薬物のこと
幸いなことに、今までの人生で薬物により人生を狂わせた人を知らない
そういった人は持って生まれた心の弱さとかもあるのだろうけど、無知や家庭環境・衆人環境などの後付けによって泥沼にはまっていくのだろう。この映画の主人公である杏も12歳の売春から16歳の薬物摂取という流れを経験している
大人の責任以外の何物でもない
毒親のこと
しばらく前の流行り言葉に「親ガチャ」なるものがあった
子供からすれば親は選ぶことのできない最初の選択肢だ。アタリもあればハズレもあるということなんだろう
学歴を調べた調査では、裕福な家庭に育った子に高学歴な子供が多いことも明らかになっている
最近の映画のネタにも沢山なっているけど、大体の場合毒親は女親だ。そして、彼女達はほとんどシングルマザーで貧困な生活にあえいでいる。動物的な本能は、子を守ることより自分を優先させてしまうのか
男親の無責任さも合わせて、親権ってなんだろうかと考えさせられる
杏が受けた毒親からの仕打ちより、隣人が放置した男の子を必死に守り慈しむ杏の母性の不可思議さに深みを感じる
人の二面性のこと
誰にも色々な素顔はあるので、嫌なヤツも良い人も見方の角度で感じ方は変わる。照らされる表面の見え方だとも言えるわけだが、応対する人によったり場所や時間によっても変わるから、二面どころか無数の顔を使い分けて人は生きているのかもしれない
薬物漬けの生活からサルベージしてくれる刑事が、裏では弱みに付け込んで強姦をしていた
杏にとっては救いの神であり最後の砦になりうる人だったのに、他の人には忌まわしい人物だった。どちらが本当の姿なのかは分からないし、もしかしたら本人にさえ分からないからこその二面性なんだろう
コロナのこと
あの止めようがない閉塞感をつい最近経験したばかりなのに、わたくしたちは既に過去の話として語ろうとしている。皆んながマスクして、そのマスクも不足気味で入手するために四苦八苦していたことを忘れ始めている
街から人が消え、電車も真冬の寒さであっても窓が開けられた。映画館もライブ会場もオリンピックまでもが延期され、せっかく当たっていたバレーボールと陸上のチケットは紙屑になった
杏の職場である介護施設は感染予防にいちばん敏感な場所だった。ほとんど外部の人と接する機会のないデスクワークのわたくしでさえ、出社せず自宅でリモートワークをしていた。あの時、沢山の人が仕事を止められ生きるための糧を失っていったことが、今更ながらこうして知ることとなる
杏のこと
親が両親揃って真っ当な人であったら・・・
普通に学校に通ってクラスメイトにハブられたりすることもあったろうけど、給料という漢字は書けたろうに
親から売春を強要されるなんて地獄を経験することなく、薬物に手を染めるようなことは無かったはずだ
親身になってくれる人や冷たい人も表面的に出会うことはあっても、自分の人生を左右するような裏切りを経験することは無かっただろう。底辺に喘ぐ人々に手を差し伸べられたのは、世の中が平和で余裕があるからに他なく、明日自分の生活も命もどうなるか分からないパンデミック世界では弱いもの力ないものから切り捨てられて行く
杏はそうして死んでいった
わたくしには彼女を助けてあげられる度量はない
ズルくて情けない大人だ
気になったこと
日本のドラマや映画に多いんだけど、「このお話は真実に基づいてます」の御触れ
あれは本当にゲンナリする
映画はすべてフィクション。ドキュメンタリーでさえカメラを通してフィルムに焼き付けられた瞬間、誰かの作意で映像化されるのだ。日本の騙されやすい一部の方が真実ドラマを妄信的にありがたがるのは分かるけど、もうそろそろあの安っぽいテロップは止めよう
テレビドラマで初めて彼女を知った人も、映画女優の河合優実が凄いことを分かってくれたかな
これからも応援してゆく
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