クローンは故郷をめざす
2009年 中嶋莞爾監督作品
作業中の事故で死亡した宇宙飛行士「高原耕平(演:及川光博)」は
クローン人間として復活する。
だが、そのクローンは、幼い頃のトラウマが元で記憶障害を起こした
失敗作だったため、処分されることに。
研究所を抜け出したクローンの前に、
「宇宙服を着た自分そっくりの遺体」が現れる。
「魂の共鳴」に導かれるように、
幻の宇宙服を担ぎ、彼は故郷を目指す。
…というお話。
レンタルショップでたまたま見つけ、
「及川ミッチーとSFって相性良さそうじゃね?」という
軽い気持ちで見て、なかなか気に入った次第。
上記のあらすじ自体、既にワケわからんと思いますが、
非常に観念的な、いわゆる芸術系の映画です。
静かな美しい映像で、独特な死生観や魂の行方が描かれています。
「ゲージツで客が呼べるかッ!」とは東映の偉い人の名言ですが、
たまにはこういうのもいいかな、と(笑)
途中、静止画のような映像が延々続いたり、
ボソボソした中二病っぽいセリフで眠くなったのですが、
ラストシーンでとても感動したんですよねえ。
宇宙服を担いで歩くクローンの姿は
重い十字架を背負ったようでもあり。
命や魂の「重さ」を、確かに感じるお話でした。
霧に包まれる草原や、湿度を感じさせる日本家屋などの、
郷愁を誘う美しい風景と、クローンや宇宙服といった異質なビジュアルの
コントラストが特に印象に残ります。
学生時代、睡魔と闘いながら見た『惑星ソラリス』を
無性に見たくなってきました。
中嶋莞爾監督は、劇場公開作は未だこれ一本のみなのですが、
自主製作の短編映画2本「はがね」「箱」がアメリカでDVD化されていて、
興味があったので購入してみました。
テーマ自体は、2本とも「クローン~」と同じく、
独特な死生観を描いた「レクイエム」とも呼ぶべきもの。
個人的には学生時代の作「はがね」の方が好みかな。
主人公の老画家を、丸山詠二が演じていてビックリ。
昭和の特撮マニアにはおなじみの声の方ですね!
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