新文書発表 「東京事務所」言及なし
【ビリニュス=石橋さくら】岸田文雄首相は12日午前(日本時間同日午後)、リトアニアの首都ビリニュスで北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談し、日・NATO間の協力拡大を盛り込んだ新文書を発表しました。新文書はNATOの軍事演習への自衛隊参加拡充を明記。対中国を前提にしたインド太平洋地域の連携拡大強化を前面に打ち出しています。
新しく策定したのは「国別適合パートナーシップ計画」(ITPP)。中国、ロシアが力を入れる偽情報を「情報操作をはじめとする新たな脅威」と位置づけています。さらに、対処力を強化するためとし、NATOが行う演習への日本のオブザーバー参加を拡充するとしています。
また、協力分野を従来の9項目から16項目に拡大。宇宙、人工知能(AI)や量子技術を使った「新興破壊技術」への対応も盛り込みました。NATO関係機関による訓練に日本が加わるといった実務的協力も推進するとしています。「敵情報」などの共有も強化するとしています。
会談後の共同記者会見でストルテンベルグ氏は、「NATOの最も緊密なパートナーは日本だ」と強調。岸田首相は、「インド太平洋への関心と関与を高めるNATOとの連携を一層強化していきたい」と述べました。
一方、対中包囲網の拠点として合意を目指していたNATO東京事務所についての言及は双方からありませんでした。同事務所については、中国との敵対関係を強めるとの懸念から、フランスのマクロン大統領が正式に反対を表明しており、先送りは確定的となりました。
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