近所にお気に入りのケーキ屋さんがあります。住宅地の中にあるこぢんまりとした、可愛らしいお店なのですが、そこのシュークリームがめっっっちゃ、私好みなのです。
しっかりめのシュー皮に、濃厚カスタードクリームがぎっしり。
このクリームを受け止めるのは、このシュー皮しかない!というくらいのベストマッチ。
(あくまで個人の感想です)
そのお店の「売り」はクリームチーズケーキらしいのだけど、私にとっては「割と普通」だった・・・お店の人、ごめんなさい!
そういえば以前、あれは夏のころだっただろうか。歩いてお店に行って、「ふ~結構暑いなあ、のどカラカラだ~」と思いながらショーケースの前に立ったら、店員さんが笑顔で
「新商品のスフレチーズケーキです。ただ今、焼き立てです。いかがですか?」
・・・今、口ン中、カラカラなんすけど・・・スフレ・・・ですか・・・
一度は遠慮したものの、その時店内に客は私一人。
店員さんが笑顔ですすめてくれるので、あまり断るのもどうかと思い、一切れ(しかも結構大きい)いただきました。
「いかがですか?」
「・・・すごい、ふわふわですね・・・」
口の中の、なけなしの水分をスフレに奪われ、辛かった(?)思い出があります。
そんな、とても感じのいい店員さんのいる、お気に入りのケーキ屋さんは、500円購入ごとに1個スタンプを押してくれるポイントカードを発行しています。
そのカードがいっぱいになったら、お店で売られている正規のロールケーキが一本貰えるんです。私はこれまでに、2枚カードをいっぱいにして、最初はシンプルなロールケーキ、次はイチゴのロールケーキを貰いました?
そして数日前、3枚目のカードでケーキを貰おうと、お店に行ったら
「3枚目のカードは、わがままカードなんです」と、店員さん。
わがままって・・・?
「予約注文していただければ、フルーツいっぱいのタルトでも、オリジナルデコレーションケーキでも、5号サイズでなんでもお作りします」
・・・え・・・? で、それが・・・タダで?
「はい(笑顔)」
・・・ええ――――っ!
それって、すごくない?すごすぎない?
でも私は今日食べたいな~と思ってきたわけだから・・・
「でしたら、どうぞ、お好きなケーキを」
・・・って、ショーケースの中から、好きなケーキを?どれでも?いくつでも?
「いくつでも、どうぞ。わがままカードですから」
わがまますぎるだろ―――――っ!!!
マジですか店員さん。「じゃあ、ケースの中身全部」とか言ってもOKなんですか?ねえ!
しかし、さすがにそんな大それたコトはできない・・・というか生モノだから、あんまり保存きかないしね・・・
でもどうしよう。なんでもいい、いくつでもいい、と言われると、逆に遠慮してしまう小心者な私。「何個まで」「合計何千円まで」とか制限つけてくれた方が選びやすいんだけど・・・
店員さんは笑顔で待ってる。
うう・・・なんだ、この幸せすぎてつらいみたいな状況・・・
えーとえーと、じゃあ家族分も考えて、お気に入りのシュークリームを4つとチョコケーキ2つとモンブラン1つと・・・あとイチゴのショートケーキ1つください。
「よろしいですか?」
え?何?その「もっと選ばなくていいの?」みたいな雰囲気っ。
でもそんなに食べきれないし・・・っ・・・いいです、それで、はい。
店員さんは包装しながら、なおも言いました。
「今回、本当にこのカードと引き換えでよろしいですか?わがままカードなんですけど・・・」
・・・なに?なんなの?ドキドキ。
わがままカードって、そんなに貴重なものなの?
いや、確かに貴重ではあるかもしれないけど、なんかこう・・・とてつもない力を持ったカードを私がその価値もわからずにつまらないことに使おうとしているのを阻止するかのような・・・
怖い。なんかしらんが、怖すぎる。
甘い言葉には裏があるはず。上手い話に乗ったら、痛い目に遭うぞ。
いいんだ、今回はこれで。合計で¥2,300~400分はタダで貰ってるんだから。
欲張っちゃ、だめ。
「ありがとうございます」
ケーキの箱を手渡しながら店員さん。
それはこっちのセリフですよっ。
その日のティータイムは、コーヒーと共に美味しいケーキを堪能。
・・・しかしあのポイントカード・・・
3枚目のわがままカード以上のものが、この世にあるんだろうか・・・
私の手元には、すでにいくつかのスタンプが押された4枚目のカードがあるのです。
・・・これがいっぱいになったあかつきには、一体・・・