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生き残る技術

『生き残る技術』(小西浩文著)講談社新書を読みました。

小西さんは現在48才のトップクライマー。世界に14峰ある8000メートルを超える山に、無酸素で登頂することを目標として、現在6座を成し遂げている。

この方の技術と生き方は、山に限らず、現代を生きぬく技術として注目されているそうだ。

全文を読んで一貫していることは、

すべては心で決まる
限界は心が決める
心の成長は無限だ
訓練によって心は成長できる
現実そのままを見つめる自然体の習慣こそ大事
無心で24時間を本気で過ごす習慣が大事

というような内容の話でした。
いやあ、大変参考になります。目から鱗が落ちるというか・・・、禅の精神そのものなのでビックリ。

小西さんによれば、登山事故の100パーセントは心に因るものだと断言するのです。
様々な思惑、邪念、野心、妄念、妄想、誤解、錯覚、欲望、名声、名誉心、使命感、期待心、過大・過小評価、打算、仏教で説く煩悩・無明・・・等。
すべて邪魔。妨げ。余計な産物。
これから離れることを無心と呼んだり、空と言ったり、あるがままと説明したりするのだと思います。禅の思想そのものです。

また、小西さんは、このことを言葉の言い換えでも説明しています。

欲望→夢   欲望は自己中心的。夢は他をも幸せに出来る。
執着→集中  執着はこだわりがあるからスキができる。集中はミスするスキを作らない。
目標→目的  目標は当面の通過点。大きな目的がしっかりしていれば柔軟になれる。
無謀→無理  無謀は死につながるが、無理を直視すれば限界を越えた成長がある。
失敗→試練  失敗・反省で落ち込むのは10分でいい。試練と思うといいチャンス。
絶望→希望  絶望も希望も端から見ると自分の内部次第で決まる。心の問題。 
後悔→分析  後悔は前に進まない。その間こそ前進への貴重な時間。常に分析せよ。

ネガティブな発想から、ポジティブ・前向き・現実直視・発想の転換を行うことを、普段日頃から24時間心がけて、心を習慣化させることだと小西さんは言う。

禅で言う「日常底」「喫茶喫飯」と全く一緒だし、心の訓練・習慣化ということは、「生き方」「信条」「人間性」そのものを確立することと言えます。

いやあ、読み応えありました。山好きの私には興味深い内容でした。

特に24時間、手を抜かないこと・・・というところがズシリと響きました。

「手を抜くと心は癖になる」 ドキリとします。

 

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