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『同居人は化け猫!』第5章-7

2011-03-05 21:07:35 | 小説『同居人は化け猫!』
同居人は化け猫!

第5章 羚歌さんの不在

7.ストレートな質問と複雑な関係

「じゃ、買い物行ってくるから。」
今日の冬夜宅(仮)は静かだった。
なぜか?
それは、春海がいないから。
鈴蘭も、ずっと黙っている。
「おーい…。」
「ん?」
やっと鈴蘭が顔を上げた。
「お前も行くか?」
「行く。」
即答だ。
目が輝いている。
何があったのか分からんが、鈴蘭がしゃべらなくなってきていた。
そこで、話をする時間が欲しかったのだ。
「じゃ、行く途中に俺の話も聞くよな?」
「う…。まぁいいが。」
話の内容はもちろん春海とのことだ。
さすが鈴蘭。
察しがいい。
内容が分かっているのについてくるのも、鈴蘭らしかった。
春海は逃げ出してしまったけど。
「そんじゃ、行くか!」
「おー!」
2人は外に出た。
夏になってきたようで、空はまだ明るい。
「なぁ、冬夜…。私は、冬夜の何だ?」
「はあ?」
いきなりだ。
いくら何でもストレートすぎる。
ていうか、話は俺からじゃなかったか?
「ただの、ペットか?」
鈴蘭の口から出た言葉に驚いた。
ペット?
ああ、こいつ化け猫だったっけ。
忘れていた。
「まさか。ペットなんて思った事ねーぞ。」
その前に、忘れてたし。
「じゃあ、何だ?」
真剣な顔をして冬夜に詰め寄る。
冬夜は「友達」と答えようとして、迷った。

なぜか?
鈴蘭の存在が、友達とは、かけ離れていることに気付いたからだ。


written by ふーちん


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