ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ミッション:インポッシブル デッドレコニンク PART ONE

2023年07月27日 | 映画館で見たばっかり篇

見てきましたよ『デッドレコニングPART ONE』。トム・クルーズが自身の体をはった命がけのスタントシーンがもはや名物化している本シリーズ。『運命のダイヤル』に81歳で出演したハリソン・フォードを引き合いに出して、本人は80歳までやり続けたいとコメントしているが、実際のところはどうなのだろう。61歳というトム・クルーズの年齢もさることながら、今回2部作という構成が、『ハリー・ポッター 死の秘宝』同様のシリーズ打ち切りを予感させるからである。

近年イーサンのお相手イルサを演じていたレベッカ・ファーガソンも本作でお役目終了。その代わりをつとめそうな女掏摸グレース役に抜てきされたのがへイリー・アトウェルという英国の女優さん。その年齢がファーガソンよりも2歳歳上の41歳という点がとても気になるのである。IMF(国際通貨基金じゃないよ)のオリジナルメンバー、サイモン・ペッグ(53)、ウィング・レイムス(64)の高齢化も含め、すべてのシーンから加齢臭が漂っているのだ。

ライバルのダニエル・クレイグ(55)も007を降板、スパイ映画のブロックバスター・シリーズも、残るはこの『ミッション:インポッシブル』だけとなってしまったのだ。AIエキストラを使うなとハリウッドの役者連中がストを起こしたせいで、トム・クルーズの来日も見送りとなってしまった。日本の観客の皆さんに、監督のクリストファー・マッカリーと共に映画冒頭にこやかに挨拶をしていたトム・クルーズだが、やはり老けたなぁという感は否めなかったのである。

コロナ禍の撮影と予算オーバーという逆風が吹き付ける中、エアポートの屋上やベネチアの回廊を全速力で走り抜け、スペイン広場の階段を黄色のフィアットで下り降り、バイク&パラシュートでオリエント急行の窓を突き破るトム・クルーズの勇姿は称賛に値するのかもしれない。しかし、暴走列車の屋根の上によじ登り、第1作目へのセルフオマージュともいえる死闘を繰り広げたりするシーンには、(2部作に分割したゆえの“間延び”も感じられ)「やっぱ次で終わりなんじゃね」とファンの心配をかきたてるのである。

今回の敵は“エンティティ”と呼ばれる自律型AI。ありとあらゆるシステムに姿形を変えて潜入し、未来を京単位で計算、正確に予想し、世界を支配しようとしている。それを“神”のように信じているガブリエル(イーライ・モラレス)&韓国フランス人ハーフの女殺し屋がその実行部隊なのである。元祖“変装”のプロで、潜入のスペシャリストでもあるイーサンは、まさに過去の自分と同じような存在であるAIと対峙しているのである。その信奉者ガブリエルは、サイエントロジー信者でもあるトム・クルーズの分身ともいえる存在なのだ。

今回、“エンティティ”の謎を解くための“鍵”奪取に成功したイーサンは、PARTTWOでまさに“過去の自分”と対決することになるのではないだろうか。今回グレースという新しき相棒を得たイーサンだが、メンバーの命を守るというよりも、過去の自分(のイメージ)を破壊するような闘いを繰り広げるのではないだろうか。くしくもそれは、007役のイメージ固定化を嫌悪し、それを破壊し新しいキャラを創造しようとしたダニエル・クレイグの葛藤と、とてもよく似ているのである。

ミッション:インポッシブル 
デッドレコニンク PART ONE
監督 クリストファー・マッカリー
(2023年)
オススメ度[]


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