はんかくさいんでないかい。

八つ当たりブログである。だから誤爆はある。錯誤もある。情報の正確性も保証しない。でも、変なことは変だと言いたいのである。

なごり雪

2014年04月16日 | 日記

伊勢正三が作詞・作曲してイルカが歌った「なごり雪」は、名曲扱いされている。それに対する不満ではない。実はなごり雪というものが、それほどロマンチックではない事は、雪国の住人なら皆知っている。

冬に雪が振り、積雪があたりを覆い尽くすような地方では、雪解け時の汚物化し、地面にへばりついている汚い雪に、早く解ければ良いのに、とは思うのだが、取り立てて思いを寄せるほどのものではない。

雪国の冬は便利である。厄介なゴミはとりあえず外に放り出しておけば、降り積もる雪が隠してくれる。猛烈な吹雪などがあると、家の周囲も道路も何もかもが境界を失ったかのように見えるし、不要なものを一時的に放置しておいても雪がその痕跡を消し去ってくれる。いわば手抜きしても当面は「見えない」し「分からない」のである。

高校のバレーボール部の先輩―とは言っても直接言葉を交わしたことも無いのだが―が、婚約者以外の女性を妊娠させ、困り果ててその妊娠女性を殺害したのも、こうした冬である。その先輩というか、殺害犯は、オレの実家自宅の斜向かいの借家に住んでいた。顔だって毎日見かけている。殺害方法は単純で、殺害し、神社のある山の参道脇に遺棄した。春になる前に遺体が発見され、その犯人は逮捕された。冬である。遺体は雪に埋まっている。行方不明者として捜索されず、犯行を行った当人が良心の呵責に耐え切れず、参考人として聴取された時点で自白した。そうでなければ遺体は、それなりに人通りがある道路脇に春になるまで気付かれずに放置されていただろう。なごり雪から死体、である。ちっともロマンチックではない。猟奇的ですらある。

つまり、雪解け時には、そうした冬の間の悪行三昧が封じられているわけだ。なごり雪もかっての白さとは程遠い、冬の間の空気の汚れを顕在化させてくれる。ロマンチックとは程遠い。伊勢正三をWikipediaで調べると、大分県生まれである。ときおり大分あたりでも雪は振るだろうが、相当の高山に行かなければ積もるほどの事は無い。半年も雪に埋もれた生活をしている人間と、淡雪ですぐに溶けるような地域の人間とは、そうしたなごり雪に対する見方だって違う。