「Gen. Dempsey: We're Pulling Out Our Cold War Military Plans over Ukraine」
旅客機撃墜 究明難航も
【キエフ川工藤武人】ウクライナ東部でマレーシア航空MH-17が撃墜された事件は、真相究明に向けた国際調査団の調査の行方が今後の焦点となる。ただ、東部一帯を実効支配する親ロシア派武装集団の証拠隠滅工作も指摘され、「現場保存」さえままならない異例の状況で、調査が難航する可能性も指摘されている。
上掲の「読売新聞」の記事に関連して数々の疑問
●「調査団は、墜落現場からミサイルの破片や残留物などを回収、分析し、親露派武装集団が旧ソ達製地対空ミサイル「ブク(BUK)」を使って同機を撃墜したことを裏付けたい考えだ。」
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調査団は、マレーシア航空MH-17機を撃墜したのは,親露派武装集団であると裏付けたいという前提で動いているが、親露派武装集団かウクライナ軍や米国諜報機関の手先となって動いているウクライナの反露勢力が撃墜したのか、現時点では原因は不明である。
にも拘らず、米欧及び米国に追従する日本政府は対露制裁に動いているのは、真相の解明に関わらずプーチンにダメージを与えたい米国の対露政策が先行しているように観察される。
●「ロイター通信などによると、米情報機関当局者は22日、撃墜は、武装集団が民闇機と知らずブクを『「誤射』したとの見解を示しつつ、ロシアの直接関毎を裏付ける証拠は得ていないと明かした。」
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米情報機関当局者は、「ロシアの直接関毎を裏付ける証拠は得ていない」と明かした。
米国の偵察衛星は地上の物体をセンチメートル単位で識別可能であり、敵のミサイル攻撃を探知すれば反撃を前提にいる米国がウクライナにおけるミサイル発射を探知できなかったのか。
「武装集団が民間機と知らずブクを『誤射』した」のかどうか、これも疑問である。ウクライナの合法政権をクーデターで倒したのは米国が長年育ててきた極右勢力であることを考慮すれば、米国の言う“建前”を鵜呑みにすることはできない。米国務省のヌーランドは、ウクライナの前政権打倒に直接関わっていた。
●「ウクライナ政府は23日、解析作業を行なうため、飛行データと操縦席の交信内容をそれぞれ記録した2個のブラックボックスが英国に到着したと発表した。」
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マレーシア航空MH-17機のブラックボックスは、親露派武装集団がマレーシアに渡したが、マレーシア政府は英国に渡した経緯は不明である。マレーシアに解析能力がないのであれば、“被害国”の英国ではなく、第三者の国際機関に渡すべきであろう。英国へ渡したのは米国の圧力があったのであろう。
●「飛行データの解析により、撃墜地点を特定できる可能性があるほか、撃墜前後の速度や高度の変化から、撃墜されたことも証明できる。操縦席での会話記録などを通じ、機体のどの部分に被弾したのか特定できる場合もあるという。」
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米英豪の3カ国は情報面では強固な同盟関係にある。解析作業が米国側に都合いいように改竄される可能性がある。米国は機器からデータを削除できる能力を有しているから、解析結果を公表されても胡散臭いものとなる。国際民間航空機間(ICAO)による公平かつ透明な形で調査ができるか疑わしくなった。
●「真相究明で最後の一決め手となるのは、現場の機体の残骸に残される化学物質の採取と解析だ。火薬や破片を解析し、ミサイルの種類などの特定を急ぐ必要がある。」
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マレーシアのナジブ首相は、7月23日「墜落現場の証拠保全が国際基準に達していない」と失望を」あらわにした。戦闘地域内であるからウクライナ側も親露武装勢力も、自らの陣営に都合のいいように動く。国連の出番であるが、国連のトップが無能力と来ているから紛争の手を打てないでいる。
ウクライナ政府軍が墜落現場を包囲しつつあると報じられているが、7月28日現在、ウクライナ東部を実効支配する親露派武装集団は、中心都市ドネツクなどの結集し、徹底抗戦緒構えを崩していない。
米欧はプーチンに「親露派に影響力行使」し親露派武装集団に戦闘を停止させるよう迫っているが、米欧はウクライナ政府に掃討作戦を止めさせるべきである。掃討される親露派側にのみ戦闘停止を求めるのは、“抵抗するな、殺されろ”と言うのと同じである。親露派武装集団にも生きる権利、自衛する権利はある。
(ウクライナ連立与党の分裂の謎)
ウクライナ議会で7月24日、連立与党が崩壊し、ヤツェニック首相が辞任表明したことで、ウクライナの政治情勢が不安定化する可能性があり、航空機撃墜の真相究明に支障をきたす。東部で戦闘が収まらなければ、議会を解散しても選挙の実施が危ぶまれる。
連立を離脱したのは「ウダル(一撃)」と極右「自由」である。 この2つの政党はヤヌコビッチ前大統領の打倒に導いたデモを主導した政党で、米国諜報機関との結びつきが強い政党である。
米国の対露制裁姿勢に対する疑問点
●オバマ大統領の米国内の評価は極めて低く、最低の大統領と見られている。ブラジルを訪問したプーチンは、BRICSや中南米各国の評価は高い。
●CIA、国家安全保障局、国防情報局や他のアメリカ諜報機関が、どれも、マレーシア航空MH-17撃墜に対する、ロシアの関与の証拠が無いことを明らかにしている。
●アメリカ諜報機関幹部が、マレーシア航空MH-17撃墜とロシアを結びつける証拠はないことを認めたにもかかわらず、欧米の政府やマスコミは、米国に扇動されて、プーチンに対する非難と対露制裁を強化しつつある。米国はプーチンを胡を叩くためMH-17撃墜事件を利用している可能性も否定できない。
●マレーシア航空MH-17撃墜は、ブラジルでの、BRICS諸国、ブラジル、ロシア、インド、中国と南アフリカによる新たな国際開発銀行設立の発表直後、ロシアを国際的に孤立させ、プーチンとロシア指導部の面目を失わせることを狙った作戦の犠牲になった可能性はないのか?
●米国の国家安全保障問題担当副補佐官ベン・ローデスの兄、デイビッド・ローデスはCBSニューズ社長である。また、国家安全保障顧問スーザン・ライスはカナダ・ブリティッシュコロンビア州ビクトリア出身で、スタンフォード大学時代に知り合った米ABCニュース・プロデューサーのイアン・キャメロンと1992年に結婚している。
オバマ政権の国家安全保障会議幹部のトップの2人は、マスコミと強い個人的なパイプを持っている。マスコミ操作が可能であり、真相不明であれば、誰でもマレーシア航空MH-17撃墜の犯人に仕立て上げられることが可能である。
●米国のウクライナへの梃入れ
上院法案2277は、ロシア国境におけるウクライナ軍の強化を可能にし、ウクライナの立場を“アメリカ同盟国”に仕立て上げ、米軍がウクライナの“親露武装勢力”に対する戦いを支援できるようにするためのものである。
この記事を参照
「U.S. Considering Granting Ukraine Status Of Non-NATO Ally (16:41, Thursday, July 24, 2014)」
http://un.ua/eng/article/522930.html
下記の記事も参照
http://www.globalresearch.ca/collapse-of-ukraine-government-prime-minister-yatsenyuk-resigns-amidst-pressures-exerted-by-the-imf/5393168
「Collapse of Ukraine Government: Prime Minister Yatsenyuk Resigns amidst Pressures Exerted by the IMF」
NATO司令官ブリードラブ大将は、アメリカ/NATO軍が、より迅速にロシアを攻撃できるようにするため軍需物資をウクライナのロシアとの国境に備蓄する計画を準備している。http://rt.com/news/175292-nato-poland-supply-base/
「NATO Poland base may be prepared for blitz against Russia」
7月24日、アメリカ統合参謀本部議長のマーティン・デンプシー大将は、アメリカの意見を形成する為の幹部レベルの集まり、アスペン安全保障フォーラムで、ウクライナにおける、プーチンの侵略は、1939年のスターリンによるポーランド侵略にも比すべきもので、ロシアの脅威は、ウクライナや、東ヨーロッパに限られず、世界的なものだと述べて批判している。
http://www.commondreams.org/news/2014/07/25/gen-dempsey-were-pulling-out-our-cold-war-military-plans-over-ukraine
「Gen. Dempsey: We're Pulling Out Our Cold War Military Plans over Ukraine」
プーチンはドジだろうか、対露制裁への加担は避けるべし
撃墜した犯人が分からないにも拘らず、ウクライナによってyoutubeやFACEBOOKにロシア側が撃墜したとの映像や音声が流されているが、youtubeやFACEBOOKは米国のものであり、米国に都合のいいよう流すことなど朝飯前である。米国保障担当のトップの2人が米国マスコミと個人的なパイプを持っていることかを考えれば、流された映像や音声が頭から“本物”であると決め付けられない。
ロシアはソ連時代、樺太上空で大韓航空機を撃墜した前科がある。その時、世界中の国から受けたソ連に対する非難・制裁を忘れたのだろうか。クリミア併合で欧米の制裁を受けているプーチンが民間航空機撃墜の愚を犯すほどドジであろうか。撃墜して一文緒の得にもならないことをやると考えるのは不自然である。戦闘爆撃機や爆撃機と機影が通信も異なる民間旅客機を撃墜するほどのドジだろうか。
米国は、ウクライナを準NATO 加盟国にするため動いている。
「Gen. Dempsey: We're Pulling Out Our Cold War Military Plans over Ukraine」、
http://www.commondreams.org/news/2014/07/25/gen-dempsey-were-pulling-out-our-cold-war-military-plans-over-ukraine
この記事が意味することを考える必要がある。
安倍政権が米国に追従して対露制裁に加担するのは、どうやら控えたほうがよさそうだ。しかしながら、制裁に加担しなければ安倍政権を倒す方向に動くかもしれない。
9月に内閣改造が予定されているが、新任閣僚が安倍政権のアキレス腱にならなければいいが、どうなるやら、激動の秋が来そうである。
日本政府はウクライナ情勢をどの程度把握しているのか
米国が提供する情報のみで判断すればヤケドを負う
対露制裁を強めれば、ロシア外務省の親中派を勢いづかせ日本に不利である。
習近平が実権を確立し尖閣で強く出てきた場合、米国も頼りにならず孤立無援と
なる可能性がある。
フランスは揚陸艦の輸出を取りやめるだろうか。フランスは米国と距離を置いている。
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