50年ほど前私は学校をサボった。
お天気がよかったから。
なんだか学校に行くのがバカらしくなったのだ。
そして自転車に乗って行ったことのない道へと走り始めた。
それまで知らなかった風景が広がっていく。
未知の舗装もされてない小道が私を招く。
秋の金色の光と落ち葉が重なり始めた雜木のなかの道。
それは鎌倉古道だった。
サナトリウムの脇にあった。
人の気配はなくそれでいて光あふれる美しい光景だった。
忘れることのできない美しい一瞬。
学校をサボるのはよろしくない行為だ。
それでも私はあの日の私にまたサボるように必ず言うつもりだ。
「さあ、いざ鎌倉へ」と。