
「閣下、ご無沙汰しております」
「なんだ君か。わが国の勝利を祝してくれたのは有難いが、そのせいで離党になったらしいじゃないか」
「中国の後ろ楯がなければ何もできない党など、こちらから願い下げです」
「相変わらず強気だね」
「ところで閣下、今回のハマスによる人質誘拐の件は?」
「はじめに言っとくけど、わがロシアは今回の事件にはノータッチだよ」
「閣下のポチ(メドべージェフ)が世界に先駆けてコメントを出されていましたが」
「リメンバー第四次中東戦争。50年前に起きたことがまた起きないという保障はどこにもないからね」
「CIAも事前にハマスの動きを察知し、イスラエル政府に忠告していたらしいのですが」
「単なる辻褄あわせだろ。ネタニヤフのあわてぶりをみれば、無警戒だったことが一目瞭然だ」
「やはりロシアが」
「だから無関与だといってるだろ、しつこいね君も」
「ウクライナに軍事侵攻したロシアと同じことをイスラエルがしたら、それでも西側諸国はイスラエルを援助するのか。閣下は世界に向けて問題提起されたかったのでは?」
「矛盾とはこのことだな」
「世界の注目は実際ウクライナから離れつつありますし、一石二鳥の策とはまさにこのことですな。お見事です閣下」
「しかも我が国の負担は一切なしだ」
「レバノンにいるヒズボラもやる気満々だとか」
「今回バイデンがイスラエルとパレスチナの仲裁に失敗したらどうなると思う」
「原油価格は上がり続けさらなるインフレが世界を襲います。2024年の米大統領選挙で民主党は確実に敗北します」
「だろ。トランプもそう読んでるよ」
「アメリカが武器供与も含めて全面的にイスラエルをバックアップするのかと」
「アメリカの工業生産力が世界全体の7~8%しかないのを知っとるかね。ウクライナだけでも武器生産がまったく追いついていないのだよ。あの国はもはや不労所得国家におちぶれのさ」
「イスラエルとウクライナの両方を援助することがいずれ物理的に不可能になると、閣下はそう読んでいらっしゃるのですね」
「当然そういうことになるだろう」
「それらを考慮いたしますと、今回のハマスによる襲撃はロシアにとって2鳥どころか、3鳥いな4鳥ぐらいの意義があるのかと」
「君、ゼレンスキーがユダヤ人であることを忘れているよ」
「おお!」
「奴がイスラエル支持を表明すれば、それすなわちウクライナ国民に対する重大な裏切りとなるわけだ」
「まかり間違ってゼレンスキーがパレスチナ支持を表明したりすれば」
「モサドが黙っていないだろうな」
「ますます閣下に有利なように戦局が傾いていきますな。マリをはじめとするアフリカ各国にも軍事援助をしているとお聞きしましたが」
「つまりアメリカもEUも他国の紛争に人を出す余裕なんてまったくないのさ。出すのは口と金だけ、日本だって同じだろ」
「エリートというものはとかく自分の手を汚すことを嫌うのです」
「同感だ。その手を汚すことがポピュリズムなどとほざいていた連中が、我が国のウクライナ侵攻と同時に口を閉ざしたのがいい証拠だ」
「世界は多極化に向かっているのですね、閣下」
「現在はその過渡期にある。そして、ロシアのような資源を持った国だけが生き残る時代が近い将来やってくるだろう」
「グローバリズムは、所詮リベラルが作った幻想だったのですね」
「そのとおりだ」