこ』No.182)
この3月「あの続き」を歩けることになった。どんな景が待っているだろうか。