エド・ウッド(1994年 ティム・バートン監督作品)
「史上最低」といわれる実在の映画監督、エド・ウッドの半生を描く白黒映画。
か、感動したッ…!
ウッドが抱き続けた「夢」への愛情とオマージュがあふれていて、
バートン作品では一番お気に入り、かも。
エド・ウッドは、1950年代のアメリカで、低予算の怪奇映画を作っていた人。
その作品は「余りに酷くて、真面目に観たら死にたくなる」程の凄まじさ(らしい)。
しかし、本人は至って大真面目。
才能ゼロ、世間から見向きもされなかったにも関わらず、
映画作りへのひたむきな情熱を決して失わなかったことから、
広く愛されている人物だそうです。
この作品の見どころの一つは、
忘れられた名優ベラ・ルゴシと、ウッドとの奇妙な友情です。
当時、高齢に加え、薬物中毒でボロボロだったルゴシですが、
ウッドとの出会いで失っていた情熱を取り戻します。
ウッドの作品は本当にどうしようもないものばかりですが、
彼のためならと老骨に鞭打って、朝四時の冷たい沼で、
タコのヌイグルミと格闘するシーンを演じたエピソードは感動的でした。
(もっとも、史実では代役が演じていたようですが)
映画監督には、エモーショナルというか陶酔型の人物が多いと聞きますが、
ジョニー・デップ演じるエド・ウッドの映画製作シーンは、
どう見てもヤバいアレをキメちゃってるようにしか見えなくて笑えます。
劇中では代表作「プラン9・フロム・アウタースペース」の
撮影の様子が描かれますが、凄かったですよ…
役者がトチっても気にしない、
死んだ俳優の代役が全然似てなくても気にしない、
昼のシーンが突然夜になっても気にしない、
ボール紙で作った墓石が倒れちゃっても気にしない。
周りが「いいんですか、やり直さなくて…」と心配する中、
本人は「完璧!素晴らしい!」と満足げ。
どんだけ完璧のハードル低いんだお前。
そりゃ、意味不明な最低映画にもなりますわな。
そんな映画製作に向かって暴走するウッドを、
バートン監督は「憎めないアホ」として、実に魅力的に描きます。
周囲の横やりにめげそうになるウッドに、
彼が尊敬する映画人、オーソン・ウェルズが告げる言葉が深い。
「夢のためなら戦え。
他人の夢なんか撮ってどうする?」
客観的に見れば、ウッドにとって映画製作は
自己満足に過ぎないんでしょうけれど、
本来、創作活動の原点ってそこにあるんじゃないかしら。
ま、ウッドの作品自体は、一生見ようとは思いませんけれど(笑)
参考リンク
エドワード・D・ウッドJr.(最低映画館)
プラン9・フロム・アウタースペース(最低映画館)
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