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最新Wi-Fiの設置法と機器選び。②

〇 Wi-Fiルーターを家具の後ろや収納に隠すとどうなる?驚きの実験結果。

ルーターを家具の後ろに隠してもよい?

Wi-Fiルーターは見通しの良い場所に置く方がよいと言っても、部屋のデザインと合わないなどの理由で見えない場所に置いておきたいという人もいるだろう。テレビの裏に隠すと、どれくらい影響があるかを試した(図1)。

●テレビの後ろに隠す
Θ  テレビの後ろに隠す。
図1、Wi-Fiルーターを見えない場所に隠したいという人もいるだろう。テレビの後ろに隠すと影響があるか確認した。

今回はWi-Fiルーターをテレビの裏に置く場合と、テレビの横に並べた場合で比較した。計測地点はテレビの前にあるテーブル(ポイントB)だ。隠しているといっても周囲を囲んでいるわけではなく、計測地点が近いということもあり、テレビの裏に置いても速度にほぼ影響はなかった(図2)。

●アンテナの向きによって影響あり
Θ アンテナの向きによって影響あり。
図2、テレビの後ろに隠しても通信速度に影響はなかった。ただ、アンテナの向きを変えると速度が落ちる場合があった。

ただ、これはアンテナの向きを適切に調節した場合。図1のように全てを直立させ、部屋の中央に向けて配置すると、同じ距離でも200Mbpsほど速度が落ちた。比率では約22%と、無視できない差だ。やはりテレビは電波にとって邪魔になっていたようだ。

今回利用したWXR-6000AX12Sはアンテナを倒す、回すといった操作で送信する向きを細かく調整して対処できる。しかし、アンテナ内蔵タイプで同様のことはできない。もし内蔵タイプで影響が出てしまうようであれば、ほかの置き場所を考えた方がよいだろう。

ルーターを収納に隠すとどうなるか。

Wi-Fiルーターを見えない場所に置く場合、収納にしまうという手もある。引き出しに入れた場合はどうなるのか、検証した。

今回はテレビ台の引き出しを使用し、ケーブルは裏に出すことで見えない状態を作った(図1)。テレビの裏とは異なり、完全にWi-Fiルーターを覆う形だが、正常に通信できるだろうか。

●引き出しに入れるとどうなる?
Θ 引き出しに入れるとどうなる?
図1、テレビの裏は影響が出る場合があったため、今度はテレビ台にある引き出しに入れてみた。

結果は、図2の通りほぼ影響なかった。テレビ台が木製だったため、影響が少なかったと思われる。

●影響はほぼなし
Θ 影響はほぼなし
図2、計測点が近かったこともあり、速度への影響はほぼなかった。ただ、速度以外の注意事項もある。

ただし、速度への影響はほぼなかったものの、引き出し等の収納に入れる方法はほかの注意点がある。主に排熱の問題だ。Wi-Fiルーターはこうした狭いところに入れることを想定していない。熱がこもることで動作不良や故障につながる。今回はテストのためにごく短時間だけ動作させたが、放熱が阻害されるためWXR-6000AX12Sはマニュアルで横置き自体を禁止している。

熱の問題がクリアできても、アンテナ付きの高性能モデルは収納の中では外部アンテナの位置調節に制限が生まれる。隠すとしても、あまり良い方法ではないだろう。

風呂場でもちゃんと通信できる?

入浴中や半身浴中など、風呂場で音楽や動画を楽しむ人も多い。一方、風呂場は水はけや湿気対策で壁や床に普通の部屋とは異なる素材が使われている。風呂場ではどの程度通信速度が低下するかを調べた(図1)。Wi-Fiルーターの場所は2階のポイントAだ。

●風呂場でもテスト
Θ 風呂場でもテスト。
図1、入浴中に動画や音楽を楽しむ人もいるだろう。風呂場でも扉を閉め切った状態で速度を計測した。
 
風呂場は1階にあり、ポイントDの部屋の隣だ。脱衣所があるため浴室は廊下とドア2枚で隔てられている。このテストでは実際の利用時を想定してドアを閉めて計測した。結果は727.3Mbpsと、速度はポイントCとくらべて20%以上落ちた(図2)。影響は大きいようだ。ただ、それでもWSR-3200AX4S-BKを使って1階と3階の間で通信した際よりも速度低下の度合いは小さかった。
 
●速度低下はあるものの十分
Θ 速度低下はあるものの十分
図2、基準となるポイントCよりも通信速度は約23%落ちた。動画コンテンツを楽しむ程度の使い方なら問題ないだろう。」

また浴室で本格的なパソコン作業をするという人はあまりいないだろう。スマートフォンやタブレットを浴室に持ち込んでストリーミングの音楽や動画を楽しむといった使い方であれば影響は大きくないはずだ。高解像度、高ビットレートの動画を視聴するには高い通信速度が必要になるが、動画配信サービスは通信環境によって画質を自動調整するため視聴そのものに影響は出にくい。スマホなら画面が小さいため多少画質が落ちても気にならないだろう。

アンテナの向きは影響する?

Wi-Fiルーターの通信性能はアンテナの設計によって大きく変わる。アンテナは製品によってきょう体の外に突き出ている場合と、内蔵している場合がある。外付けタイプと内蔵タイプで優劣をつけることはできないが、外付けタイプならではの設定がある。アンテナの向きの調節だ。

アンテナには方向によって電波の強度が異なる指向性アンテナと、全方向で強度が変わらない無指向性アンテナがある。指向性アンテナは強いエリアを自分で設定できる点がメリットだが、反対に弱いエリアができてしまう可能性がある。今回使用したWXR-6000AX12Sは指向性アンテナユニットを4本搭載しており、向きを変えることで同じ階が特に強い、上下の階で強いなど特性を変更できる。

その影響の大きさを検証したのが図1図2だ。あえて推奨されない向きでテストしたところ、Wi-FiルーターはポイントA、計測地点はポイントCという速度が出やすい条件にもかかわらず200Mbps近く速度が落ちた。指向性アンテナを使用する際は、きちんとマニュアル通りに設定した方がよい。

●外部アンテナは向きを調整可能
Θ 外部アンテナは向きを調整可能。
図1、外付けタイプのWi-Fiルーターはアンテナの向きで電波強度の強い方向を変えられる。
 
●向きが適切でないと遅くなる
Θ 向きが適切でないと遅くなる。
図2、アンテナを水平に倒してみたところ、同じ階では大きく速度が落ちた。ほかの場所の電波が強くなっているはずだ。

Wi-Fiルーターのメッシュ機能は役に立つ?

ここ数年で「メッシュ機能」に対応したWi-Fiルーターが増えた。メッシュとは子機を使ってWi-Fiの通信エリアを広げられる機能だ。従来のWi-Fi中継機との違いは、メッシュは親機と子機が連携して最適な通信経路を選んでくれること。例えば、親機が近ければ親機に、子機が近ければ子機に接続先が自動で切り替わる(図1)。

●電波が弱くなると子機に自動切り替え
Θ 電波が弱くなると子機に自動切り替え。
図1、中継機を使うことでWi-Fiの有効範囲を広げられる。メッシュWi-Fiは接続先を自動で切り替えることで利便性を向上させた機能だ

メッシュ機能は各メーカーが独自方式で製品化していたが、業界団体の「Wi-Fiアライアンス」が汎用規格「EasyMesh(イージーメッシュ)」を発表したことで、メーカーをまたいで利用できる製品が増えている。特にバッファローは同社のWi-Fi 6対応ルーターを全て対応させた。

実際にどの程度効果があるのかを試した。WXR-6000AX12Sでは離れても速度低下がほとんど見られなかったため、Wi-FiルーターはWSR-3200AX4S-BKを2台使用し、片方を親機に設定して1階のポイントDに、もう1台を2階または3階の階段付近に設置して3階のポイントBから速度を計測した(図2)。テストの際は設定画面で子機に接続していることを確認した(図3)。

●ルーターがメッシュの子機になる機種も
Θ ルーターがメッシュの子機になる機種も。
図2、WSR-3200AX4S-BKを親機として一階に設置し、パソコンをBに置いて速度を計測。WSR-3200AX4S-BKをもう1台用意してメッシュの子機とし、3階に置いた場合、2階に置いた場合、メッシュの子機を使わない場合の3種類で測った。
 
●同じSSIDを使用
Θ 同じSSIDを使用。
図3、メッシュでは親機と子機で同じSSIDを使うため、どちらにつながっているか分かりにくい。通常は設定画面で確認できる
[画像のクリックで拡大表示]

結果は図4の通り、子機を2階、3階どちらに置いた場合でも、親機に直接つないだ場合よりも速度は落ちた。中継時のロスの影響が大きかったようだ。もっと親機との距離が離れていれば効果は出る可能性はあるが、今回の3階建ての3LDKというテスト環境では、メリットは体感できなかった。

●今回は反対に遅くなった
Θ 今回は反対に遅くなった。
図4、グラフの通り、今回は親機に直接つないだ方が速いという結果になった。メッシュを利用しても速くなるとは限らない点は注意が必要だ。

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