多摩爺の「時のつれづれ(水無月の16)」
スターか、モンスターか? (大坂なおみ選手の呟き)
彼女が注目を浴びたのは、3年前の「USオープンテニス」だった。
二十歳の若さで、メジャー大会を制すると、その勢いのまま一気にランキングトップまで駆け上り、
世界的な有名企業とスポンサー契約を交わし、
いまや女性アスリート界では、世界一の年収を稼ぐ「スター選手」が、
なんと、なんと・・・ 我が道を行く「モンスター選手」に化けてしまったかもしれない。
今週から始まった、ローランギャロス(全仏オープンテニス)の初日に・・・ 一悶着があった。
大会第2シードの大坂なおみ選手が、初戦を突破したあとの記者会見を拒否したのだ。
大会が始まる直前に「心の健康状態が無視されている。」として、
自身のSNSで記者会見を拒否する意向を表明していたが、
コート内で行われた勝利者インタビューには、機嫌良く応えていたので、
まさか本当に・・・ 試合後の記者会見を、拒否するとは思ってなかったのだ。
この行為に対して、大会主催者は1万5000ドル(約165万円)の罰金を科すと決定し、
メジャー大会を主催する国際テニス連盟は、大会の期間中メディアに応じる義務を無視し続けた場合、
ローランギャロスから追放するとともに、
将来的には4大メジャー大会への出場を停止する可能性があるとの、厳しい処分案を公表した。
すると、処分発表から約5時間後・・・ 彼女はSNSを使ってが反応した。
ツイッターで「怒りは理解の欠如。変化は人々を不快にさせる。」と投稿するとともに、
インスタグラムでは「さよなら、これでせいせいするわ。」と意味深な投稿を付け足している。
どんな思惑があるのか、それは分からないが・・・
これでは、売り言葉に買い言葉であり、お互いに歩み寄ることができない。
多くのプロアスリートは、セレモニーや記者会見(ヒーローインタビューを除く)などの、
競技に直接関係ないことについては・・・ おそらく、時間を割きたくないと思っているだろう。
とはいえ・・・ 嫌々だろうが、仕方なしであろうが、彼ら彼女らが、それを拒否しないのは、
多くのファンや、スポンサーに支えられているとの自覚があるからであって、
間を取り持ってくれる記者会見など、
メディアの要望に応えることが重要なんだと、理解しているからであろう。
私の年代は、直ぐに「若すぎる。」とか、「稚拙だ。」とか、
「大人になれ。」といった言葉で片付けてしまう。
何を隠そう、私もその一人だったんだが、一方でたった一人の若者が、意を決して放った渾身の矢を、
「一刀両断に、切り捨てて良いのだろうか?」との思いが、ないわけでもない。
私はアスリートではないが、現役時代に理不尽な事柄を含めて判断や行動に、思い悩んだとき、
だれが言ったのか、それすら覚えてないが、次の言葉を思い浮かべ、
しらっと、周りを俯瞰しながら「自分が変われば、相手も変わる。」と、
自らに問いかけるようにしていた。
心が変われば、態度も変わる。
態度が変われば、行動も変わる。
行動が変われば、習慣も変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。
人生は失敗の連続だと思いがちだが、視点や思考を変えれば・・・ 学びの連続でもある。
そう捉えることができたら・・・ 彼女はもっと強くなるだろう。
例え嫌なことであろうと、いまは学んでいるんだと思えるようになったら
きっと、なにかが変わるはずだ。
そう捉えれば・・・ 人生は長い。
利害関係が複雑に絡み合った、大人社会の仕組みを、だれよりも早く学んだと思えば、
罰金を払う覚悟があってのことだから、それで良いんじゃなかろうか?
さて、結末は・・・ どうなるのだろうか?
「覆水盆に返らず。」か、それとも「元の鞘に収まる。」のか?
そう思っていたら、結果はローランギャロスを棄権するという形で、自ら幕を引いてしまった。
これじゃ、何も解決しない。
つい、思いを吐露した発言だったようだが、
ここまで大きな反響を呼ぶとは思っていなかったのだろう。
申し訳ないが・・・ こればっかりは、相応の批判を負わねばならない。
大会上位のシード選手としては・・・ 自覚が足りてないと云わざる得ない。
さらに、うつ病だったことも併せて明かしたが、
彼女をサポートするスタッフは、いままでいったい何をしていたのだろうか?
そこのところにも、大きな問題があったと思うが・・・ どうだろうか?
彼女のように、悩み苦しんだ選手は「モンスター」ではなく、
「スター」であってほしいと願いたいし、
成長の過程での経験であり、学びだと思うから一皮むけてほしいと願っていたのは、
私だけではあるまい。
とはいえ・・・ 結果が最悪の事態(ローランギャロスからの追放)に至らなかったことだけは、
ある意味で、朗報だったのかもしれない。
老婆心ながら・・・ 人生の先輩として、彼女にアドバイスさせてもらえるなら、
メンタルを理解してくれ、様々な場面での対処方法をサポートしてくれる、
優秀なトレーナーと契約するか、
メンタルに寄り添ってくれ、私生活を支えてくれる、
心を許せるパートナーを持つことをお勧めしたい。
プロのアスリートを職業に選択したのであれば、心の成長あっての、技術の向上だと思う。
それがプロフェッショナルなんだから、
直向きに前を向いて心を磨き、技を磨いてほしいと願ってやまない。
私は、彼女はただ強いだけではなく、かなりデリケートな人と認識を改め、ますます好きになりました。
確かにおっしゃるとおりで、本人の努力ではどうすることもできません。
また、デリケートな部分を公表するのは、とても勇気がいることだと思います。
一方で彼女は60億を稼ぐアスリートです。
一般の人々とは違って、自らの体と心に投資することもできたのではと思い、書かせてもらいました。
私も彼女のファンですし、回復に向けて専念してほしいと思っていますが、
裸の王様にさせないよう、チームでサポートできることもあったのではと思いました。
いずれにしても、早く良くなることを祈念したいと思います。