映画と渓流釣り

わが母の記

 ゴールデンウィークの名付け親が、映画界であることは周知のことであります。昨今、3連休が珍しくもなく、余暇の過ごし方も千差万別にもなれば、黄金週間などという呼び名はおこがましく響いてしまいます。

 今や昭和の日と呼ばれるようになった29日、『わが母の記』を鑑賞して参りました。
原田監督は、端正な作品を撮られる人のイメージがあり、若干堅苦しさを感じる作品が多いように思っています。そのどれもが水準以上の出来栄えだと思うのですが、飛び抜けて素晴らしいと感じるモノがある訳ではありません。今日観た作品も、多分かなり原作に忠実なんだろうと思います。きっちりしていて、無駄の無い演出です。役所広司、樹木希林、宮崎あおい、その他芸達者な人ばかりが懇親の演技力を見せ付けてくれます。
 ボケてゆく老母を見守る子供たち、翻弄される孫や親族を静かに描く演出力は優れており、下手なTVドラマのような違和感はありません。わたくしが唯一納得がゆかなかったのは、売れっ子作家の家庭の持つ臭いのいやらしさでした。あの当時、一般庶民の家庭ではあそこまで悠長にボケ老人を許容できなかっただろうと思うのです。

 日本映画ならではの肌理細やかな上質作品ではありますが、『ヒミズ』が見せてくれたような先行きの見えない緊張感を感じることはありませんでした。
 しかしながら、今年の傑作に数えられる優良な作品であります。
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