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映画と渓流釣り

いつか誰れかが、花束みたいな恋をした


坂本裕二が映画の脚本を書いた。それだけで映画館に行く価値はあると思う。数多い傑作テレビドラマの台本は会話劇が魅力的で、それはテレビという媒体だからこその優位性なんだけど、スクリーンではどんなふうに演出され演じられるのだろうかと期待半分不安半分。

何処にでもありそうな出会いと別れを描いている。だからって自分の事の様に心ときめいたり、些末なことですれ違ったりの喪失感を共有できるものじゃない。多分ご覧になった多くの男女は何処かに自分を投影できたと思う。どんどん好きになってゆく気持ちとか、面倒臭ぇなと思ってしまう煩わしさとか。時の流れの中に漂う二人の気持ちを掬い取れるように見せてくれた土井演出と有村架純、菅田将暉の演技も良い仕事しているなと感じ入った。

同じ物が好き=相性が良いとは限らないけど、コーヒー飲みながら本を読むのが好きな人と週末はグラウンドを駆けまわっていないと気が済まない人の組み合わせがずっと続くとは思えない。どちらかが感化されて同じ趣味を持つようなことはあるだろうけど、人と人は何処かに接点がないと交わり会えないものだ。だからって、同じ作家の同じタイトルが好きな二人もこの映画の様にいつかは離れてゆく。

別れ話のファミレスの別席では、かつて自分たちがときめきあった様に近づく男女がいる。それぞれ別の彼氏彼女連れで偶然出会っても、表面上は素知らぬ顔で後ろ姿どおし手を振り別れゆく。
永遠なんて無い事はもう知っているけど、なんか切ないような軽やかなような、そんな作品。
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