五味太郎の『ことわざカレンダー』ってのがトイレに掛かっていて、今週のことわざが「触らぬ神に祟りなし」。
そこでふと思い出したんだけど、いまさらながら日本の神について。
子どもの頃から、神さまが祟るなんてどういうこと!?って、このことわざに全く納得がいってなかったんだけど、一昨年、出雲大社で広報担当の方が「神様をお祀りする」ではなく「神様がお鎮まりになられる」と言ってるのを聞いて、はたと気がついた。
日本古来(土着)の八百万の神さまは、人々に幸せをもたらす存在なんじゃなくて、もともとはきっと災いをもたらすものなんだ。
富や健康や子孫繁栄を与えてくれるんじゃなくて、嵐や水害や日照りや地震や疫病をもたらすのが神さまなんだ。
何せ、自然災害が多い日本。
そういう災いが起きないよう、荒ぶる神さまにお鎮まりいただくというのが日本の信仰で、日本人にとって幸せ(幸い)とは災いがないこと。
つまり欲求・欲望を満たすことでなく、平穏無事であることこそが、神に祈るべきことなんだと思う。
僕の好きな「足るを知る」ってやつに通じるところがあって、なかなか素晴らしいことじゃあなかろうか。
たぶん土着の神さまってのはだいたいそういうもんで、いわゆる日本神話に出てくる神々(大国主大神もそのお一柱ですが)は、そういう神さまというものの性質を踏まえた上で、日本を治める一族の正統性を証明するために生み出されたものなんだろう。
もちろん、それで日本神話は嘘っぱちだとか天皇制はおかしいとか言うつもりは全くなくて、日本神話にしても、ヤマト王権の成立に関わる史実に基づいたものには違いないと思うんだけどね。
五味太郎ことわざカレンダー 2015 | |
五味太郎 | |
旺文社 |
(もどる/つづく)