ペーパーレスが叫ばれて久しいけれど、ダイヤ改正ごとに冊子の時刻表を買ってニヤニヤ眺めるのは、大変楽しいものですね。
さて、2024年3月16日のダイヤ改正を前に、いつものように時刻表を買ってフラワー長井線のページを眺めていたところ、いくつかの列車でダイヤが変わっていて、何となく今泉駅での停車時間が全体的に短くなった気がした。
とりあえず確かめてみようと、フラワー長井線の上下12本の中で今泉駅に5分以上停車する列車の本数をダイヤ改正前後で比較すると、下り(赤湯→今泉→荒砥):6本→2本、上り(荒砥→今泉→赤湯):6本→4本に減っている。停車時間を単純に算術平均(小数点以下切り捨て)しても、下り:4分→2分に、上り6分→4分と確かに短くなっている。(中央値で見ても、下りは5分→1分、上りは5分→2分と同傾向。)
本来、停車時間(待ち時間)が短くなるのはありがたいことだが、その理由を考えたときに、素直に喜んで良いのだろうかという気持ちになった。というのは、おそらく米坂線の長期運休が影響していると思われるから・・・。
そんなわけで、少し詳しくダイヤを見てみることにした。とりあえず、米坂線が豪雨で運休となる前の2022年のダイヤ改正と、今回(2024年)のダイヤ改正を比べてみよう。
【1】フラワー長井線と米坂線との共用区間(今泉駅~旧:白川信号所)の順番待ちが無くなったことによると思われるもの
基本的に、フラワー長井線と米坂線は今泉駅で相互に接続を取ることが多いため、3~4列車が同時に集まってくることが多い。ところが、両者は今泉~(旧)白川信号場(分岐点)の2km弱で線路を共用しており、下りの同時発車、上りの同時到着ができないので、順番待ちが発生する。
そのため、2022年時点で、下りでは【1-1】のように先に米坂線(1135D)が羽前椿方面に発車し、その3分後(分岐点通過後)にフラワー長井線(217D)が長井方面に発車する、すなわち発車を3分待っているパターンがあった。【1-2】は逆に上りの場合で、フラワー長井線(210D)が5分早く到着し、今泉駅で米坂線(3822D)の到着を待つパターンとなっていた。
米坂線の列車が今泉~(旧)白川信号場を走ることのない現在、フラワー長井線が米坂線に道を譲る必要はない。そのため、2024年のダイヤ改正において、【1-1】では217Dの発車が早まり、【1-2】では210Dの到着が遅くなった結果、停車時間が短くなったと考えられる。
(【1-1】は乗換待ちの解消の影響もありそう。また、【1-2】は、210Dは今泉駅で207Dと行き違いとなるため、停車時間はダイヤ改正後も若干長めとなっている。)
【2】米坂線との乗換待ちが無くなったことによると思われるもの
今泉駅を跨いで運転されるフラワー長井線と米坂線の列車が、今泉駅で「相互に」接続をとる場合、跨線橋を渡る時間を考慮し、いずれか又は双方の停車時間を確保する必要がある。
下りの【2-1】では、2022年時点で、米坂線(3821D)とフラワー長井線(219D)との間でお互いに乗換を可能とするために、
219D 18:58着→3821D 19:02発(乗換時間4分)
3821D 19:01着→219D 19:05発(乗換時間4分)
のように、米坂線(3821D)の1分停車に対し、フラワー長井線(219D)は早めに今泉駅に到着し、遅めに発車している(もちろん、【1】で述べた順番待ちもあるが)。
今は米坂線の列車が米沢方面のみの運転となった(今泉駅を跨ぐ列車が無くなった)ため、「相互に」接続をとる必要が無くなり、フラワー長井線(219D)は先着している米坂線(7175D)からの乗換客を乗せるだけですぐ発車できる。
同様に、下りの【2-2】では、フラワー長井線(223D)から米坂線(1137D)への乗換が無くなったために、223Dの今泉駅到着が繰り下がっているし、上りの【2-3】及び【2-4】では米坂線(1122D、1126D)からフラワー長井線(204D、208D)への乗換が無くなったために、今泉駅発車が繰り上がっている。
ということで、長々と書いてしまったが、結局のところ2024年のダイヤ改正は、米坂線が走らないことを前提にダイヤが「最適化」されたものといえるのだろう。もちろん、今の状態が「最適」とは言えないだろうが、今の利用者に対する利便性の向上は当然のことと思える。
※ちなみに、フラワー長井線の2022年と2023年のダイヤは同じ。米坂線早期再開を期待してダイヤを変更しなかったのか、JRとの調整が間に合わなかったのか・・・興味があるところ。
※話は脱線するが、山形鉄道(フラワー長井線)の経営計画に「中古車両5両の購入」が盛り込まれていることが報道されている。中古で買えそうな車両って何だろう・・・余裕のありそうなキハ110?(古いけど)、左沢線のキハ101?(左沢線にDENCHA /ACCUMが来ないだろうか?)、只見線のキハE120?(比較的新しい)・・・ある意味、新車より予想するのが楽しいかもしれない。