学校が楽しくないと思っている子どもほど家庭の生活が苦しいと感じている―。そんな傾向のあることが、子どもや若者の貧困対策に取り組んでいる公益財団法人「あすのば」の調査で分かりました。
同法人が経済的困窮世帯を対象に実施したアンケートで、学校が「全然楽しくない」という小中学生は、9割近くが「生活が苦しい」と感じているか、感じたことがあると答えています。同じ困窮世帯の子どもでも学校が「とても楽しい」という子で「生活が苦しい」と感じているのは74%にとどまります。
困窮世帯のみを対象にした調査なので単純にはいえないかもしれませんが、学校を楽しいと感じられないことと経済的な生活の苦しさに、一定の相関関係がうかがえます。不登校の小中高校生は41万人にのぼりますが、そのなかには貧困が背景にある子どももいるのではないでしょうか。
同調査によると、収入の少ない世帯の子ほど塾や習いごと、誕生日やクリスマスのイベント、友達との外出などをあきらめた経験があります。経済的な貧困が招く「機会の貧困」です。
経済的格差が学びや体験の格差につながり、子どもの将来の格差につながっている現実があります。同法人は国や自治体による子どもの貧困対策の拡充を求めています。
国連の子どもの権利委員会も、「子どもの貧困および社会的排除を減少させるための戦略と措置の強化」を日本政府に勧告しています。大軍拡ではなく、国民のくらしを優先する政治への転換が必要です。