〇 SSDとHDDでどのくらい差がある?知っておきたい外付けストレージの速度。
実作業ではHDDも選択肢。
では、実際に使用した場合、SSDとHDDではどのくらい速度差があるのだろうか。図7は、パソコン内蔵のSerial ATA接続SSDから、外付けストレージにファイルをコピーした際の時間を計測したものだ。大量のファイルをコピーする場合は、大きなファイル1個の場合よりも時間がかかり、その分、SSDとHDDの差は縮まった。それでもHDDはSSDの1.5倍ほどの時間がかかっており、データ量が増えれば所要時間の差はさらに大きくなる。バックアップや内蔵ドライブのファイルを移すのが目的であれば、書き込みの速さは快適さに直結する。
Θ SSDとHDDでファイルのコピー速度を比較。
図7 、書き込み速度は、扱うファイルサイズによって大きく変わる。実際に約5GBのファイルを外付けストレージにコピーしたところ、ファイルが1個の場合は大きな差がついた。しかし、ファイル数が多くなると差は小さくなった。
図8は、外付けストレージに保存したデジタル一眼のRAWファイルを現像処理をした際の所要時間だ。外付けストレージからデータを読み出し、リアルタイムに処理をするという使い方を想定している。SSDの方がわずかに速いものの、書き込み速度ほどの差はない。CPUの処理時間が作業全体に占める割合が大きいためだ。
Θ RAWデータの現像処理の時間を比較。
図8 、外付けストレージの中にあるデジタル一眼で撮影した写真50枚のRAWデータを現像した際の所要時間を比較した。速度の差は5.5%ほどと小さかった。
USBの種類で速度が違う。
USB端子は、新しいバージョンごとに最大データ転送速度を引き上げてきた(図9)。ただ、それに合わせてパソコンが搭載している全てのUSB端子がバージョンアップしてきたわけではない。現在でもUSB 2.0(最大480Mbps)の端子は使われている。現実的に、ほとんどのパソコンが対応していると言えるのはUSB 3.2 Gen 1まで。USB 3.2 Gen 2も採用例が増えているものの、対応しているのが電源端子を兼ねたUSBType-C端子のみという場合も多い。
Θ USBの速度はどこまで気にする?
図9 外付けSSDの中には、写真のような最大転送速度が20GbpsのUSB 3.2 Gen 2 x2に対応した製品もある。ただ、USB 3.2 Gen 2 x2端子を搭載するパソコンは少なく、ほとんどがUSB 3.2 Gen 1もしくは同Gen 2 x1の端子を搭載する。価格の手ごろなUSB3.2 Gen 1対応のSSDが手堅い選択と言える。
高速なUSBに対応するSSDはその分価格も高くなる。そのため、現状ではほとんどのパソコンで性能を発揮できて価格も手ごろなUSB 3.2Gen 1対応のSSDが手堅い選択となる。ただし、自分のパソコンが高速なUSB端子を搭載しているなら、それに対応した外付けストレージを選ぶ意味がある。
ノートパソコンと一緒に周辺機器を持ち出したくない人もいるだろう。そんな場合はコンパクトなUSBメモリーも便利だ(図10)。USB端子からあまり出っ張らないため、そのままパソコンバッグにも入れられる。挿しっぱなしにしておけば、なくす心配もない。ただし、外付けHDDのような使い方は想定されておらず、SSDほどの耐久性もない。一時退避先として活用しよう。
Θ データの一時退避先ならUSBメモリーもあり。
図10 、データを一時的に置いておくだけならUSBメモリーという選択肢もある。小型のモデルならパソコンからほとんどはみ出さないため、挿したままにしておいても邪魔にならない。
故障への備えは国内メーカーが有利。
外付けストレージを使っていて最も怖いのは故障によるデータ喪失だ。HDDは異音がするなど故障の予兆が現れる場合もあるが、SSDは故障する瞬間まで全く分からないことも多い。データを守るために何重にもバックアップを用意するといった対策も考えられるが、現実的にそこまでできる人はあまり多くないだろう。
そこで、各メーカーは外付けHDDやSSDの健康状態を確認できる独自ソフトを提供している(図A)。警告が出た場合は交換時期ということだ。こうしたソフトは海外メーカーを含め多くのメーカーが提供しているため、導入しておくと対策しやすくなる。
●ストレージの診断ソフトを利用可能
図A 、多くのメーカーでは、自社製品向けに外付けストレージの診断ソフトを用意している。これはバッファローの診断ソフト「みまもり合図」。
実際に故障してしまった場合は自分でデータを取り出すのは困難で、データ復旧サービスを利用する必要がある。かつては非常に高価でハードルの高いサービスだったが、現在はバッファローやアイ・オー・データ機器、エレコムといった国内周辺機器メーカーがサービスを提供しており、利用しやすくなっている。自社の製品に復旧サービスの利用権を付属する、自社製品の場合は割引するということもある。こうしたサポートを含めると、国内メーカーの製品は安心感がある(図B)。
Θ 復旧サービスもある。
図B 、万が一の故障の際は、製品によって保証期間内ならデータ復旧サービスが利用可能。メーカーが国内でサービスを提供している強みだ。写真はバッファローの例。
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