I~これが私~

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『死神』8.死神の危険<2>

2011-07-25 18:40:51 | 小説『死神』
死神

8.死神の危険

<2>

「おいルリ…起きろって~…。」
そのままルリは寝てしまった。
きっと、疲れてたんだろう。
まぁ…疲れるほど、俺が心配かけたんだもんな…。
「俺、迷惑かけてばっかりだ…。ごめんな…?」
できればルリに、迷惑をかけたくなかった。
そのために、バカにしたりしてたんだけど、効果ねぇし…。
だから、全部合わせてごめん。
迷惑かけたことも、バカにしたりしてたことも。
「なぁルカ…いるんだろ?そこに。」
俺は開いてる病室のドアに声をかけた。
ドアの向こう(つまり廊下側)で、ルカが笑う気配がする。
「あちゃぁ~バレてたか。」
ルカがこっちに来るかと思いきや、ルカ本人ではなくパートナーのクイナ(?)がこっちに飛んでくる。
「へ?クイナ?」
「私の伝言係。ていうか通信機?」
「機械じゃないだろ。」
思わずツッコミを入れた。
なんかルカって………日本語わかってんのか心配になる。
使い方違うし……。
「まぁいいや。…ルカ、お前さ…気付いてた?」
「何のこと?修飾語入れなさいよ。」
クイナが喋ってる…。
ルカの声で。
修飾語?何だっけ、それ?
「俺が…ルリを遠ざけようとしてたこと。」
分かんないが、適当に分かりやすく言ってみた。
ルカが呆れたように言う。
「あれ見て分かんない人って、逆にすごいんじゃない?」
「え…………。」
ちょっとショック。
上手くできてたと思ったんだけど。
難しいもんだな、そういうの。
「迅、あんた結局何がしたいの?」
落ちこんでる俺に、その言葉は大きく響いた。
何がしたいか。
それは―――――。
「ルリに、迷惑をかけたくない。――――違う?」
ルカが厳しい口調で聞いてくる。
そうだ…俺は、ただ迷惑をかけたくない。
それが思いじゃなかったか?
「私達は死神よ。いい加減生きるか死ぬか、決めたら?」
そうルカは言って、姿を消した。
クイナも一緒に。
これ以上、迷惑をかけないために…俺が考えた道は、1つだけ。

その日、俺は死ぬことを決意した。


written by ふーちん


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