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『死神』10.死神の涙<2>

2012-03-20 14:27:54 | 小説『死神』
死神

10.死神の涙

<2>

外は、すっかり夜になっていた。
星が輝いている。
「……で?」
私は半眼でルカに問うた。
「で?って何?」
とぼけている…いや、本当になんのことかわかってないのか?
「俺のことだろ?」
そうやって助け船的なものを出したのは、大きな鎌を持った迅。
黒ローブは足首ぐらいまでの長さ。
すごく長いけど、歩きにくくないのかなぁと。
ていうか、黒ローブ&鎌は死神になったとたんにもれなく出てくるらしい。
「迅のことっていうか…。」
あの糸…死神になるために魂の糸と結んだやつ。
そのことを聞いてるんだけど。
ルカはものわかりが悪い。
「銀赤の迅、だっけ?」
そう言ったのもまた迅だった。
糸が結ばれてすぐのことだったはずなのに聞こえてたわけ?
よくわからない。
人の心が読めるのかコイツは。
「あぁ、それのこと?」
ルカが思い出したように言う。
ひどいなぁ…忘れてたなんて。
ルカはいたずらっぽく口を開いた。
「で、それがどうしたの?『山吹のルリ』。」
「それがどしたのって……は?山吹?」
えーっと今のは…さっきの糸の話に関係してるんだよね?
山吹は黄色の一種だった気がするけど…。
「死神になるために結ぶ糸、通称死神の糸。」
「通称でも何でもねぇじゃねぇか。」
「うっさい。それは個人によって色が違うく、~色の死神だったり、~の死神と呼ばれるの。」
ほう、それで『銀赤の迅』と『山吹のルリ』なわけね。
私の色は山吹か。
色的に…まぁ、嫌いじゃないけど。
「じゃ、ルカは?」
「私?私はねー『青磁のルカ』。」
「…青磁ー?」
「青磁って…あの緑と青で1:2みたいなあれか?」
「ちょっと、なにその1:2って!」
そう言いつつ、ルカは嬉しそうに頷いた。
青磁ってよくわからなかったけど、まぁいいか。
「…てか、迅。」
「あ?」
「仕事は?」
「やるに決まってんだろ。ほら、行くぞ!」
そうやって走り出す迅。
その背を追いながら、ルカが叫んだ。
「あんたに指図される筋合いはない!」

まったくそのとおりだと、思った。


written by ふーちん


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