「たにぬねの」のブログ

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texto_008

2006-02-01 22:52:55 | texto
文字情報を中心にした私的適当配信、texto_008です!
今回(008)は
☆今月のお薦め_10.2005==>01.2006
☆聴くこと
を皆様に提出させていただきます。
聴くことのあとがき(?)を書きすぎました。お化けについても書いてます。
どうか、最後まで読んでくださいませ。

☆今月のお薦め_10.2005==>01.2006
□Matthew's Best Hit Recipes 2 (マシュー・G・南&平野レミ)ワニブックス
祝!10月からゴールデン進出です。
個人的には視聴機会が減ってしまいました、、残念。
今月のお薦め_08.2004では1冊目を紹介でも書きましたので
多くは語りませんが実用的な料理本です。


□SYNC(シンク) スティーヴン・ストロガッツ 早川書房
実は読みかけです。読み終わったら特集組んで改めて
お薦めしたいですが一刻も早く紹介したいので出しちゃいます。
私にとっては07.2005のかわりに紹介したゾウの時間ネズミの時間レベルの
新鮮な情報、目から鱗的な書籍でした。
内容は同期(シンク)についてです。
本を読み始めるまで考えもしなかったのですが
心臓の鼓動も一万個の細胞(ペースメーカー細胞)が同期している凄さ。
(↑本のはじめの方ですみません。)
この本で紹介されいるものもそうなのですが
いかに同期しているものが身の回りにあふれていたか、
というか同期現象に我々の生活・命が支えられているかを
よみやすくわかりやすく説明してくれる本です。

僕自身もちょっと前まで有機ELの発光(再結合)の同期性を
ずっと考えている時期があったので自己評価としては甘いかもしれませんが
いい方向で考えてたかなぁって。

本文中で蔵本モデルが紹介されますがこの日本語版の監修をされているのが
モデルを提案された蔵本由紀さんご本人で先日、朝日賞を受賞されました。


□ルシフェラーゼ ブルース・スターリング 早川書房(SFマガジン)
人間以外の生物における人的な思考表現をどこまで許すか。
難しい問題です。小さい頃、今より遙かに思慮浅い私は
いろんな動物同士が話をしている(人間だけは話せない)アニメをみて、
いつか人間も同じように動物たちと話せる日が来ると信じていました。
いわゆる、翻訳さえできれば人間←→その他の生物(主に哺乳類や鳥類かな?)間
における会話が成立すると思っていたのです。馬鹿ですよね。

そういった意味合いでは
◇じゃじゃ馬グルーミン★UP
に出てくる馬たちの思考表現も大好きです。
実際、手に取ってみたわけではありませんがバウリンガルも上記の馬たち
のように犬が会話してくれるからよかったのではないでしょうか。
だから、哺乳類、鳥類程度までならわからんでもない。
というわけで人間以外の生物における人的な思考表現をどこまでも許してしまうと
それは人間以外の生物のお話ではなく、単なる人間小説になってしまい、
作品の意味がなくなってしまうと思います。
しかし、
◇ルシフェラーゼは
見事にクモとホタルのお話を描いています。拍手。
刺激されたから今度、ガン細胞のお話をかいてみよっと!?


□ハイフライト・マイスター 小川一水 早川書房(SFマガジン)
話的オチはともかくとして(悪いといっているのではありません)、
恩着せがましくない細かい科学・社会背景描写が素敵です。


□星々の舟 村山由佳 (文藝春秋)
六つのお話が時系列で綴られたいる一冊です。
第129回直木賞受賞作です。文庫が発売されたのでようやく、読みました。
村山さん自身があとがきで書かれているのですが-以下引用文-
今、せっかく物書きという仕事をしていながら、あの戦争について―人間から有無をいわさず自由を奪い取っていくそれについて何も書こうとしないのは、これはもう、怠慢以外の何ものでもないんじゃないのか。-以上引用文-
決して戦争小説ではないのですが、今、私たちの周りで
よく耳にする事柄について読んだ人がその人なりに考えを踏み込む助けに
なりそうな(事実、私はなったのですが)作品です。

巧さを讃えるようなことしたくないのですが
前の五つの話の後に読む、
◇名の木散る
は素直に戦後について、そして戦争そのものに対して考えさせてくれます。
村山さんは今を生きる物書きの仕事をなされたということでしょう。
 
◇雲の澪
◇子どもの神様
がお気に入りかなぁ。考える、人を思いやる心に大人も子供ないのに
大人はそのことを忘れがち?そう、この本は戦争小説ではありませんから。

折角なので私の村山評を。
おとぎ話のような陳腐な設定を研ぎすまされた刃のような話にしてしまう、
非凡な才能をもった作家さんだと思います。

もともと陳腐な話が好きな質なのでその非凡さが私には堪らないです。
しかし、村山さんの作品が好きになれない方の中にはその陳腐が
どーもっていう方も少なくない模様。
人の好みはいろいろなのでとやかく申してはいけませんが
陳腐さ故に苦手意識をお持ちの方は今一度、登場人物たちの心の動きを感じながら
読むと村山作品の面白さが感じやすくなると思います。
◇星々の舟
でお試しあれ。よろしくない表現ですが
この作品が賞を獲ったのはそこら辺(陳腐さ?)のネックが解消しやすい
条件が揃っていたのでしょう。


ストーリー
☆聴くこと
 宇宙旅行業界も乗り物で地球周回遊覧したり、低軌道上にある人工衛星・基地を見学したりするだけではセールスが成り立たなくなっている。わずかでも宇宙空間に出て、衛星・船外活動を体験・楽しめることがこれから流行になるだろう。弊社でも、宇宙船、基地や衛星と宇宙空間を簡単に出入りできる(宇宙)内外兼用タイプの宇宙服の開発に積極的に取り組み、小規模人工衛星にて信頼性試験を実施している次第である。しかし、内外兼用宇宙服の大きな課題の一つは軽装化であり、小さな宇宙船と称される宇宙服の安全基準は高度で軽装化は容易ではない。

 というのは能動的に人体に必要な気圧の確保、生命維持ために酸素貯蔵や呼気中の二酸化炭素や水分の除去、駆動電源などの機能が求められ、環境受動的には日向・陰の温度差、飛び交う宇宙線対策などが求められるからだ。それでも弊社は上記の条件を満たしながら、厚さが1cmに満たない布地より出で立ちは21世紀初頭のウェットスーツ風で首から上にカメラ、ディスプレイ、受信機、マイク、スピーカを備えた宇宙服を開発した。これは全身、肌の露出はほとんどなく、その肌触りは何もつけていない感覚にだいぶ近づいている。 

 栄養補給、食事は非常時を除き、食物を外部から口へ運ぶ通常のライフスタイルと同様にした。そのため、口の部分は切れ込みが入っているがその収縮性により余程荒い扱いをしない限り、宇宙服内の閉じた系は守られる仕組みになっている。実は口周りに相当の開発コストが費やされている。

 宇宙空間で宇宙服を着たまま数時間過ごす信頼性試験では試験中、被験者はディスプレイやスピーカを通じて映画・音楽、読書などをする。しかし、今回は楽器演奏をする。地球を眺めながら宇宙空間で木管楽器を楽しむのだ。映画・音楽、読書などと比較し、エネルギ消費が多い場合のデータサンプリングになるということで会社から積極的な援助られた。

 空気がなく、媒体の振動が得られない宇宙空間では楽器の生音はきこえないので電子の力を借りる。要領は楽器内部で起きている空気の流れを電気信号に変換するのである。トランペットやトロンボーンのように入口、出口だけの1本の筒である金管楽器について、20世紀末に日本の音楽メーカ開発した、消音器に内臓マイクを利用したシステムが世に出ている。しかし、今回はサックス、フルート、クラリネットなど穴がたくさんある木管における試みである。楽器メーカ、電子機器メーカ、避妊具メーカの友人との私的プロジェクトを結成し取り組んだ成果として、私は地球を眺めながら宇宙空間で木管を楽しむのだ。

 咥える口に近い側のサックス管内壁に予め伸縮率が大きい膜の張ったリングを設置する。最も低い音を出す指使いで空気を送り込んでリングに張られた膜をシャボン玉のように膨らませる。膨らんだ袋は朝顔から顔を出したところで圧力差を感知して膨張が自動的に止まる。次は空気中で音合せをしたときの録音(サンプリング)を基に長く一定の音を出すロングトーンなどにより音色、個人の癖などを含む電子設定による音合せをする。

 そもそも聴くという行為はどのようなことなのだろうか。音源からの振動が空気を媒体(メディア)として集音に適した形状の耳介から入り、外耳道で共鳴を繰り返し、鼓膜を振動させる。鼓膜の振動は耳小骨であるツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の3つの骨により激しさを増し、蝸牛のリンパ液を震わせるのだ。内耳内の有毛細胞がこの振動を電気信号に変化し、聴神経が複雑に絡まりながら音の特徴を強調して脳に伝える。

 友人と作り上げた音楽システムは膨らんだ袋までが閉じた系で楽器内に起こる振動は袋から電子回路に伝わり、有毛細胞が電気信号変換する二桁下レベルまでデジタルデータとして細分化する。こうして、今、私は地球を眺めながら宇宙空間で楽器演奏を楽しんでいる。

 ん、何か接近している。ヒトぐらいの大きさのスペースデブリだ。この位置まで近づいたのはクラスe以下のデブリと判断されたからだ。視野を拡大し、対象をみる。1970年代の宇宙服を纏った人だ!?。物々しい宇宙服は中に包まれた宇宙飛行士の姿、体型を隠している。だが、直径1メートルもありそうな透明なヘルメットからみえる顔の表情は目を見開いて、酸欠の末に苦しんだことを想像させる。

 私はこの宇宙飛行士に何もしてあげられないのか?。飛行士はこれからも彷徨うのか?。サックスに付いている仲間と苦労して完成させた音楽システムを外し、飛行士の宇宙服にプリントされている国旗の国の曲を一心不乱に演奏を試みる。空気のない宇宙空間では音は伝わらない。私の耳にすら届かない。ただ、弔いの衝動にかられた。

 しかしだ。物々しい宇宙服を纏った宇宙飛行士の内耳内の有毛細胞がサックスを空吹きする男の指使いに呼応するかのように揺れた。聴小毛は小枝のように揺れたのだ。そして、宇宙飛行士の表情は僅かに和らぎ、目を閉じ、やがて、サックスを奏でる男の視界から消えていった。


 魚から陸へ上がるべき(この表現は適当でないかも、、細かい部分はご容赦ください)進化において、四肢を得たこと、肺呼吸になったことらと同様な劇的変化として空気の振動を聴く耳の獲得もフィーチャすべき事柄ではないでしょうか。水の中で生活している頃は頭の骨の構成要素にしか過ぎなかったアブミ骨が振動を増幅してくれるから聴くという恩恵にわれわれはあやかることができるのです、ちょっと大げさですかね(哺乳類は四肢動物たちの中では特殊で本編にも書きましたが耳小骨であるツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の3つの骨による振動の増幅を行っています。)。

 ところで皆さんはお化けを信じますか。私はわかりません。ただ、存在するとすれば物理的にどう存在しうるかは非常に興味があります。実体があるのであれば間違いなくお化けは在ることになります。また、実体がなくても存在しうると私は考えます。五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)は脳に伝えられた情報の翻訳です。だから、夢と同様でお化けに実体がなくても脳に視覚情報が伝われば観たと信じてしまうでしょう。夢同様、幻覚や幻聴という現象は認められてます。だから、お化けを観たというのは幻覚かもしれません。

 しかし、集団催眠のようなしっかりした原因がわかっていればともかく、そういった明確な理由もなしに複数の人が同時に観た幻覚の場合、その正体は何でしょうか?。正体を探るのは辞めましょう。お化け、幽霊の立場になってみましょう。実体のない、お化けである私たちが生きている人間を脅かしたいという設定です。人間に可視しうる実体があれば、それっぽい状況でそれなりの格好をすれば驚かすことも難しくないでしょう。しかし、実体がないので存在を伝えることはできません。

 というわけで、同時に多数の人間に対して、我々は人間の視物質を刺激する、神経を刺激する、脳を直接刺激することで姿を観せる、これは観せられた人間側からすると外的要因なので実体はなくとも私たちはお化けとして存在したことになるのではないのでしょうか。

 死後もなお(期間限定で)人の意思が残るとして、その意思は誰かに伝えたいことあります。死後、意思はわずかばかりの液体を動かせる力が備わったとしましょう。蝸牛のリンパ液を震わせることで伝えたい言葉を伝えることはできるのではないでしょうか(←これも話として成立するな、今度書こっと)。聴くこと、はそんな考えをもとに死者にも有毛細胞を揺らすことで聴かせるという奇跡がおこせるかもしれないと考え書いてみました。ちなみにリメイクです。よろしければみたってください。


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1 コメント

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内耳の有毛細胞の写真 (たにぬねの)
2006-02-01 23:05:20
あとがきで書くの忘れた、、、。

日経サイエンス(scientic americanの日本語版でscienceではない!)の2006.01の123ページに内耳の有毛細胞(だよな)の写真がのってました。

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