DREAMS COME TRUE - 決戦は金曜日 (from THE DREAM QUEST TOUR 2017 Live Ver.)
自分は高所恐怖症なのだと広く知れ渡っているはずの中村正人が螺旋階段の鉄塔の頂点で、田園の地に刺さっている案山子よろしく、笑顔でベーシストとしてのパフォーマンスと渋くコーラスを響き渡らせている。一方でその螺旋階段をダッシュで駆け降りる吉田美和が『決戦の金曜日』を歌い始める。1990年代にバラエティ番組の主題歌を聴いた時は誰もがその衝撃を受けただろう。ドリカムの全盛期が開幕したのだった。Liveバージョンの映像を観て吉田美和の女性ボーカリストとしての存在が別格なのは間違いない。とにかくダントツなのだ。80年代のSYOW-YAの寺田恵子、90年代後半のプリプリの奥田香、安室奈美恵withスーパーモンキーズ、もっと遡れば浜田麻里というもの凄いロックヴォーカリストもいるが、歌唱力、華やかさ、情熱その突き抜けたタレント性は計り知れない。さすがにビヨンセまでと呟いてしまうと世界は広いけども。『決戦の金曜日』はダンスミュージックなのである。70年代のディスコミュージックを起源としても、ドラマチックにステージを縦横無尽に踊りまくり歌いまくる歌姫。2020年東京オリンピックなど中止して、ドリカムのライブ開催だけで十分ではないか。はっきり断言できるくらい、吉田美和のソウルフルな歌声を聴いて、まさに今の自分は幸福なのだという実感が湧いてくるのである。