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→♂♀←_no.20_2012:黒き翼の王(下)

2012-10-25 21:07:09 | 今月のお薦め_XX.20XX
黒き翼の王(下)ケイト・フォーサイス著 井辻朱美 訳 徳間書店
エリアナンの魔女4 黒き翼の王(下) (エリアナンの魔女 4)
ケイト・フォーサイス
徳間書店

メガンが冷静に行動し続けたのは作者に拠るところである。でも、それだけではない。実際、ドラゴンの前では余裕がなかったメガンもいる。だから、多くの者を諫めつつ、ことを成す為に迷わず歩みを続けられたのは、何よりも気になるボーのピンチにかけつけないという最もつらい選択をしたことで他のことには心乱されぬエリアナンの魔法使いの長が存在したということなのだろう。

この巻でイサボーとメガンは再会を果たすが、置かれた状況に釈然としないイサボーの気持ちもわかる。だから、「望んだ以上のめでたい結果になった」というメガンの言葉をなぐさめと、とらえそうになるイサボーがいる。それでも読み手とメガンは知っている。イサボーのイサボー自身の常識の範疇に則った行いがなければ、敵味方分け隔てなく幸せを目指す切っ掛けすら生まれず、どちらかの未来は消えていただろうを。本来、ロードスターは一方の幸せしか保証するものでなく、メガンの想定もその範囲の中だけであった。だから、掛け値なく、イサボーの判断の数々が、幸せの範囲を広がる唯一に近い奇跡の可能性をもたらした、ことを。

メガンとイサボーの師弟の強さを感じさせる挿話はいたる所にあるが、特に宮殿の迷路を解く経緯は信頼・愛情・成長が詰まっている印象を受ける。

イサボーが多くの登場人物たちに関わってしまうのは作者に拠るところである。でも、それだけではない。実際、眼前の不幸に動けなかったイサボーもいる。しかし、どんなに辛い経験をしようと、メガンに厳しく優しく育てられ、考えなしに、せっかちに動くかもしれないが実力を持ったイサボーだから、通りすがりのバケーシュを助けたり、モラグと仲良くなったり、ブロンウェンを可愛がったり。鞍を返したり、初対面のフィンに笑いかけたり、串まわし器の子犬を助けたりしようと思い、実践する。これらは作者の意思というより、イサボーの意志に基づているのだろう。

エリアナンの魔女1~4は、きっと、長い長い序であろうから、この後の展開が楽しみにする黒き翼の王(下)の終わり方でした。

"→♂♀←"「オススメ」のインデックス

(エリアナンの魔女_薔薇と茨の塔) 続き、読みたいです。
The Forbidden Land: Book four of the Witches of Eileanan
ケイト・フォーサイス著
Roc


Advanced Learner's English Dictionary (Collins Cobuild) with CD-ROM
クリエーター情報なし
Heinle & Heinle Pub


The Skull of the World: Witches of Eileanan #5
クリエーター情報なし
Roc


The Fathomless Caves: Book Six of the Witches of Eileanan
クリエーター情報なし
Roc

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