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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

夢の子ネルルが来院しました。

【申告】

 6月20日頃からまぶたの開閉の動きがぎこちなくなり、6月21日の夜からまぶたを動かそうとするモータの音はするのですが、まぶたが動かなくなりました。

 数年前から寝かしつけセンサーが反応しません。

 

【初診】

 ・申告の通り、まぶたは開閉せずモータの回転音がしています。ギヤボックス内のギヤが破損していると想像できます。

 ・姿勢センサーの反応がないので、確認が必要です。

 ・背中のスイッチ類、なでなで、両手のスイッチは反応しています。

  ただ、右手のスイッチ位置がずれているようなので、発病が多い両手のスイッチ配線の確認を合わせて診ましょう。

 ・過去に他のおもちゃ病院で治療している記録も頂き、寝かしつけセンサーを診てもらった経緯もあるようです。

 

 関東地方からの来院です。

1,頭部を開いてまぶた駆動ギヤボックスを確認します。

 

 このネルルの製造ロットは、樹脂を犯す性質のグリスが使われ、軟化、磨耗が起きたものと推測します。

 ネルルのためのギヤなので、販売されていませんので標準のギヤを2種使用して代替をします。

 

 過負荷保護のためのトルクギヤにもひび割れが確認出来ましたので、3Dプリンタで作成して交換しました。

 

 まぶたの開閉位置に関わるスイッチも確認します。スイッチの反発力に劣化は感じられませんでした。

 他には不具合は確認出来ませんでしたので、まぶたの治療は終了です。

 

2,寝かしつけ動作の検査です。

 寝かしつけをするためには、姿勢センサーでネルルが仰臥位になっていることを検知して、寝かしつけセンサーでとんとんの振動を検出して眠りに入っていきます。詳しいプログラムのロジックがわかりませんが。

 姿勢センサーから確認していきます。

 姿勢センサー単体で、端子間抵抗値を計測しても絶縁状態なので、ネルルは寝ません。姿勢センサーは、3接点のスイッチです。姿勢センサーが縦の状態か、横の状態かで姿勢センサーの短絡端子が変わる仕組みです。

 

 

 姿勢センサーの接触部を磨くことも考えられますが、接触が内部の球の重みだけなので今後の事を考えると再発しにくいように、センサーを交換したいと思います。ただ、ネルル用のセンサーのようなので入手できませんので、別の実現方法を考えなければなりません。

 当初2端子振動センサーを切断して改造してみましたが、何故か接触抵抗が高くなり機能的に満足しませんでした。

 

 そこで2端子振動センサーを2個使用して実現することにしました。

 

 次に、寝かしつけセンサーの検査です。何度か半田付けをしたのでしょうか。電極の半分ほどが剥がれ配線に繋がっている正電極はわずかです。これでは、感度は落ちてしまいます。白く見える部分が剥がれている箇所です。圧電サウンダを交換しました。

 圧電サウンダの配線半田付け部に負荷がかからないようにカバーを作成し、配線の出口を接着剤で配線を固定しました。

 

 

 これで、ネルルはとんとんすれば寝付くことでしょう。

 

3,右腕を切開してスイッチの位置の修正と配線の切れなどの検査をします。

 配線切れなどはなく、交換の必要はなさそうです。やさしく握っていただき、比較的中綿の充填率も高いので良かったのかと思います。左手は検査しませんでしたが、同じ状況と思います。スイッチの位置合いを修正しました。

 

【治療後記】

 購入されて10年以上経過しているネルルでした。その間も何度かおもちゃ病院で治療をしてきた大切なネルルです。これからも見守られ楽しく過ごしていくことと思います。

 

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