米追従の黄金時代などいらぬ
辞書によると、「黄金時代」とは、「最も繁栄した時代」という意味です。
7日の石破茂首相とトランプ米大統領との初の公式会談は、「日米関係の新たな黄金時代を追求する決意」(共同声明)をうたいました。しかし、会談の内容やその後発表された共同声明は、石破首相のトランプ大統領言いなりの姿勢を際立たせました。
「日米関係の新たな黄金時代の追求」とは、日本の対米従属、「日米軍事同盟絶対」の姿勢をかつてなく深めようとするものです。日本をはじめ東アジアや世界の平和と安全にとって、有害極まりない道です。
■米同盟国でも異常
今回の会談で問われていたことの一つは、世界中で厳しい非難を浴びているトランプ大統領の「パレスチナ自治区ガザの所有・住民の強制移住」という主張に石破氏がどんな言及をするかでした。
トランプ氏の主張は、国連憲章と国際法、一連の国連決議も踏みにじる「力による現状変更の試み」です。今回の共同声明が「中国による東シナ海における力または威圧によるあらゆる現状変更の試みへの強い反対」を述べているにもかかわらず、石破氏はトランプ氏の主張について何も触れませんでした。
米国の同盟国であるイギリスやフランス、ナチスによるユダヤ人大量虐殺の歴史がありイスラエル寄りの姿勢を示すドイツも、トランプ氏の主張を「国際法違反」との立場から批判しているのとは、あまりにも対照的です。
今回の首脳会談や共同声明では、ロシアによるウクライナ侵略についても一切言及がありませんでした。昨年4月の岸田文雄首相とバイデン米大統領の共同声明が「ロシアのウクライナに対する残酷な侵略戦争」を非難し「断固とした反対」を表明していたのに比べても、異常です。
■戦争のための協力
共同声明は「平和のための日米協力」を強調しました。しかしその中身は日本が2027年度までの5年間に43兆円もの軍事費をつぎ込み、国内総生産(GDP)比で2%にするという従来の計画に加え、「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」とし、文字通り、際限なき大軍拡を約束するというものです。
さらに、「日米同盟の抑止力と対処力をさらに強化していく」とし、自衛隊と米軍の指揮・統制枠組み▽南西諸島での自衛隊と米軍のプレゼンス(配備・展開)▽より実践的な訓練・演習―などを向上させるとしました。沖縄県の辺野古米軍新基地建設も明記しています。
自衛隊を米軍の事実上の指揮下に組み込み、米国の対中国軍事戦略の最前線として沖縄をはじめ南西諸島の軍事要塞(ようさい)化を進めるもので、「戦争のための日米協力」に他なりません。
加えて、共同声明が米国の核兵器などによる「拡大抑止のさらなる強化」を宣言したことは、日本被団協のノーベル平和賞受賞に象徴される核廃絶を求める世界の流れに逆行するものとして絶対に許されません。
今こそ「日米軍事同盟絶対」の道から抜け出し、東アジアの平和を創造する憲法9条を生かした外交への転換が必要です。
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