〇 Wi-Fiルーターを家具の後ろや収納に隠すとどうなる?驚きの実験結果。
ルーターを家具の後ろに隠してもよい?
Wi-Fiルーターは見通しの良い場所に置く方がよいと言っても、部屋のデザインと合わないなどの理由で見えない場所に置いておきたいという人もいるだろう。テレビの裏に隠すと、どれくらい影響があるかを試した(図1)。
今回はWi-Fiルーターをテレビの裏に置く場合と、テレビの横に並べた場合で比較した。計測地点はテレビの前にあるテーブル(ポイントB)だ。隠しているといっても周囲を囲んでいるわけではなく、計測地点が近いということもあり、テレビの裏に置いても速度にほぼ影響はなかった(図2)。
ただ、これはアンテナの向きを適切に調節した場合。図1のように全てを直立させ、部屋の中央に向けて配置すると、同じ距離でも200Mbpsほど速度が落ちた。比率では約22%と、無視できない差だ。やはりテレビは電波にとって邪魔になっていたようだ。
今回利用したWXR-6000AX12Sはアンテナを倒す、回すといった操作で送信する向きを細かく調整して対処できる。しかし、アンテナ内蔵タイプで同様のことはできない。もし内蔵タイプで影響が出てしまうようであれば、ほかの置き場所を考えた方がよいだろう。
ルーターを収納に隠すとどうなるか。
Wi-Fiルーターを見えない場所に置く場合、収納にしまうという手もある。引き出しに入れた場合はどうなるのか、検証した。
今回はテレビ台の引き出しを使用し、ケーブルは裏に出すことで見えない状態を作った(図1)。テレビの裏とは異なり、完全にWi-Fiルーターを覆う形だが、正常に通信できるだろうか。
結果は、図2の通りほぼ影響なかった。テレビ台が木製だったため、影響が少なかったと思われる。
ただし、速度への影響はほぼなかったものの、引き出し等の収納に入れる方法はほかの注意点がある。主に排熱の問題だ。Wi-Fiルーターはこうした狭いところに入れることを想定していない。熱がこもることで動作不良や故障につながる。今回はテストのためにごく短時間だけ動作させたが、放熱が阻害されるためWXR-6000AX12Sはマニュアルで横置き自体を禁止している。
熱の問題がクリアできても、アンテナ付きの高性能モデルは収納の中では外部アンテナの位置調節に制限が生まれる。隠すとしても、あまり良い方法ではないだろう。
風呂場でもちゃんと通信できる?
入浴中や半身浴中など、風呂場で音楽や動画を楽しむ人も多い。一方、風呂場は水はけや湿気対策で壁や床に普通の部屋とは異なる素材が使われている。風呂場ではどの程度通信速度が低下するかを調べた(図1)。Wi-Fiルーターの場所は2階のポイントAだ。
また浴室で本格的なパソコン作業をするという人はあまりいないだろう。スマートフォンやタブレットを浴室に持ち込んでストリーミングの音楽や動画を楽しむといった使い方であれば影響は大きくないはずだ。高解像度、高ビットレートの動画を視聴するには高い通信速度が必要になるが、動画配信サービスは通信環境によって画質を自動調整するため視聴そのものに影響は出にくい。スマホなら画面が小さいため多少画質が落ちても気にならないだろう。
アンテナの向きは影響する?
Wi-Fiルーターの通信性能はアンテナの設計によって大きく変わる。アンテナは製品によってきょう体の外に突き出ている場合と、内蔵している場合がある。外付けタイプと内蔵タイプで優劣をつけることはできないが、外付けタイプならではの設定がある。アンテナの向きの調節だ。
アンテナには方向によって電波の強度が異なる指向性アンテナと、全方向で強度が変わらない無指向性アンテナがある。指向性アンテナは強いエリアを自分で設定できる点がメリットだが、反対に弱いエリアができてしまう可能性がある。今回使用したWXR-6000AX12Sは指向性アンテナユニットを4本搭載しており、向きを変えることで同じ階が特に強い、上下の階で強いなど特性を変更できる。
その影響の大きさを検証したのが図1と図2だ。あえて推奨されない向きでテストしたところ、Wi-FiルーターはポイントA、計測地点はポイントCという速度が出やすい条件にもかかわらず200Mbps近く速度が落ちた。指向性アンテナを使用する際は、きちんとマニュアル通りに設定した方がよい。