I~これが私~

風の吹くまま,気の向くまま,ありのままの自分で。

『同居人は化け猫!』第9章-2

2012-03-26 15:16:40 | 小説『同居人は化け猫!』
同居人は化け猫!

第9章 春海、風邪をひく!

2.独りぼっち? ―春海―

「………私としたことが………」
同じ頃、春海は自室のベッドでため息をついていた。
誰もいない春海一人の部屋。
ちょっと寂しい。
「うぅ……頭痛い……。」
この風邪の原因はなんだ?
暇だから春海は考えてみた。
眠くはない。
寝た方が楽だと言うことは知っているけれど、寝れないんだから仕方ない。
まず、風邪の原因として考えられること。
順番に思い出してみる。
……おととい。
山へスキーに行った。
思えばこのときから風邪気味だった気がする。
……五日前。
玄関前で派手に転んだ。
しかし、風邪とは関係がなさそうである。
……8日前。
急にアイスが食べたくなって、コンビニに行った。
一個しか食べていないから、腹はこわしていない。
…考えているうちに、訳がわからなくなってきた。
「……逆に知恵熱出ちゃうよね……。」
それでは悪化する一方だ。
春海はもう一度ため息をついた。
「ひま。」
ぽつりと出た一言。
いつも自分の周りは騒がしいのに、今日は――というか今は、春海が黙ればなにも聞こえなくなる。
静かになる。
「ひまっ。」
もう一度言う。
冬夜もいない。
鈴蘭もいない。
姉の夏綺もいない。
つまらない、静かだ、寂しい――――――。
無意識のうちに目からぽろりと涙がこぼれる。
「ひまっ!ひまひまひまひまぁっ!」
そう叫んでも、誰もいない。
何もない。
春海は声を上げずに、抑えて泣いた。
子どもみたい、それでもいい。
「誰か……誰かぁ…………誰も、いないの……?」
春海は目を閉じた。
それでもまだ、涙は止まらない。
誰でもいい、誰か来て。

「うぉっ!?どーしたよ春海?何で泣いてんの?」
「痛いのか?どこか痛いのか!?」

突然聞こえた声に、春海は目を開けた。
見知った顔が2つ。
嬉しくて、とても安心して。
涙がまた一つ、こぼれた。


written by ふーちん


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2 コメント

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にゃ (ひなた(雲「)
2012-03-26 15:59:19
ヨカったねwはるみ様。
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そういえば (ふーちん)
2012-03-26 20:12:16
春海ちゃんでこういうしんみり系を書いたことがなかった気がする。

あ、あるか
忘れてた←
自分で書いたのになぁw
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