ご詠歌の検定が近づいています。本日は定期講習会の日です。
ご詠歌は各宗派で流派を形成していますので、曹洞宗では梅花流と申します。この組織では、技能の習得の目安として級階を設けています。僧侶を「師範」、寺族を「詠範」、一般檀信徒を「教範」として、それぞれに等級が位置づけられています。検定を受ける受けないは個人の任意の判断です。
等級が進むにつれて、検定の試験も難しく厳しくなります。今年も当寺では数名の方が受験されます。今月末の試験を目指して練習に励んでいます。試験内容は、検定の先生方の前で課題曲を唱えるのですが、緊張するのです。
60歳、70歳を過ぎて、あるいは80歳台の方が受けることもあります。この年齢での試験、大変なことと思います。でも、この試練が「生きる」ということではかなり良い刺激なのではないかと思っています。
「先生、どこを気をつけたら良いのでしょうか?」
「どの辺が出ますか?」
「ここはどうお唱えするのですか?」
と、80歳を間近にした方の真剣な眼差しは、少女の姿(笑)そのものです。こちらが教えられます。
梅花の譜面は、日本古来の和旋律から考案され、大変合理的にできています。といっても、梅花流の場合にはこの歴史は新しく、私の年齢の歴史と同じですので、若いですね。(笑)
梅花譜は、線の方向が音程を表し、線の種類がオクターブや半音を示します。そして、線の長さや区切りが拍とリズムを形成しています。鐘や鈴、そして休みは、○や△や●で表されていてすべて記号化されていますので、覚えてしまうと、五線譜よりは、正確に譜面が読めます。初見でも、熟達者は正確にお唱えできます。
全国的にどの宗派も、高齢化が進み、若い人が入らない傾向にあり、存続の危機を迎えているところも多いようです。
幸い、当寺では、若い方々がちらほらと参画いただき、活気が出ております。
開花直前のアヤメ