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ラヴェル: ピアノ協奏曲 ト長調 第2楽章 フランソワ 1959

2019-12-16 04:30:39 | 音楽・CD

ラヴェル: ピアノ協奏曲 ト長調 第2楽章 フランソワ 1959

 最近また寝る前にクラシック音楽を聴く習慣が蘇ってきた。なぜか。どうも眠れない夜が続く。原因はわからない。20年くらい前、仕事の激務で疲れすぎて眠れない夜が続き、何かいい方法はないかとクラシックの調べとともに安らかな睡眠に落ちようと趣味として聴き始めたのがきっかけだった。たんなるヒーリングとして聴いてきたクラシックだけど、ハマってしまった。一番最初に聴いたのは確か「ウイーンの森の物語」だったと思う。そう。ウインナー・ワルツなのだ。しかもなぜか「美しき青きドナウ」ではなかった。今はほとんど聴くことはなくなったけど、毎晩毎晩聴いていつのまにか深い睡眠に入っているという有様だった。ワルツのズン・チャッチャー、ズン・チャッチャーのリズムがよほど心地よい眠気を呼び込んだようだ。しばらくしてカラヤン指揮のモーツァルトの「レクイエム」に強烈な印象を感じて、そこからモーツァルトの世界が広がりひたすら聴きまくる。ついには内田光子演奏のモーツァルトのピアノ協奏曲の全集を買ってしまい、稼いだお金を惜しげもなく投入するようになっていった。やがてそれまで聴かず嫌い?だったJ.S.バッハのマタイ受難曲に溺れ、以来3年間バッハの曲しか聴かない時を過ごした。レオンハルト指揮のカンタータをひとつひとつ神妙に聴くあたりからやっと徐々にバッハの呪縛から解かれていくと、その後は指揮者のそれぞの個性の堪能、そうじゃなきゃなどと変なこだわりがでて、あまり興味のなかったベートーヴェンなどはフルトヴェングラー指揮の「運命」を聴いてその怒号の迫力に驚嘆してしまい、ベートーヴェンは退屈だ!とかの偏見を改めたりもした。チェリビダッケのブラームス、ギュンター・ヴァントのブルックナー、そしてテンシュテットのマーラーという具合に自分の中でのベストの演奏を決めていった。

 今夜聴いてほしいピアノ協奏曲がある。しかも第2楽章のみを指定した。私はピアノ協奏曲の中でどれが一番好きかと言われれば、モーリス・ラヴェルのト長調が好きだ。特に第2楽章のAdagio assai。冒頭から長く続くピアノ独奏の優しい旋律。フランスソワのミニマムで繊細なタッチ。やがてトリルからフルートやオーボエ、クラリネットの木管楽器が纏わりつくように引き継いでゆく。特にフルートの寂寥感はつい感傷的になってしまう。いけない。続くオーケストラの弦楽が美しく、ピアノの調べを包むようにクライマックスを迎え、最後は冒頭のピアノの旋律をコーラングレが繰り返し、それにピアノのアラベスクが螺旋を描くように絡んでいく。フィーニッシュはフルートの息吹と続くピアノのトリルから再度弦楽が移り変わるところの何とも言えない爽快感!私の毎晩の就寝はこんな調子なのである。

 



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