多摩爺の「時のつれづれ(神無月の35)」
1票の格差なんだが・・・
先週末のことだが・・・ 政府は、審議会から是正するよう勧告を受けていた、
衆議院の小選挙区をめぐる1票の格差について、
15の都県で、当選者数を10増10減する案について・・・ 閣議決定をした。
メディアの報道を見ていたら・・・ 10の県で減少し、5の都県で増加のように思われるが、
審議会は15の都県での10増10減に併せて、
25の都道府県の140選挙区でも、区割りを見直すようにとの勧告も出しており、
295の小選挙区のうち、約半分で区割りが見直されることになりそうである。
そもそもは、小選挙区内に住んでる有権者の人数を対比したら、あまりにも差があることから、
それを2倍以内に収めるために、都道府県単位で小選挙区の数を見直そうということで、
個人的には、反対ではないものの・・・ ちょっとした、わだかまりがあるので記してみたい。
そのわだかまりとは・・・ 地方なら、気にならないかもしれないが、
都市部では、区割りが見直されることで、
生活している自治体が、有権者数の帳尻あわせによって、
2つ、もしくは3つの小選挙区に・・・ 分断されてしまうことである。
いまでも、そういうところがあるんだから・・・ 気にするなという意見もあるだろうが、
地方なら、市町村単位で引っ付けたり、離したりして調整すれば良いものの、
都市部では、同じ町名でありながら、1丁目と2丁目で選挙区が違うことになったりして、
道路を挟んで・・・ 選挙区が違うこともでてくる。
小学校は投票所になっていることが多いので、
さすがに校区内での分断はないと思うが、
小学校より広域の中学校では、校区内で分断される可能性は多分にでてくるだろう。
現に東京23区では、多くの区において2つ、3つの選挙区に分割され、
1つの自治体から選ばれた国会議員は、1人どころか、2人、3人存在することになり、
小選挙区で惜敗した候補者が、比例で復活したら、議員は複数の政党に跨がることにもなってくる。
こういった場合で、野党議員が小選挙区で勝ち、与党議員が比例復活だったら、
首長(自治体)から国会議員への陳情は・・・ いったい、だれを頼れば良いのか、
これもまた、いささか難儀なことではなかろうか?
さらに、代議士を支える区議会議員は、自らの地盤との兼ね合いもあって、
支援するにしても・・・ 小選挙区を跨がったりして、けっこう苦慮するだろう。
よって、今回の是正勧告が、おかしいと言うんじゃないが・・・ これをやっちゃうと、
人口や、有権者数という視点で捉えた1票の格差は、2倍以内に抑えられるかもしれないが、
住んでる自治体から選ばれた、議員数といった視点で捉えると、
その自治体の価値は、2倍、3倍、4倍に跳ね上がると思うが・・・ 如何なものだろうか?
1票の格差是正は、やらなきゃいけないことだと理解はしてるが、
一方で、地方の切り捨てにならないかとの視点も・・・ 忘れてはならない。
1票の格差是正をやると、なんだかんだと言っても、
地方で議員数を減らして、都市部で議員数を増やすわけだから、
地方の声が、国政に届き辛いとまでは言わないものの、
その声が小さくなってしまうことは・・・ 現実問題として起こることは間違いないだろう。
情けないことに、自分でも、なにが正しいのかが分っていないが、
市区町村といった最小単位の行政区分を、小選挙区という区分で分割すれば、
このような事態になることは必然であって、避けられないのである。
さらに総選挙が行われる度に、区割りが見直されてしまうことを想定すれば、
今回の選挙で当選した議員は、次回は隣の選挙区に行ってしまい、
次々回の選挙になったら、また戻ってくる、なんてことも十分にあり得ることで、
ややこしいし、有権者を小バカにしてるようにも思えてくる。
地方選出の政権与党幹部が・・・ 「地方の切り捨てにつながる。」といったら、
野党は1票の格差を持ち出して、一斉に噛みついたが、
思うに格差是正よりも、小選挙区制度を見直さなきゃ、区割りによって生じる矛盾は解消されず、
地方の切り捨てが、ホントに進んでしまうと思うが・・・ 野党はそれで良いのだろうか?
究極の格差是正は・・・ 大選挙区(比例代表)制度であり、
これだったら、政党間の選挙協力もなく、政策における妥協も必要ないと思うが、
それをやったら、選挙区が大きくなりすぎてしまい、
選挙費用が増えることは必至で、対案としては・・・ ちょっと厳しいのかもしれない。
さらに、地方出身の実力者が、基礎票だけでは当選に至らないといったことが現実となり、
与野党の重鎮が、バタバタと討ち死にすることだって、十分に考えられるし、
有象無象と言っちゃ失礼になるが、冷やかし半分の議員が当選することもあったりして、
大選挙区という制度が、現実的な解になるとも思えない。
すると・・・ 残された案は二つになるだろう。
一つは、選挙区から2名~5名程度を選ぶ、以前の中選挙区に戻すことであり、
もう一つは、小選挙区の数に、自治体を分割して辻褄を合わせるのではなく、
全国の自治体の数を抜本的に見直す、令和の廃藩置県しかないと思うが、如何なものだろうか?
私的には、この国のデジタル化を一気に加速させ、
約300の基礎自治体をベースに、道州制度で地域に根を張った経済圏を確立した、
令和の廃藩置県を・・・ 5年ぐらいかけて、是非とも勧めて欲しいと願ってやまない。
市役所や区役所の業務を統合しても、デジタル化を推進すれば、
公務員数をある程度絞っても、支所を増やすことも可能になると思うし、
人員が不足してるといわれている保健所業務に、職員を増員配置させることも可能になる。
この国の人口は、約1.2億人で、選挙権を持つ有権者は84~5%だから約1億人である。
300の基礎自治体に分割すると、1つの都市は30~40万人程度となり、
そっくりそのまま小選挙区にすれば、おそらく1票の格差が2倍になることもないだろう。
唯一の難点は、東京や大阪、横浜、名古屋、福岡といった地名は残るが、
東京都、大阪市、横浜市、名古屋市、福岡市という自治体名がなくなることかもしれない。
現実的には、それが嫌で・・・ 大阪都構想が拒否された経緯もあり、
総理がいくらリーダーシップを取って、先頭に立って旗を振っても、
自治体から、反旗が翻ることもあり得るので、ものごとはそう単純ではなく、
火花が散るような、言論戦になることが必至ではなかろうか?
1票の格差・・・ それは、この国の舵取りを託す人を選ぶ、
とっても、とっても大きな問題だが、
総選挙が終わった後から、毎回、毎回、ちまちまと取り繕うよりも、
大胆に見直して欲しいと思うが・・・ 如何なものだろうか?
追伸
1票の格差とはいうものの、国連などの国際会議においての1票は、1国に1票であって、
そこに人口による傾斜配分もなければ、負担金などによる傾斜配分もない。
人口による傾斜配分があったら、世界は中国とインドに牛耳られてしまうだろうし、
負担金による傾斜配分があったら、我が国の意見はもっと強いはずだが・・・ そうもいかない。
国政選挙における1票の格差とは、論点が違うと思いもするが、
そういった視点もまた、平等でないかといえば、そうとも言い切れず、
都市部と地方の1票に、格差があったとしても、
必ずしもそれで・・・ 価値が重い、軽いということにはならないと思うが、如何なものだろうか?
世の中の人は「公平だとか平等だとか」言い過ぎるんだと思います。
要は、理想ばかりを追い求めると現実的に実行は不可能だと思います。
例えば、1票の格差を確実に実行するには選挙のたびに地図を塗り替えないといけません。
現実にできるか?相当に無理があります。
なので、格差をなくすより、格差はあるものだと納得せざるを得ません。
地区代表だと考えれば、同じ地区では、「1人」しか選択できない仕組みの方が合理的です。
常に定数は「1議席」だけにした方が分かり易い。
なので、議員定数は大幅に減少し都道府県の代表定数になり激減する。
次に、選挙で人物を選ぶか?政党を選ぶか?の選択をどうするかだと思います。
現行法では人物よりは「政党」の方が力学が強い。
なので、比例代表の当選者は誰か良く解らない人が当選する。相当にいい加減だと思われます。
また、人口格差はあったとしても同じ地区で選挙を戦う人々にとっては土俵が同じですから不公平だとは考え難いと思います。その地区の人の意思は反映できる。
問題は他区及び全国的にみると格差が有るというだけの事です。
これを整理するには不可能な物を要求している様なものです。
次に、比例代表制というのは廃止して政治家個人に投票する。政党ではなく個人の選択を重要視する。
理由は、政党政治には全ての政策に一致する事は不可能だと思います。
簡単に言えば、政党政治がなくなった方が国民の意思は反映させやすいと思います。
但し、政策ごとの一致するグループ集団を与野党を超えて認めることです。
国会の決議は常に法案ごとに採決での意思表示の方が分かり易い。生徒会の様に多数決です。
また、国のトップは米国の様に大統領制に変更する方が分かり易い。
国民が選択もしない総理大臣は全く危機感もなく政党内のご機嫌伺いでは機能がマヒしている気がします。
なので、総理大臣の交代には時間がかかり過ぎて時間と費用の無駄が多すぎる気がします。
更に、衆議院だけで参議院を廃止する。これも政策決定に無駄な時間を削減できます。
理由は、政党によって採決しているから決議事項には大きく影響はしていない。
たとえ参議院で否決されても衆議院で可決されるだけのものです。意味はなさそう?
この政党中心の決議には大いに問題があり、政治家個人の意思の繁栄は難しそうです。
無視すると政党助成金の苛めに合いそうな気がします。
なので、無理に反抗できない様な政治家が多すぎるように思われます?
従って、政党助成金はなくし政治家個人に配布する方が利点が多い。
政治は誰がやっても正解なんかある筈もありませんから結果が全てです。
なので直近での判断には間違いが多い気がします。歴史の中で正解が見えてくる。
是々非々は常にありますから「正解と公平」を無視した方が現実的だと思います。
結論から言えば、どれを選択しても正解は無いと思われます。
なので、何処かで妥協するしかないと思います。その妥協点はどこか?
これは誰にも分らないからやってみるしか結果が分かりません。
なので、悩むより「実行が先」だという政治家が必要だと思います。
また、巷でよく言われることは日本人は一度決まったものは忠実に遵守する。
この考え方には大いに疑問があります。やはり時代と共に修正、改正は必定だと思います。
これらには、非常にアレルギーがあるのは事実かも知れません?
仰ってること、良く分りますし、大変勉強になります。
そもそも論で私が思っているのは、この国は地方の力が弱すぎるし、国が地方に関与しすぎだと考えています。
地方は裁量権はあっても、お金がないから知恵だしをしないし、知恵だししても実行できないというのが現実だと思います。
まずは、国と地方の役割を再整理し、国の権限とお金の委譲に注文つけるべきだと思いますが、
都市部に住んでる弁護士の先生方は、地方の声が小さくなるにも拘わらず、
票の重みにだけ注文つけており、ちょっとした苛立ちを覚えています。
あくまでも個人的な思いですが、
1票の格差を本気で是正するなら、都道府県と市町村を一旦廃止して、自治体組織のあるべき姿を掲げた抜本的な再編成を行い、
多少の支援があれば、自活できるような自治体に作り替えることから始めないと、
新陳代謝が進まない地方の自治体は、知恵だしをしないと思っています。
再編成された、自活できる基礎自治体はある程度の人数も必要となることから、
必然的に1票の格差も是正されると思っています、