あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

逃亡の末に

2011-01-27 | 本(文庫本)
伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』を読みました。
伊坂作品、久しぶり。やっぱり伊坂さんの小説は痛快で面白い。読後に必ず「ひゃっほ~♪」となるのです。もちろん今回も!

ここのところのワイドショーで、イギリス人女性を殺害して2年7か月の間逃亡した末に逮捕された容疑者の手記のことが話題になってます。
個人的には読むつもりはないけれど、ワイドショーから得た情報だと、逃亡初期には沖縄の離島(無人島とか言われてましたが、その島にはおじいさんが一人住んでいるので「無人」ではないと…)にしばらくいたのだとか。TVカメラなしで「無人島0円生活をリアルにやっていたのね。魚をつかまえて「獲ったどぉー!」くらい言ってたのかしら?
それともうひとつ、その容疑者は自分で整形手術を試みたらいしいということ。縫い針で鼻に傷をつけたり、下唇をハサミで切ったり…。もうこうして書いているだけで痛いわっ!
そこまでして逃げたかったのですね。罪を償うよりも逃げたかったと…。

話が『ゴールデンスランバー』からかけ離れた方向に進んでしまいましたが、「逃亡」と「整形」が共通点と言えば共通点なんです。しかし片や本当の犯罪者ですが、この小説の主人公は犯罪者ではありません。

宅配ドライバーをしていた青柳雅春は、何らかの「力」によって首相殺しの濡れ衣を着せられてしまいます。何がどうなっているのかさっぱり分からないまま、彼は「逃亡」します。とにかく青柳を殺人犯にして逮捕する。そのためには暴力も辞さないという追手からひたすら逃げる。その逃亡の顛末を、青柳が駆け抜けるテンポで描かれています。
そして結末の痛快さ。確かに青柳にしてみれば不条理な人生の歩かされ方になったでしょうが、彼は小さな約束も反故にしませんでした。実に誠実に逃亡のその後を生きていました。も青柳に「たいへんよくがんばりました」の花マルをあげたい!
彼はひとりで逃げていましたが、本当はひとりで逃げ通したわけではありません。彼が思っている以上に、彼を想って助けていた人たちがどれだけ沢山いたことか! 
究極の場面で自分を信じて手を差し伸べてくれる人がどれだけいるか。人の価値はこんなところでわかるものなのだということも、教えてもらったような気がします。
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