○ 操作ミスの復旧からおせっかい機能の対処まで、PowerPointのトラブルを一気に解決。
Microsoft PowerPointは、プレゼンテーションを作成するためのアプリだ。スライド作成やスライドショー、アニメーションなどの機能を使って、プレゼンテーションに必要なファイルを作成できる。今回は、PowerPointを使ってスライドを作成するときによく遭遇するトラブルを中心に、解消する方法を紹介する。
なお、本特集ではMicrosoft 365 Apps for businessに含まれるPowerPointを利用して2022年7月に動作を検証した。バージョンや仕様変更などによっては、ここで説明する機能が使えない場合や画面が異なる場合がある。
レイアウト関連のトラブル。
スライドのデザインを提案する「デザインアイデア」やスライドの設定の元になる「スライドマスター」、コンテンツの枠となる「プレースホルダー」など、レイアウトに関わるトラブルを取り上げる。
「デザインアイデア」が表示されない。
Microsoft 365サブスクリプションを利用しているユーザーであれば、スライドのデザインを提案する「デザインアイデア」機能が使える。選択したスライドの要素に合わせて、豊富なレイアウトとデザインを提案してくれるため、デザイン性の高いスライドに変更することも可能だ。初期設定では、自動的にデザインアイデアが表示されるが、表示されなくなった場合は、設定を確認してみよう。
画1、初期設定では「デザインアイデア」が自動的に表示される。提案がないスライドはウィンドウ上にメッセージが表示される。また、何度か提案したデザインを選択しないと、次にPowerPointを再起動するまで表示されないように設定できる。途中から表示したくなったら、「ホーム」タブの「デザイナー」グループの「デザインアイデア」ボタンをクリックすればよい。
画2、デザインアイデアが自動的に起動されなくなった場合は設定をチェックしよう。「ファイル」タブの「オプション」をクリックし、「PowerPointのオプション」画面を表示する。「全般」の「PowerPointデザイナー」の「デザインアイデアを自動的に表示する」チェックボックスがオンになっているかを確認する。
スライドのサイズが合わない。
画面サイズが合わないのか、スライドのデザインが崩れてしまった。これはスライドのサイズが作成したPCとプレゼンテーションを発表するPCでサイズが合わないことが原因。プレゼンテーションをする際、実行する環境に合わせて、スライドのサイズを選択する。スライドのサイズは、現在の主流はワイド画面の「16:9」で、作成直後はこの設定が有効になっている。これを変更したい場合は、「デザイン」タブの「ユーザー設定」ボタンの「スライドのサイズ」ボタンから目的のサイズを指定する。
画3、初期設定は16:9のワイド画面だが、4:3の標準に変更できる。変更するには「デザイン」タブの「ユーザー設定」ボタンをクリックし、「スライドのサイズ」から「標準(4:3)」をクリックする。
画4、コンテンツのサイズをどのようにするかを指定する画面が表示されたら、「最大化」または「サイズに合わせて調整」ボタンを選んで調整しよう。指定した内容に合わせて、画面サイズが変更され、レイアウトが調整される。
スライドのマスターに変更した内容が反映されない。
スライドマスターは、スライドのデザインや書式、レイアウトが設定されたテンプレートのような存在だ。スライドマスターで修正した内容は、すべてのスライドに反映される。スライド作成前に、スライドマスターでデザインや書式などを整えてから、作成すると効率よく作業ができる。スライドマスターは、「表示」タブの「マスター表示」グループの「スライドマスター」ボタンから表示する。
便利な機能だが、このスライドマスターで変更した内容がすべてのスライドに反映されない場合がある。そのときは、スライドマスターで選択するスライドを確認してみよう。
画5、スライドマスターで修正した内容は、すべてのスライドに反映できる。画面は、スライドマスターで、フッターに追加されている社名とノンブルの書式を変更した。
画6、マスター表示を閉じると、社名とノンブルの書式が変更されているのが確認できた。ただし、次のページに移動すると書式が反映されていない。
スライドマスターには、先頭にある「スライドマスター」と11種類の「レイアウトマスター」がある。先頭の「スライドマスター」を選択すれば、すべてのスライドの書式を変更できる。下の「レイアウトマスター」では、そのレイアウトマスターを使ったスライドのみ変更できる。どれを選択するかを確認してから操作しよう。
画7、再度、スライドマスターを表示して確認すると、設定したスライドは「タイトルとコンテンツレイアウト」を選択していた。ポイントすると、スライド2、5で使用されているのが分かる。このレイアウトを選択した場合は、このレイアウトが適用されているスライドのみ、書式が適用される。すべてのスライドに設定を適用するには、一番上のスライドマスターを選択して書式を変更する必要がある。このスライドで変更した書式はすべてのスライドに適用される。
プレースホルダーを削除してしまった。
スライド作成時、テキストや画像などのコンテンツを挿入するための枠を「プレースホルダー」という。コンテンツによって、それぞれのプレースホルダーが用意されている。このプレースホルダーを削除してしまった場合は、キー操作か「レイアウト」ボタンから元に戻せる。
画8、誤ってプレースホルダーを削除してしまった。直前なら、「Ctrl」+「Z」キーを押せば元に戻せる。
画9、削除したプレースホルダーを元に戻したい場合は、「ホーム」タブの「スライド」グループの「レイアウト」ボタンをクリックする。表示された一覧には、現在のスライドに設定されているレイアウトが選択されている。そのレイアウトをクリックすると、レイアウトが再適用され、削除したプレースホルダーが配置される。あらためて文字を入力しよう。
入力操作のトラブル。
PowerPointをはじめOfficeソフトで文字入力をしているときは「オートコレクト」機能が働く。このオートコレクトに関するトラブルを解消する方法を説明する。
入力時のおせっかいな変換を止める。
PowerPointのオートコレクト機能は、英語の曜日表記で先頭の文字を大文字にしたり、箇条書きに変更したりする。便利な機能だが、意図しない場合はやっかいな変換だ。これを解消するには、「オートコレクトのオプション」ボタンや「オートコレクト」画面で設定を見直そう。
画10、曜日を入力して「Enter」キーを押すと、自動的に先頭が大文字に変わってしまう。先頭の大文字をポイントすると、下に赤色の線が表示される。これをクリックすると、「オートコレクトのオプション」ボタンが表示される。この一覧から「大文字の自動設定を元に戻す」をクリックすると小文字に戻せる。「曜日の先頭文字を自動的に大文字にしない」をクリックすると、これ以降は大文字に変換されない。
画11、「オートコレクトのオプション」ボタンの「オートコレクトオプションの設定」をクリックすると、「オートコレクト」画面が表示される。「オートコレクト」タブの「曜日の先頭文字を大文字にする」チェックボックスのチェックを外すと、これ以降、曜日の先頭文字が大文字に自動変換されなくなる。文の先頭にある場合は、「文の先頭文字を~」チェックボックスも外す。
画12、「> 100」を入力して「Enter」キーで確定したら、箇条書きに変換されてしまった。変換されたくない場合は、「ファイル」タブの「オプション」で「PowerPointのオプション」画面を表示する。「文章校正」の「オートコレクトのオプション」をクリックし、「オートコレクト」画面の「入力オートフォーマット」タブで、「箇条書きと段落番号」のチェックボックスをオフにする。
フォントサイズが勝手に変更されてしまった。
プレースホルダーに入力した文字は、プレースホルダー内に収まるようにフォントサイズが自動で変更される。文字のサイズを勝手に変更されたくない場合は、この機能をオフにしよう。
画13、プレースホルダーに文字を追加して入力していたら、自動的にフォントサイズが変更されてしまった。これは文字が収まるようにプレースホルダーが自動調整されるように設定しているためだ。
画14、「ファイル」タブの「オプション」で「PowerPointのオプション」画面を表示する。「文章校正」の「オートコレクトのオプション」をクリックし、「オートコレクト」画面を表示する。「入力オートフォーマット」タブで、「テキストをタイトルのプレースホルダーに自動的に収める」、「テキストを本文のプレースホルダーに自動的に収める」のチェックボックスをオフにする。
単語単位で選択される。
文字単位で選択したいのに、単語単位で選択されてしまった。文字単位で選択できるように、「PowerPointのオプション」画面で設定を変更しよう。
画15、「格も」という文字を選択したい。ドラッグして選択しようとすると、「価格も」という単語が選択されてしまった。これを解消するには、「ファイル」タブの「オプション」で「PowerPointのオプション」画面を表示。「詳細設定」の「文字列の選択時に、単語単位で選択する」チェックボックスをオフにする。設定後は、自由な位置で文字を選択できるようになる。
図形の操作で困った。
プレゼンテーションでは、理解を深めるために図解を使った説明をすることがよくある。その図形関連の操作でのトラブルを取り上げる。
図形が選択できなくて困った。
複数の図形が重なり合って、下の図形が選択できなくなってしまった。こんな時は「Tab」キーを使って選択しよう。
画16、「Tab」キーを押すと、図形が順番に選択される。目的の図形が選択されたら、図形の表示位置を変更できる。
図形の一部しか表示されない。
作成したはずの図形が一部しか表示されていない。削除していないようであれば、図形が非表示になっていないかを確認しよう。
画17、「ホーム」タブの「編集」グループの「選択」ボタンの「オブジェクトの選択と表示」をクリックして、「選択」ウィンドウを表示する。一覧の右側のアイコンで表示または非表示になっているかを確認しよう。表示を切り替えるには、そのアイコンをクリックすればよい。
スライドショーの操作で困った。
スライドショーで目的のスライドが表示されなかったり、アニメーションが表示されなかったりした場合の対応方法を紹介する。
表示されないスライドがある。
スライドショーを実行すると、なぜか表示されないスライドがある。この場合は、非表示スライドの設定を確認しよう。
画18、「スライドショー」タブの「設定」グループの「非表示スライドに設定」ボタンがオンになっている場合は、スライドが非表示になっている。解除するには「非表示スライドに設定」ボタンをクリックしてオフにすればよい。
アニメーションが表示されない。
スライドショーを実行しても、設定しているはずのアニメーションが表示されない。この場合は、「スライドショーの設定」画面の設定を確認してみよう。他に、スライドショーが自動的に切り替わってしまう場合も、同じ画面で設定を変えられる。
画19、「スライドショー」タブの「設定」グループの「スライドショーの設定」ボタンをクリックして、「スライドショーの設定」画面を表示する。「アニメーションを表示しない」チェックボックスがオンになっていれば、これをオフにする。また付けたナレーションが流れない場合は、「ナレーションを付けない」チェックボックスの設定を確認してみよう。
画20、スライドショーを実行すると、自動的に画面が切り替わって進んでしまう。これは「画面切り替え効果」を自動設定にしているせいだ。この場合、「スライドショー」タブの「設定」グループの「スライドショーの設定」ボタンをクリックして「スライドショーの設定」画面を表示する。「スライドの切り替え」の「クリック時」を選択しよう。