
「過剰演技が浮いている」とそろそろ誰かが藤原竜也に注意してあげた方がよいのではないか。映画は蜷川幸雄の舞台とは違うってことを、監督あたりがきっちり指導すべきである。『デス・ノート』以来の共演となった松山ケンイチの方がまだしも、役柄なりの負組オーラを発しているのに、藤原竜也ときたら相変わらずのハムレット節、大声で嘆き悲しめばすむってもんでもないだろう。
人生負組ばかりを集めた生き残りゲームに負ければ即強制労働、借金を返すまで永久に地下の穴蔵で働かされるという設定だ。貸金業法改正以前の闇金がまだ跋扈していた頃は、借金返済の見込みがない男子はマグロ漁船と相場が決まっていたが、昨今ではマグロ漁獲量にも制限が課される時代、女子ならば豊胸手術→風俗嬢という定番コースがいまだ健在だが、相手が男となると取り立てる側もあの手この手を考えなければならなくなったというわけか。
人気コミックを映画化した本作はあの『バトル・ロワイヤル』にきわめて近い世界観を持っている。閉じられた社会でしか通用しないルールに無理やり隷属させられている若者たちは、そのまま現代社会の縮図を見ている錯覚に陥るかもしれないが、掘り下げ方が少々甘いのではないか。一発逆転を狙ってギャンブル・ゲームのルールの抜け穴をばかりを探している主人公、社会復帰したところでまた元の生活に逆戻りするのにそう時間はかからないだろう。
ホリエモンのマネをして大した努力もせずに一発逆転ばかりねらってドツボにはまる若者たちを大量に排出し続ける日本。今更ゆとり教育の過ちに気づいて、さあこれからは詰め込み教育だと突然言われても、子供たちは途方に暮れるだけである。努力してもけっして報われない時代に、人生の価値観をどう見出していくのか。ありもしない勝ち負けのノウハウなんかを教えるよりも、よっぽど大事なことだと思うのだが。
カイジ 人生逆転ゲーム
監督 佐藤 東弥(2009年)
〔オススメ度

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人生負組ばかりを集めた生き残りゲームに負ければ即強制労働、借金を返すまで永久に地下の穴蔵で働かされるという設定だ。貸金業法改正以前の闇金がまだ跋扈していた頃は、借金返済の見込みがない男子はマグロ漁船と相場が決まっていたが、昨今ではマグロ漁獲量にも制限が課される時代、女子ならば豊胸手術→風俗嬢という定番コースがいまだ健在だが、相手が男となると取り立てる側もあの手この手を考えなければならなくなったというわけか。
人気コミックを映画化した本作はあの『バトル・ロワイヤル』にきわめて近い世界観を持っている。閉じられた社会でしか通用しないルールに無理やり隷属させられている若者たちは、そのまま現代社会の縮図を見ている錯覚に陥るかもしれないが、掘り下げ方が少々甘いのではないか。一発逆転を狙ってギャンブル・ゲームのルールの抜け穴をばかりを探している主人公、社会復帰したところでまた元の生活に逆戻りするのにそう時間はかからないだろう。
ホリエモンのマネをして大した努力もせずに一発逆転ばかりねらってドツボにはまる若者たちを大量に排出し続ける日本。今更ゆとり教育の過ちに気づいて、さあこれからは詰め込み教育だと突然言われても、子供たちは途方に暮れるだけである。努力してもけっして報われない時代に、人生の価値観をどう見出していくのか。ありもしない勝ち負けのノウハウなんかを教えるよりも、よっぽど大事なことだと思うのだが。
カイジ 人生逆転ゲーム
監督 佐藤 東弥(2009年)
〔オススメ度


