多摩爺の「時のつれづれ(師走の48)」
年末恒例の大笑い
歌を聴かせる歌手が、歌って踊るパフォーマーに変化を遂げた昨今、
ジェンダーギャップというか、年代によって歌に対する捉え方は、すっかり変ってしまったが、
お笑いの世界では・・・ ちょっとだけグレーな部分があるといえばあるが、
漫才とコントの領域を頑なに守りつつ、それぞれの世界で笑いのツボを競う、年に一度の舞台がある。
その漫才の世界で、いまや最高峰に位置づけされているのが、
年の瀬を癒やし、小難しいことを抜きに・・・ マシンガントークを炸裂させながら、
見る者の笑いのツボを、片っ端から撃ち抜く「M-1グランプリ」ではなかろうか?
思いを綴るのが中1日空いてしまったので、
話題性には若干欠けてしまったが、
イブの夜を笑いで席巻した「M-1グランプリ2023」について、ちょっと語ってみたい。
まずはファイナルに残った3組から、1組を選ばねばならないという仕事について、
揺るぎない実績を兼ね備えた、ご意見番的な立場にある審査員とはいえ、
昨夜はホントに酷な仕事したのではなかろうか?
審査員の心中を察するとともに・・・ その任を労う声があっても良いだろう。
立て板に水の如く、視聴者にめがけて放たれたマシンガントークの3連発に、
小難しい爺さんの笑いのツボは、ものの見事に撃ち抜かれてしまった。
3組に共通するお笑いテクニックは・・・ 話術の巧みさ、回転の速さに加えて、
ギャグを巧みに繋ぎながらオチへと誘引する、4分間に凝縮されたレベルの高いネタだろう。
私の判定では優勝は「ヤーレンズ」、2位が「令和ロマン」、3位が「さや香」だった。
ファーストラウンドを見た第一感は、
勢いの「令和ロマン」、掛け合いの「ヤーレンズ」、安心安定の「さや香」ではなかっただろうか?
まずネタにフォーカスすると、「さや香」が決勝ネタにした四則演算をアレンジした新たな計算法は、
漫才にはなかった奇抜な発想であり、「おっ、勝負手を打ってきたな。」と思いはしたが、
「あっ、そういう展開なのね。」という気づきに、思いのほか時間を要してしまい、
気づかせた後から一気に捲し立てたものの、前半の持ち時間の浪費をカバーするには至らなかった。
続いてギャグというか、ボケた回数にフォーカスすると、三者三様ではあったが、
客席の受け具合をみても分かるように、
展開の掴みで出遅れた・・・ 「さや香」が、1歩遅れを取った感は否めなかった。
あとは「ヤーレンズ」と「令和ロマン」の優勝争いで、どこで差を付けるか悩みどこだが、
私の視点は・・・ ネタの好みは横に置いといて、
冷静にボケとツッコミの掛け合いというか、絡み合いの妙にフォーカスしてみた。
「ヤーレンズ」は、掛け合いが巧みで、相方突っ込みが小気味よく、声も頻繁に聞かれたが、
一方で「令和ロマン」は、ネタの高度さから、ボケ役が若干暴走してしまい、
突っ込み役の出番というか、絡みの一つ一つが合いの手程度になっていたように見えた。
テンポの速いマシンガントークになると、やたら絶叫型となり、
最初は良いが、だんだんネタが聞きづらくなり、せっかくのネタがぼやけてしまうんだが、
「令和ロマン」と「さや香」は、次第に声が大きくなってはいたものの、絶叫一歩手前の寸止めで、
「ヤーレンズ」は興奮気味でも、声は穏やかで聞きやすく、さすがの域にあるといっても良いだろう。
そんなこんなで・・・ 3時間、
私は「ヤーレンズ」に軍配をあげたが、
女房は審査員と同じ考えで、二つ目のネタに勢いを感じて「令和ロマン」を支持していた。
笑いのツボには、好みが多分に影響することから、評価が分かれるのは仕方ないが、
我が家では毎年こういった方式で、女房と二人で「あぁだ。こぉだ。」と勝手に採点しながら、
「M-1グランプリ」で大笑いをさせてもらっている。
結果だけ見れば・・・ 悲喜こもごもなんだろうが、
笑って一年を締めくくれるほど、嬉しくて楽しいことはない。
そういった意味からも、笑わせてくれた芸人さんたちには、感謝したいと思う。
ありがとう「M-1グランプリ」
また来年、芸人さんたちの頑張りに、拍手と大笑いで応えたいと願ってやまない。
追伸というか・・・ 余談
実は「M-1グランプリ2023」が始まる半日前、
朝のワイドショーを見ていた我が家でも、ボケとツッコミの間でひと悶着があったので、
併せてそのことも記しておく。
軽自動車の大手で安全試験の不正が発覚し、
全車種の製造ラインが止まるという、前代未聞の一大事が起こったなか、
会見した幹部は、納期に対するプレッシャーが、どうのこうのと言ってたし、
従業員は風通しが悪かったと言ってたことについて、傍で見ていた女房から鋭い突っ込みが入った。
「下請けもあるし、販売会社もあるし・・・ どうなるんだろうね?」と、女房が云うもんだから、
「風通しが悪かったんだから、窓を開けたらええんとちゃうか。」と、返したら、
「寒っ! ぜんぜん面白くない。」と、一刀両断に切り捨てられてしまった。
そこは「なんでやねん。」と、気持ちよく突っ込みを入れて欲しかったんだが、
生真面目すぎる女房には、私のレベルが高いジョークは通用しなかったようである。
その反動かどうかは・・・ 分からないが、
なにごとも予習しておくと、本番で期待値以上の成績がでるのは必然のことで、
半日後、笑いのツボの感度が、程よく磨かれていた女房が、
3時間ぶっ通しで笑い転げていたことは、語るまでもないだろう。
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2023年12月24日(日) テレビ朝日
M-1グランプリ 2023
審査員 ダウンタウン・松本人志、中川家・礼二、サンドウィッチマン・富澤、ナイツ・塙、
博多大吉、山田邦子、海原ともこ
[ファイナルラウンド(出演順)]
1.令和ロマン 4票 優勝
2.ヤーレンズ 3票
3.さや香 0票
[ファーストラウンド(出演順)]
審査員の採点と順位 私の採点と順位
1.令和ロマン 648( 3) A ( 3)
→ 話術が巧みで、スピード感もあり上手かったが、最後の締めが・・・ ちょっとだったかも
2.ししがしら 627( 9) B ( 8)
→ つかみは盲点を突いていて面白かったが、笑いのネタが足りず、爆発力に欠けたかも
3.さや香 659( 1) A ( 2)
→ 回転の良い喋りで掘り下げ、最後のどんでん返しはさすがだが、ちょっと声が大きすぎたかも
4.カベポスター 635( 6) B+( 4)
→ 意表を突く面白いネタだったが、ネタそのものが、ちょっとシュールだった気がする。
5.マユリカ 645( 4) B+( 6)
→ 静かにジワジワくる相方に、突っ込みがハイトーンだったので、ドタバタ感が強すぎたかも
6.ヤーレンズ 656( 2) A+( 1)
→ すっごくウザい漫才だが、ネタがベタなのにボケの数が多いし巧みで、笑い転げてしまった。
7.真空ジェシカ 643( 5) B+( 5)
→ 面白と言えば面白いんだが、小刻みで高度なギャグが単発で、関連性に欠けたかも
8.ダンビラムーチョ 631( 8) B ( 9)
→ 歌ネタは良いとして、最初の1曲が長すぎて、後のネタがぼやけてしまった。
9.くらげ 620(10) B (10)
→ ミルクボーイのネタと被るが、個々のネタの応酬に笑いがなく、笑いのツボが少なかったかも
10.モグライダー 632( 7) B+( 7)
→ すっごい面白かったんだけど、ネタがちょっと単調で、終いに行くにつれて伸びを欠いたかも
いつも楽しく拝読させていただいております。
充実した内容で勉強になります。
文は人なり。
爺さんがぼやく拙いブログですが、読んでいただき嬉しく思います。
また、もったいない言葉をいただき恐縮です。
今後とも宜しくお願い申し上げます。