〇 隈研吾氏設計の賃貸住宅「フォレストゲート代官山」23年10月開業、カフェの木造棟も。
東急不動産は2023年4月12日、東京・渋谷の代官山町で推進しているプロジェクトの施設名を「Forestgate Daikanyama “produced by 東急不動産”(フォレストゲート代官山)」に決定し、同年10月下旬に開業する予定だと発表した。
フォレストゲート代官山は、東急電鉄東横線の代官山駅のすぐそばに立つ。地下2階・地上10階建ての「MAIN棟」と地上2階建ての「TENOHA(テノハ)棟」の2つで構成する複合施設だ。MAIN棟は57戸の賃貸住宅とシェアオフィス、商業施設が入居し、TENOHA棟はカフェと集会所を構える。
画1、「Forestgate Daikanyama “produced by 東急不動産”(フォレストゲート代官山)」の中核となる、地下2階・地上10階建ての「MAIN棟」のイメージ。
画2、地上2階建ての「TENOHA棟」にはカフェなどができる。
MAIN棟の基本設計は隈研吾建築都市設計事務所(東京・港)、実施設計は竹中工務店・東急設計コンサルタントJV、施工は竹中工務店がそれぞれ手掛ける。様々な形の木箱を積み上げたような外観デザインが特徴だ。木箱と木箱の間に緑を配置するイメージである。こうして緑を多く取り込み、立体的な「森(Forest)」に見立てる。代官山の街の入り口に位置するため、フォレストゲートと名付けた。
画4、隈研吾氏によるスケッチ。コロナ禍に考えた新しい集合住宅の形。
デザインマネジメントは日建設計とマイオ建築研究所(東京・世田谷)、ランドスケープは「SOLSO(ソルソ)」ブランドで造園業を営むDAISHIZEN(東京・港)が担当する。
敷地面積は約4000m2、延べ面積は約2万1000m2。構造は鉄筋コンクリート造。地下1階から地上2階が店舗、地上3階が東急不動産の会員制シェアオフィス「Business-Airport Daikanyama(ビジネスエアポート代官山)」になる。4~10階が賃貸住宅だ。MAIN棟だけで「緑に囲まれた新しい『住・働・遊』の拠点」を満たす場を目指す。駅が近く、代官山エリアの幹線道路である八幡通りと代官山通りにも面するので交通の便がよい。
画5、東急不動産が運営する会員制シェアオフィス「Business-Airport Daikanyama(ビジネスエアポート代官山)」のイメージ。
木造のカフェと集会所が入る「TENOHA代官山」。
同じ敷地内にあり、代官山駅により近い場所に建つ木造2階建てのTENOHA棟は、「TENOHA代官山」とも呼ぶ。敷地面積は約422m2、延べ面積は約198m2と小ぶりだ。カフェとイベントスペースで構成し、東急不動産ホールディングスが展開するサステナブルな生活体験を提供する戦略拠点と位置づける。
建物には、東急不動産ホールディングスの保全対象森林がある岡山県西粟倉村の間伐材を構造材として使用する。地元のエーゼログループが運営する「西粟倉森の学校」が間伐材を提供する。
画6、岡山県西粟倉村の間伐材を「TENOHA代官山」の建設に使用する。
TENOHA代官山の企画・運営は、DAISHIZENグループの関連会社RGBが手掛ける予定だ。建物の設計はSUEP.(スープ、東京・世田谷)、施工は青木工務店が担当する。
DAISHIZENとRGB、SUEP.は22年8月に、川崎市に建設したDAISHIZENの木造オフィス「KEEP GREEN HOUSE(キープグリーンハウス)」の設計で協業したばかり。今後は共同で事業展開していく予定である。
SUEP.を共同主宰する末光弘和氏と末光陽子氏は、TENOHA代官山で「3つの循環としての建築」を目指すという。1つは森と都市の循環で、森林業者と連携して劣性間伐の木材を使い、都会に建物をつくる。2つ目は建材の循環で、建物の解体後も分解移築して再建築可能な構造システムを採用する。そして3つ目は、エネルギーの循環。雨水を集めて再利用し、菜園やパブリックスペースで利用する。