
西川美和の『ゆれる』や内田けんじの『運命じゃない人』などなど・・・。けっこう現代の映画と比較されることが多い本作品。時代考証や演出についてはかなり雑な部分が目につくが、この『羅生門』がきっかけで黒澤明が世界的に認められるようになったのはまぎれもない事実である。
ある侍(森雅之)の殺人事件について検非違使の調査が入る。盗賊(三船敏郎)・侍の妻(京マチ子)・死んだ侍ののり移った巫女さんの取調べが行われ、三者三様の供述結果となる。事実をいとも勝手に折り曲げて、自分に都合のいい様に作り話をする人間のおそろしさを描いた作品だ。
「人を信じられなくなったらこの世はおしまいだ」となげく法師(千秋実)に、赤子を抱いて立ち去る杣売(志村喬)の姿を通じて黒澤は<希望の光>を見せたが、すでに誰も信じられなくなりつつある現代において、本作品のコンセプトがマネされている現象は興味深い。物事の真実を描こうとする映画にとって、あやふやな人間の記憶こそ格好の題材になりうるからかもしれない。
監督 黒澤 明(1950年)
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ある侍(森雅之)の殺人事件について検非違使の調査が入る。盗賊(三船敏郎)・侍の妻(京マチ子)・死んだ侍ののり移った巫女さんの取調べが行われ、三者三様の供述結果となる。事実をいとも勝手に折り曲げて、自分に都合のいい様に作り話をする人間のおそろしさを描いた作品だ。
「人を信じられなくなったらこの世はおしまいだ」となげく法師(千秋実)に、赤子を抱いて立ち去る杣売(志村喬)の姿を通じて黒澤は<希望の光>を見せたが、すでに誰も信じられなくなりつつある現代において、本作品のコンセプトがマネされている現象は興味深い。物事の真実を描こうとする映画にとって、あやふやな人間の記憶こそ格好の題材になりうるからかもしれない。
監督 黒澤 明(1950年)
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