『かいけつゾロリのなぞのうちゅうじん』と、ずっとずっといっしょ!_むすぶと本。『さいごの本やさん』の長い長い終わり_(二つ目の)挿話 野村美月 KADOKAWA
素敵な作品を読むとその世界でお話を作りたくなる(、所謂二次創作というあまり好ましくない)癖が私にはあります。
無類の本好き遠子さんの甥っ子なら本の声が聞こえるのも分かる気がします。そのような世界ならこんなことがあるかもしれないとゾロリを持って幸本書店を訪れた中学生の様子を読みながら二次創作へーー
図書館の本の修繕ボランティアに参加する大学生。事前に図書館の職員さんが修繕が必要と判断した本が置いてある棚から数冊手にとって、作業用のテーブルに戻り、椅子に腰を下ろす。
一冊目、単行本の小説は分厚い本にありがちなページ割れ、糊でくっつけ固定。二冊目の料理本はオールカラーページな本でページとれ、のどやのどと接触する外れたところに細く糊づけし、元の位置にくっつける。
三冊目は文字が大きく、イラストがたくさんある低学年向けの児童書だった。見開きにページ破れが三カ所、内二つは幸い完全にちぎれていなかったので、うすく剥がれた広くない部分を文字通り糊代として少量の糊をつけ、破れた部分を重ね合わせる。破れて離れていた表の絵も裏の活字も完成した(ジグソー)パズルのように繋がった。
最後の一つはちぎれてしまったので破れた箇所にセロテープが貼ってあるパターン。(残念ながら)図書館に返却される前にちぎれた部分の紛失防止も兼ねた補修のつもりで行われてしまったのだろう。本を友達のように感じて積極的に図書館を利用する子もいれば、本よりテレビやネットの動く絵から声が聴こえて来るコンテンツを面白いって思いながら大人の意図や学校の宿題など消極的に図書館を訪れる子供もいるだろう。
筆で塗った溶剤がセロテープと紙の間に十分浸出している手応えを確かめ、開いているページから慎重にセロテープを剥がしながら、後者の子供たちが本を乱暴に扱っている様子が思い浮かんでくる。透明な長方形が剥がれ、ちぎれた部分が本から離れる。痛かっただろう、辛かっただろう、自然に生まれた擬人的な感情が『図書館の本になったことを後悔しているだろうなあ』という言葉として強く頭の中に現れる。
「その本は図書館に来て、たくさんのお友達に会えたことを喜んでますよ」
右斜め前で修繕ボランティアの作業をしていた眼鏡をかけた高校生くらいの男の子がマスク越しにも分かる澄んだ優しい声で話しかけてきた。
(つづく 無類の本好き遠子さんの甥っ子なら本の声が聞こえるのも分かる気がします。そのような世界ならこんなことがあるかもしれないとゾロリを持って幸本書店を訪れた中学生の様子を読みながらどんどん内容が膨らむ今回の二次創作!?)
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素敵な作品を読むとその世界でお話を作りたくなる(、所謂二次創作というあまり好ましくない)癖が私にはあります。
無類の本好き遠子さんの甥っ子なら本の声が聞こえるのも分かる気がします。そのような世界ならこんなことがあるかもしれないとゾロリを持って幸本書店を訪れた中学生の様子を読みながら二次創作へーー
図書館の本の修繕ボランティアに参加する大学生。事前に図書館の職員さんが修繕が必要と判断した本が置いてある棚から数冊手にとって、作業用のテーブルに戻り、椅子に腰を下ろす。
一冊目、単行本の小説は分厚い本にありがちなページ割れ、糊でくっつけ固定。二冊目の料理本はオールカラーページな本でページとれ、のどやのどと接触する外れたところに細く糊づけし、元の位置にくっつける。
三冊目は文字が大きく、イラストがたくさんある低学年向けの児童書だった。見開きにページ破れが三カ所、内二つは幸い完全にちぎれていなかったので、うすく剥がれた広くない部分を文字通り糊代として少量の糊をつけ、破れた部分を重ね合わせる。破れて離れていた表の絵も裏の活字も完成した(ジグソー)パズルのように繋がった。
最後の一つはちぎれてしまったので破れた箇所にセロテープが貼ってあるパターン。(残念ながら)図書館に返却される前にちぎれた部分の紛失防止も兼ねた補修のつもりで行われてしまったのだろう。本を友達のように感じて積極的に図書館を利用する子もいれば、本よりテレビやネットの動く絵から声が聴こえて来るコンテンツを面白いって思いながら大人の意図や学校の宿題など消極的に図書館を訪れる子供もいるだろう。
筆で塗った溶剤がセロテープと紙の間に十分浸出している手応えを確かめ、開いているページから慎重にセロテープを剥がしながら、後者の子供たちが本を乱暴に扱っている様子が思い浮かんでくる。透明な長方形が剥がれ、ちぎれた部分が本から離れる。痛かっただろう、辛かっただろう、自然に生まれた擬人的な感情が『図書館の本になったことを後悔しているだろうなあ』という言葉として強く頭の中に現れる。
「その本は図書館に来て、たくさんのお友達に会えたことを喜んでますよ」
右斜め前で修繕ボランティアの作業をしていた眼鏡をかけた高校生くらいの男の子がマスク越しにも分かる澄んだ優しい声で話しかけてきた。
(つづく 無類の本好き遠子さんの甥っ子なら本の声が聞こえるのも分かる気がします。そのような世界ならこんなことがあるかもしれないとゾロリを持って幸本書店を訪れた中学生の様子を読みながらどんどん内容が膨らむ今回の二次創作!?)
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