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『同居人は化け猫!』第7章-1

2011-08-18 18:53:48 | 小説『同居人は化け猫!』
同居人は化け猫!

第7章 さぁ実家へ!

1.待ってましたぁ!!

「夏休みだぁぁぁ!!!」
尾崎中学校の屋上に、冬夜の声がこだまする。
注意するものは、誰一人としていなかった。

尾崎の名が付く私立の学校。
それは、言わずとしれた勉強学校である。
土曜日は学校でテストの日。
それに備えて一週間勉強する。
日曜日は「一応」休みだが、宿題登場。
…とまあ、ものすごい学校なのだ。
しかし。
しかしっ!
夏休みは、存在するわけで。
「冬夜、冬夜!夏休みって何だ?」
嬉しくて叫んだ冬夜の耳に、何とも間抜けな声が聞こえてきた。
いつもは呆れたり目が点になるところ…だが。
「喜べ鈴蘭!これはすげぇことだぞ!?」
「そーなのか?」
ゴールデンウィークを上回るほど喜んでいる冬夜は、首を傾げる鈴蘭にかまわず、帰り道につく。
鈴蘭はいつもの通り猫になってついてきた。
他の下校中の生徒がいない時は、めんどくさいからこうしている。
毎回思うのだが、制服とか学生鞄はどこに消えるのやら。
とか思っていたら。
「あ、いたいた。冬夜くーん!!」
前方から声が。
「れ、羚歌さん!?方向音痴じゃなかったんですか!?」
「やだなぁ♪ちょっと山を越えるのが大変だったけど、ちゃんと来れたわよ!?」
「や、山!?」
どこの山?
てか、尾崎中学校そんな遠くないはずだけど。
つくづく、この人はおかしいと思う。
失礼なことだが。
「そんなことより冬夜君。」
そんなことなのか………………。
「手紙、来てるわよ?」
「…へ?」


written by ふーちん


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