映画と渓流釣り

周防監督の真剣さ

 前作がわたくしにとって全く受け付けられない作品であったのは、この日記でも触れていますから、くどくど述べるのはやめましょう。合わなかったと言うことです。それ故に新作「終の信託」は期待より不安が勝っておりました。 
 周防監督作品は、アルタミラの方向性を決定付けるような作風が多くて、「がんばっていきまっしょい」「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」のような傑作が生まれています。ある日突然巻き込まれた出来事を機に、徐々に一生懸命頑張ってしまう人々を活写するスタイルは日本人好みであり、多くの類似作品が作られています。「しこふんじゃった」の学生相撲、「Shall We ダンス?」では社交ダンスの魅力を存分に味合わせながら、一生懸命取り組むことの素晴らしさや達成感を衒いなく魅せてくれました。

今回は、前作以上にシビアな問題を提起しております。大人のお話になってしまった寂しさはありますが、いつまでも青春のピカピカしたお話しばかりも深みがありませんから仕方が無いのかもしれませんね。それにしても「終」についてとは、重いです。そして、その重さを背負うのが残された人々であることは、当たり前ではありますが理不尽な気がいたします。死んでしまえば何も抱える必要が無いんですね。日本人のメンタルからすると、死んで楽になりたいという感情は良く分かります。手軽く辛さから逃避するには死んでしまうことが一番ですから、弱い人ほどその誘惑に抗えないことでしょう。わたくしは強くありませんが、そこまで思い詰めるほどの辛いおもいをしたことがないために死という選択を考えたことがありませんけど、何時どうなることやら。
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