新年おめでとうございます

本年もよろしくお願いします。写真は山形県温海温泉付近から見た日本海に沈む夕日です。昨年は日本各地の美しい自然を訪ね、人間のすばらしい智恵と愚かさについて考えさせられました。
人間の持つ愚かさについては、先哲らが気づき、幾多の警告を発してきたはずですが、私たちは平和ボケの中に大切なことを忘れてしまっているようです。

お釈迦さまをはじめ歴代の祖師方が遺した仏教のみおしえは、そんな大切な叡智を伝えていることを痛感しました。現代に生かさなければもったいないことです。

昨年は、５月ころにブログのアップに努めましたが、後半はなかなか進みませんでした。本年も微力ながら、仏教・禅、そしてお寺についてより親しんでいただけるようなペーシとなれれば幸いです。皆さんのご多幸をお祈りします。


寺報に掲載した年頭随話を掲載します。

いまだ修せざるには現れず、証せざるには得ることなし、
放てば手に満てり、一多の際なし　　　『正法眼蔵辨道話』
　

　新しい年が明けました。世界経済は混迷のまま年を越し、これからどのような一年になっていくのか不安の年明けとなりました。人間の知恵は様々なものを産み出しました。しかし、そのリスクとして、想像もつかなかった破綻が、突然急速に訪れることも思い知らされる今日このごろです。先人たちが築いた叡智は、この現代には通用しないのでしょうか。あるいは、その教えを私たちが充分に受け止めているのでしょうか。そんな、自戒と反省の思いにかられます。

やるべきことをやって（修）いるか、その行いの中に手応え（証）を感じているか・・・。雑念を放ち「やってみる」と宝物は手に満ちてくると、道元禅師は説きます。ある経典には、人はみんな仏さまを持っているとありますが、道元禅師は、「その仏さまを実行しなければ絵に画いた餅だ」とするどく解説します。「修証一等」という曹洞宗の教義の根幹です。その実行のすすめの一歩が禅です。禅は座ることだけではありません。大きく深呼吸すること、首や肩の力を抜くこと、いわゆる世間の雑念を放つこと・・・。

『坐禅！』、いつかやってみたいという人は多いのですが、「いつか」は、いつかでは永遠にやってきません。今やるしかないのです。行動を邪魔する「何か」を放ち、是非、「修証」してみましょう。今こそ祖師の精神を今に生かしていきたいものです。

　暮れに行われたフィギアスケートのグランプリファイナルで優勝した浅田真央選手、冷静を保つために演技中も深呼吸をしていたそうです。それは「坐禅」だと思いました。

本年が実り多き年となりますよう祈念して止みません。　住職合掌