「たにぬねの」のブログ

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2007-09-23 04:09:13 | texto
文字情報を中心にした私的適当配信、texto_024です!

ダイオキシンバイヤー
 千を越えるゴミ焼却炉に大小合わせ万を数える産業廃棄物焼却炉がある日本の空に地球外知的生命個体ホトトは現れた。煙突から廃棄されるダイオキシンの量を示す検出計をみてニンマリするホトトの仕事は宇宙中にいるダイオキシン収集家を相手にしたダイオキシンの買い付け屋さん、いわゆるバイヤーである。

 塩素が含まれるあらゆる物質の燃焼や合成の際に生じるダイオキシンであるからホトトらの属する宇宙文化圏において作られたダイオキシンはコレクター達の対象にならない。ホトトが収集または買い付けるダイオキシンは火を使う文化を持つ星域において人為(文明)的な要素で生じるダイオキシンである。そのため、大宇宙中をホトトは駆け巡っているのだ。

 広大な宇宙に点在する特定文化圏を特定する方法はダイオキシンに限らずほとんどの物質がグルーオン鑑定によりその物質がどこで生じたものかを鑑定することができる。グルーオン鑑定とは宇宙のインフレーション期間中の僅かな時期の違いを利用した地域特定法であり、この方法を使えば日本上空で採集されたダイオキシンは太陽系産であると判別できる。

 従って、地球が分類される銀河の文化史や文明論と併せ、地球産と鑑定されたダイオキシンはある程度の価値が保障される。しかも、広い宇宙文化圏から見ると原始的な文明である現地球人類由来ダイオキシンには相当の付加価値が発生するとホトトは睨んでいる。
 
 ダイオキシンは常温で無色の固体で油には溶けやすいが蒸発しにくく水にあまり溶けない。また、紫外線により徐々に分解されるが他の化学物質とは反応はしにくく、トータルでは比較的安定した物質といえる。この安定の性質が宇宙文化圏共通の物質としてダイオキシンコレクターを生んだ。ところでダイオキシンは地球に棲むヒトにとって強い毒性を示す。

 1千分の1gもあれば死に至るといわれ、慢性毒性については1兆分の1g程度であるという見方があり、生殖毒性・神経毒性・免疫抑制作用など極めて微量の影響が懸念されている。にもかかわらず、塩化ビニルや塩素系漂白剤などの形で塩素が日常の消費財として使われ、ゴミになって焼却される過程でダイオキシンは簡単に発生している。

 中でも日本の一般廃棄物は年間およそ5000万tで産業廃棄物は4億tになり、これらの七割が焼却されている。焼却炉において高温で処理したダイオキシンは完全に分解すると言われているが炉から煙突に移る際に燃焼ガスの温度が下がることで少なからずのダイオキシンが再合成するデノボ合成が起こる現実も避けられない事実である。

 しかし、日本におけるダイオキシン排出の規制はそれぞれの焼却炉で年間二回ほど実施される煙の測定で基準値以下であれば良く、手順的に厳しいとは言いがたい。だから、施設によっては測定する期間だけ塩素を含んだ廃棄物の焼却量を減らしたり、デノボ合成で生じたダイオキシンを回収する普段は取り付けない高価な吸着剤を一時的に設置したりして、測定期間中だけ設けられた基準値を超えないように対応しているらしい。
 
 だから、ダイオキシンの量を示す検出計の値がホトトをニンマリさせるのだ。時々、地球の日本の空に宇宙船で来てダイオキシンを収集すれだけでいい稼ぎになる。順調に増えていく、回収量を示すメーターの針を見ながらホトトの想像は膨らむ。現地球人類は短い期間に戦争や農薬、また、絶縁油、可塑剤、塗料、溶剤など、非常に幅広い分野でダイオキシンを使用してきた経緯がある。大気、土壌から雨に洗われるかのように川へ、湖へ、海へ流されたダイオキシンは河川や港湾の底質に、また、海・河口部に生息する魚介類に相当の量が蓄積されている。

 今すぐには宇宙文化圏における文化接触法に抵触するため、生物や河川や港湾に溜まった大掛かりな回収はできないが、やがて地球人類が滅びたら、矛盾に満ちた背景により付加価値がついた地球のダイオキシンをゆっくり・ガッポリ集めに来ればよい、そのようなことを考えながら日本の空で地球外知的生命個体はダイオキシンを回収している。

☆今月のお薦め_04.2007
新版 母は枯葉剤を浴びた ダイオキシンの傷あと中村梧郎著 岩波書店

1983年に新潮社から出た書籍の新版です。時は流れて行くもの。今回のストーリに参考にさせていただいた書籍です。

今月のお薦め_index->からいろいろ見ていただけるとさらに嬉しい限りです。

texto_25も読んでくださいね。では。    たにぬねの

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